母なるものからの社会批評――中村佑子『マザリングーー現代の母なる場所』より
社会学者ジョン・アーリは『社会を越える社会学』という本の中で、もっぱら男性の時間となっている商品化されたクロック・タイムに代わるものとして、出産や育児といった「自然な」活動の中で女性が育める時間について書いています。
それは、「氷河の時間」と表現されるもので、ゆっくりと流れる、どっしりとしたものであって、何世代も見なければその変化を捉えることはできないものとされます。
こうしたゆっくりどっしりと流れる時間の中にある、小さな変化や出来事を記述する言葉を、私たちはもってこなか