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短編エッセイ

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ちょっぴりフィクションを混ぜたエッセイ集
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深夜、1人、青信号になるのをまつ/短編エッセイ

深夜、1人、青信号になるのをまつ/短編エッセイ

これを渡ってしまったら、
それこそ私はダメになる気がする。

夜が深くなっていくと、道を歩く人はほとんどいない。
終電を過ぎたこの時間は車も少なくて、
帰れなくなった人たちを乗せたタクシーが数台
通り過ぎていくような状態だ。

こんな時間になると、
田舎の信号機は働くことをやめるけれど、
都会の信号機は「もしも」に備えて稼働し続ける。

だから毎回試される。

車も人もいない状況での赤信号。
たっ

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入れっぱなしのおみくじとその先の選択/短編エッセイ

入れっぱなしのおみくじとその先の選択/短編エッセイ

新しいおみくじをひいて気づいた。
今年に入って少なくとも3回以上は
おみくじを引いていることを。

だって結ばずにとっておいたおみくじが
財布から3つでてきたからだ。

我ながら焦った。

その光景に引いていたこは私だけやなくて
運勢どうし喧嘩しそう。と
隣で友達が一言つぶやいた。

全くもっておっしゃるとおり。
明らかに喧嘩している。
運勢どうしが。

というか、自身の最近が。

治りきらない体

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香りの消えた朝と1通の…/短編エッセイ

香りの消えた朝と1通の…/短編エッセイ

朝目覚めると、電気ケトルに水をはりスイッチを入れる。
特別な何かではなく去年ふるさと納税か何かで買ったコーヒーの封を開けて
いつものカップにセットをする。

朝を食べないようになってから随分たつが、
朝にコーヒーを飲むことだけは昔から変わらない習慣だった。

自己流でいれるなんてことないコーヒー。
それでも自分が自分のために行う優しい行動としては十分で、
「丁寧な暮らし」を感じるにも十分すぎる行動

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