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星が堕ちたとき

あまりに心の穴が大きくて書き殴る。
こういう使い方はしたくなかった、でももう、だめだ。

hideが亡くなったとき、中学生だった。私にBLUE BLOODを貸してくれた友達が泣き崩れていて、隣で手を握った。
ピンクスパイダー。GOOD BYE。beauty&stupid。心の大きな部分にhideの形の穴が空いていた。自ら死を選ぶわけがないと私にはわかっていた。なぜなら、ピンクスパイダーを、聴いていたから。聴いて、彼の心に触れていたから。
TVでコメンテーターがピンクスパイダーの歌詞が書かれたフリップを指して、適当な解釈をつけ始めたとき、私はキレた。
お茶の間のテレビを両手でひっくり返した。作品を、汚すな、アーティストを、ばかにするな、hideのなにがわかるんだ、と。あんなに、苦しんでたけど、ピンクスパイダーを作ったんだよ。
テレビをそっと元に戻して、部屋でひとりピンクスパイダーを聴いて泣いた。
ピンク髪でチェックのスーツの、一番好きな写真を見た。

この話は今まで誰にもしていない。私よりずっとhideが好きだった人がたくさんいる前で、悲しいなんて言えなかった。心にhideの形の大きな穴が空いた。それは今でも。hideのフィギュアがひとつだけ飾ってあるんだけど、なんとなく人にhideのファンとは言えなかった。それは、心の穴が大きかったから。誰にも触られたくなかったから、神聖な気持ちに。

SUGIZOが入ったX JAPANや、hideがいないhide with spread beaverも実はあまり見られない。見てるけど。

また、心に大きな穴を開けて素晴らしい人がいなくなってしまった。
つらくて悲しくてどうしようもない。気の利いたことも言えやしない。私よりずっと強い気持ちで好きだったファンの方のことを思うと、彼がキッカケで歌い始めて、彼が倒れたのと同じステージで歌わなきゃいけない人のことを思うと新しい穴が空きそうになる。KT ZEPP YOKOHAMAわたし行けるのかな。行けないかもしれない、あの会場自体に。
ライブハウス自体行けないかもしれない。バンドサウンドも聴けないかもしれない。だって、無くなるって突きつけられるから。生きてるから今を大事にしよう、行けるライブは行こう、会える人に会おう、それはその通りよ。でも立ち向かえないよ。あと何年ですか?

あの日の午後、BUCK-TICKの曲を聴きながら泣いていたら、経験したことのない激しい腹痛に襲われた。たぶん精神的ショックからだと思う。あまりに激痛で脂汗で全身びっしょりになって、トイレでこのまま死ぬのかと恐怖するくらいの激痛だった。体がお前はまだ生きてるんだぞと内臓から掴んでくる感じがした。自分の命が内臓の奥から殴ってくる。起きろ。生きろ。

腹痛は1時間ほどで嘘のように消えて。
生きることが目の前に立ちはだかっている。

「ずっと隣でギターを弾いていたかった」なんて、二度と聞きたくないんだ。でも、いつか聞くのはわかりきっている。それが、「ずっと隣で歌っていたかった」かもしれない。怖い。どうして、人は、死ぬんだろう。

これを書き殴ってからしばらく経って、なんともう二人も素晴らしい人が連れていかれてしまった。

今日もライブで、世界一好きなギタリストの名前をたくさん呼んだ。だって、自分がいつ神さまに呼ばれるか、わからないもの。

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