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心と社会の研究室

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心と社会について、様々な角度から書いています。書く文章は、ひとりごとみたいなもの、エッセイ的なものから学術的なものまで、幅広く。
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記事一覧

『普通という異常』(兼本浩祐)が示している社会的事実について

社会病理学やラベリング理論が明らかにしたのは、「マジョリティがそれを定義するから逸脱や病…

人間関係の新しいつくり方を考える――ポストモダンのつながりの技術

「人との関係がうまくいかない・・・。」 というのは、とてもよくあるご相談のひとつです。同…

『当事者としての治療者』という本の呼びかけ

カウンセラーは話を聞く専門家であるはずなのに、カウンセラーが苦手という方はけっこういるの…

「忖度」と「分かる」の違いについて――理解されてしまうことの傷つき

歴史学者の阿部謹也さんは、日本人が生きてきた枠組みとして、また日本人を支配してきたものと…

母と子のための精神分析――「親になるということ」にともなう心の変化について

ダニエル・N・スターンという精神科医は、『母親になるということ』という本の中で、次のよう…

労働形態の変化がもたらした教育と子育ての課題

「子育て」で悩んでおられる方はたくさんいます。ある程度、共通するお悩みとして、「この子、…

人生と美学

精神分析の話とは無関係かもしれないと思いつつ、人生の分岐点に作用しているものとして、その人がもつ「美学」があるのではないかと、ふと思うことがあります。 昔、僧侶で大学教授だった方がいて、父の死に際して、相談したことがありました。すると、僧侶は「君ね、それはお父さんの美学かもしれない」ということでした。 「だから、それ以上、立ち入ってはいけない。芝居につきあいなさい」ということだった。 秋になると、父に花を摘みながら、毎年毎年、様々な想いがはぜます。今年も、そうでした。

娘をカウンセラー代わりにする母親に育てられた女性たち

よく、娘をカウンセラー代わりににしている母親がいます。けっこうたくさんいて、びっくりする…

こころの矛盾したしくみ

精神科医・滝川一廣さんの『子どものための精神医学』を読んでいます。木村敏さん、中井久夫さ…

当事者が一番よく知っている。そこから、生まれる支援態度について

対人援助を仕事にしていると、何か、自分が力をもっているように勘違いしてしまう支援者がいる…

怒っている人は自分を防衛している

「防衛」って聞くと、防衛省が思い浮かびます。 人が防衛的な態度にあるとき、他者に対して怒…

こころはどのようにして育まれていくものなのか

精神科医の小林隆児さんは、「関係」から自閉症や発達障害について診療にあたっている方です。…

機能しない家族と機能する家族

日本の心の幸福度はなぜこんなにも低いのでしょう?先日、ユニセフが発表した先進国における「…

昔ばなしと心理療法

昔ばなしを読んでいると、ある種類の心理療法を受けているような気分になることがあります。 心理学者・河合隼雄先生は、昔ばなし研究者・小澤俊夫先生の昔ばなしの分析について言及してもいたことを想い出すのです。 日本には、口承文化としての昔ばなしがあったから、人びとの心は自然と成熟していったのでしょうか。 けれども、現代社会で流通している昔ばなしは大事な部分が端折られていたり歪曲されていたりします。とても残念なことです。 白雪姫が3回も失敗したことや、シンデレラがお城から3回