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今季冬山総集編。2020/02/11中岳&大船山

昔、タイのチェンマイでぶっ倒れて病院に担ぎ込まれ、お医者さんに「ニューモニアだよ入院ね」と英語で説明されたが、ニューモニアが「ユーモア」に聞こえてしまい、病床で「先生。冗談じゃなくて本当に苦しい」と息も絶え絶えにくってかかったところ、先生は察してくれて紙に「pneumoniae」と書いた。
あ~Pではじまる何かの病名なのね。と僕は納得し酸素マスクを着けて寝た。数日後に病は快方に向かい「ニューモニア」ってなんだろね?と首をひねりながら退院。病院には英和辞書もなかったし、そのうちに調べることも、疑問に思ったことも忘れていた。

それから十数年後、カミさんが高熱を発し病院に連れて行った時のこと。
待合室で診断から戻った彼女が「ニューモニア」と小声で言った。
その瞬間過去の記憶が蘇って「あ~。それ僕もなった事がある。その病気何なのよ?」っと尋ねると、
「あんたは英語もわかんないの!?『肺炎』だよ。あんまり喋らせないで。苦しいし」と怒られた。
なるほどね。自分は肺炎だったんだなあ。とそこで腑に落ち、満足げな表情だったのだろう「あんた、私が病気で楽しそうね」と彼女からツッコミが入る。それからご機嫌を取るのが大変だったわ。

それから更に十年後の現在は、スマホという便利なアイテムがあって、これと電波があれば、たいていのことはすぐ分かる。
登山も、昔は地図の等高線を読んだり、実際に登った人の話を聞いたりだとか、事前に得られる情報も限られていたが、今や実際に登った人の写真やコメントも溢れんばかりだし、天気もピンポイントで時間帯ごとの予報もあって、恐るべきは電波がなくともGPS信号を追って、自分の現在位置や走行距離、消費カロリーまで教えてくれるアプリまである。
文明の利器に頼り切るのは良くないのかもしれないが、情報をきちんと使いこなせれば、今や山はそこら辺の道端をウォーキングするより安全だ、なんといっても山には車がいませんからね。

さて、今季は暖冬で九州では、雪山も多分ラストチャンス。祖母山にも行きたいのだが、祖母山はどちらかといえば「水と緑の渓谷美」なのです。
「バースデー登山。祖母山メンノツラコース2020/02/01」
雪道を歩くんだったら、くじゅう連山での稜線歩きでアルペン気分を楽しみたい。しかも、一日中快晴が続く予報だから、これまでで最長の距離に挑む計画を立てた。

結果のグラフなんだけど、走行距離にして約22Km。長者原を起点として中岳と大船山に登る計画で、二つのピークのすぐ下に池があるから「凍った池を巡る旅」というテーマで臨むことにした。多くの道はこれまで通ったことがあるから、これが僕にとって「冬のくじゅう連山まとめ」になりそうだ。

7:30出発。長者原から諏蛾守越まで、舗装道がしばらく続きます。ここは三俣山に向かう際に通った。
「見て良い山は登っても良し。2019/12/28三俣山」

本格的な登山道になりましたが、アイゼンは不要です。アイスバーン化すれば別ですが、トレッキングシューズだと、雪道は靴の裏の凸凹が雪と密着して、接地面積が広くなる分摩擦力も大きくなるので、意外と滑りません。雨の方がよっぽど滑るので注意が必要です。沢登りとか岩登りの時の靴は、接地面積が増えるように裏があんまりボコボコしてないんだなあ。

20cmはある。雪道で必要なのは、アイゼンではなくストック。足より先に地面を捉えるから、安全確認にもなるし、荷重が分散されて歩行が安定します。

諏蛾守越の避難小屋です。標準タイムが90分のところを60分できてます、今回のコースは、まともに標準タイムだと休憩ゼロでも11時間を越えます。だから標準タイムの7割キープすれば8時間で、休憩1時間とっても、日没前には下山できると。

落石対策の避難場所なので、風を凌ぐ壁は有りませんが、一時間歩いたのでエネルギーチャージです。登山で痩せるのは、より高くより遠くに行くために節制するからであって、登山という行為で痩せようとするのは危険です。血糖値が下がってボーっとするのは怪我の元ですので、カロリーは気にせず適度に食べながら歩くのが賢明です。

諏蛾守越からいったん下がると「北千里」ガスで草木が育たないため特異な光景が広がっています。

いつ崩れてもおかしくないゴロゴロ感がある。でも崩れたと気づいたら終わっとるでしょね。

丘を越え行こうよ口笛ふきつつ空は澄み青空♪
誰もいないから歌ったった。

スキーのスラロームをイメージして、ここは下りだと自己暗示をかけ、走って一気に登ると、あっという間に、久住避難小屋到着。

来た道を振り返ると奥に三俣山が。

目の前には阿蘇。現在火口付近は立ち入り禁止ですが草千里までは行けます。
「モクモクは存在感あるなぁ。2020/01/25鳥帽子岳」
向かって左のギザギザは根子岳です。
「酒は飲んでも呑まれるな。2020/01/26根子岳」
そして、ここから中岳までは初めてくじゅう連山に来た時に通った道のりです。
「チュウチュウ登山者のパラダイス。2019/12/15久住山」

御池の氷、それなりに解けています。

これは1月の写真
「あんたのペットボトルの締め方はゆるい」カミの声が聞こえました。2020/01/18中岳&久住山

中岳の山頂すぐ下の絶壁。遠くを見れば、あの猫耳は「由布岳」
「九州初戦。2019/12/07由布岳」

九州最高峰です。1791m。本日は見ての通りの軽装備。リュックなし。ソロだと自分の好きなペースで歩けるから、スピードが必要な時はそれなりの格好ができますが、チームとかペアだとこうはいきませんね。

中岳から白口岳方面への下りは、ちょこっと急かな。なんちゃって横歩きロープ場もあります。

白口岳まで、稲星山を経由しない最短コースは、地図上「注意箇所」の記載があるせいか、歩く人が少なく狭いですが、危険なところはありません。

ただ、明らかに人間の踏み跡ではない。

奥が大船山になります。ここからの下りが難所ですね。一昨日通ってます。
「星を掴みに雪山へ。2020/02/09星生山&稲星山」

振り返って白口岳。これを上から下まで降りてきたのだから、そりゃ急よね。

午後になると、南斜面は雪が溶けて、ぬかるみがはじまります。これが凍結するとアイスバーンになって、めちゃくちゃ滑る。そんな時必要なのがアイゼンです。

大船山がやや近づきました。
立中山は、先ほどの鉾立峠より、ものの10分ほど。しかしここからが難路。

まず、片足しか入らない細い溝を通りまして、

その後、リボンを目印に藪漕ぎです。まあ伽藍岳の時よりもましかな。
「1999年の7の月」地球は滅ぶのでニートでもかまわん!のハズだった。2019/12/27伽藍岳

一度道を見失うも、YAMAPのGPSがあるので問題ありません。

前回来た時は吹雪で何も見えませんでした。
「凍死のイメージが悪くないのはアニメの影響かもしれない。2020/01/19大船山」

こちらはまだ完全凍結。

雪もしっかり積もってました。それにしても最高の天気だ。

下りは奥にある窪み「米窪」を通って、まず平治岳方面に。このコースは、初めて大船山登った際、男池からピストンで使いました。
「二日分を一日でやる。2019/12/21大船山&平治岳」

急ぐので、避難小屋もスルーして、坊ガツルまで全速力で下ります。標準タイム140分を約半分に圧縮。

重力に逆らわず、滑っても前に行くような感じ。後は膝のバネ。ほぼスキーやる感覚ですね。

坊ガツル到着したらすぐに法華院温泉の自販機で水分補給。ここまでは、ペットボトルのアクエリアス1本で乗り切ってます。減ったら雪をボトルにぶち込んで水分増量してましたけど。

おにぎりも、部分的に潰れてます。山の時はいつもツナマヨなんですよね。最悪、誰かにあげる時一番無難かなあと。

最後の一文「山男たちの歌」って、きょうびジェンダー的にクレーム付けられかねない。それにもまして、山での女性人口増えているのに。

やはり、所々、溶け出してぬかるんでます。天気予報によると、気温も上がってきますし。雪山も次は来年ですかね。

長者原のゴール間近で、突然物音がして、鹿が飛び出してきました。スマホでパシャリとやると、音に反応したのか、威嚇に「ジャグラーでペカった時の音」みたいな鳴き声を残し去ってゆきました。
「カモシカじゃなくてシカカモ。2020/01/12神掛岩」

16:20長者原に到着です。もうちょい早く着く予定でしたが、

22.7km。今季最長距離でした。

こんな感じの周回コースですね。これに星生山までちょいと行って、久住山と稲星山経由するくらいならプラス1時間もあれば大丈夫かと思われ、それは可能でしょう。それに更に三俣山周回足せば、くじゅう連山の1700m越9座を巡る「くじゅう17サミット1day」になるんだけど、そこまではちょっときついなあ。

山のレビューが間に入ったので、なんだか長い話になったが、元の話に戻るとして、その昔に僕が罹患した肺炎=ニューモニアが、ウイルス性であったかは不明だし、30年近く前のタイの地方病院で、適切な投薬が行われたかも分からない。そもそも自分自身も何の病気か分かっていなかった。でも治った。

情報というものは、物事を有利に進める上で重要ではあるが、最後に頼りになるのは、病気においても登山においても、おのれの「体力」になる。昨今の「コロナ」についても、情報に右往左往することなく、日頃の健康管理に努めたい。

免疫力は病気にかかる事で強化されるという。体力の一部でもある精神の方は

たまにカミさんに説教されて凹む

ことで、強化されるのではないかと思うのだ。だからそろそろ、東京に帰らないとね。

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