見出し画像

最初のクライアントはバングラデシュのスタートアップ

現在私はBloomという会社を立ち上げて、エンパワーメント、リーダーシップ研修及び人事組織コンサルティングを行っています。

その最初のクライアントがバングラデシュのスタートアップでした。

このスタートアップはChaldalという会社で、オンラインのグロッサリーショッピングのサイトで、日用品から生鮮食品まで買うことができます。今後は色々なロジスティックスサービスも展開していくような成長中のスタートアップで、ベンチャーキャピタルに投資されています。

なぜバングラデシュでビジネスをしたかというと、私が国際機関で働いていた時に、バングラデシュと関わりがあったからです。

2016年にバングラデシュの大学改革プロジェクトに携わり、「Fab Lab」という、米国のMITから始まった、デジタルものづくりができるラボを8つの大学に設置するプロジェクトを企画実行しました。現地の大学を見学した時に、エンジニアの大学でも模型を木で手で掘って作っていたり、建築学科でもモデルを手で作ったりするのを目の当たりにしました。全て手動のため正確なものが早く作れずにいるので、改善する作業がすぐにできず、イノベーションが燻っていた、という課題を見つけ、Fab Labによってイノベーションが加速するのではないかと思い、当企画を提案しました。教育大臣や大学関係者にプレゼンを行ったりコンセプトに賛同してくれる人を見つけて、この企画を実行し、2億円ずつ大学に提供し、Fab Labを作ることになりました。

Fab Labには3Dプリンターやレーザーカッターが設置され、デジタルでデザインして現地にある木、竹、プラスチックその他の素材で出力が可能でした。また世界にFab Labネットワークが広がり、バングラデシュのコミュニティーもインドや他のアジアのコミュニティと繋がり、お互いに学び合うことができました。

また、Fab Labを使うコミュニティー、イノベーターのコミュニティーを作るために、大学のイノベーターを募ってものづくりのコンテストである『Make-a-thon』も企画し、バングラデシュのイノベーターの発明を色々とみてきました。その時のバングラデシュ人のクリエイティブな面やみんなが頑張っていた様子が私は忘れられず、いつかまたこのような若者がエンパワーできる機会を提供したいと思っていました。

国際機関で働いている時には将来若者はどのようなスキルが必要なのか、また企業で採用されるにはどんなスキルが必要で、どこにスキルミスマッチがあるのかということについてよく研究しました。そして途上国の様々な国の調査でいつも課題として上がってくるのが「ソフトスキル」と言われる、コミュニケーション、問題解決力、自己肯定感、やり遂げる力、でした。これは10年以上たっても変わることなく相変わらず出てくる課題で、なかなか解決できないものでした。

私はそのような課題を解決したいと思っていたのと、バングラデシュという若い(15歳から29歳)人口が全体の29%を占めるという国の人材育成に関わることで、国の発展に寄与したいと思っていました。

そこで、Fab Labの企画で一緒に働いた現地のバングラデシュ人が私の研修コンセプトを色々な人に話してくれて、2023年12月Chaldalにパイロットで研修することになりました。

最初は6人の無料パイロットで行いましたが、その結果がものすごくよく、みんな「今まで受けた研修の中で一番よかった」とまで言ってくれるほど。

参加者は日々多忙で自分を振り返る余裕がなかったので、この研修で自分を振り返る機会を得たら、自分が今まで達成したことなども振り返ることができ、モチベーションが湧いたし、新たな自分になった、ということも言ってくれました。

それなので次にお金をいただいてマネージメントレベルに対して研修を行いました。この時は人事組織コンサルも行い、参加者のスキルや経験を評価し、どのポジションに適性があるかということについて、こちらから提案させていただきました。

研修をしてみて気づいたことは以下の通り。特にこの研修では自分の人生の振り返りをしてもらったので、色々な人のバックグラウンドを知ることができました。

1)バングラデシュ人は金銭面でのハードシップが多い。

やはりファミリーのお金がなくなって貧困生活を強いられた人が数人いて、その時は着る物もほぼなく、バッグもないから教科書手に持って学校にいって帰ってきてからは家の手伝い。そんな大変な思いをした人だからチャンスを掴みにいく勢いはすごく、這い上がって頑張って今の仕事に就いた人が数多くいました。

2)家族のサポートの重要性。

辛い時でもみんな家族が助け合ってサポートしてたから乗り越えられていた。ある人の人生のハイポイントが、弟とお母さんと一緒に学校にいったこと、あとは弟が生まれたこと、と言っていて、こんな素朴なことが幼少期の頃には幸せだったんだなーと思って改めて家族の大切さ、自分のことを愛してくれる人の存在の大きさを感じました。

3)女性が働くことの大変さ。

2回目の研修では女性が15名中2名いたのですが、一人の女性はここで働く前に銀行でも働いたことがありました。実はそこではセクハラ&パワハラにあい、女性だからということで昇進できなかったりした経験を持っていました。今の会社ではそのようなことはないとのことでしたが、バングラデシュで女性が活躍するのはまだ難しい部分もあるので、サポートできればいいなと思いました。

スタートアップには特にあるあるだとは思いますが、やはり安い賃金でしか雇えないので、いかに社員のモチベーションを上げるかが重要になってきます。私の提供した研修でモチベーションがみんな上がったとのことなので、これを継続して毎月振り返りのコーチングを提供していく予定です。

今後このような研修を個人レベル、大学、やる気があるけどチャンスがない若者などにも行い、より多くの人が自己受容を高め、コミュニケーションスキルも磨き、就職または起業などで自己実現ができればと思います。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?