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星を掴みに雪山へ。2020/02/09星生山&稲星山

学生の頃、彼女にフラれて傷心を癒やしに、貯金をはたいてカナダのバンフに一ヶ月ほどスキーに行った。それが初めての海外旅行だった。
滞在先のユースホステルでは友達もできて、日本男児同士でタッグを組み、街にナンパに出かけた。そこでワーホリ大和撫子のペアと知り合い、夜にバンフスプリングスホテルのディスコで飲む約束を取り付けた。

当時は携帯電話もメールもSNSなんてないから、ぶっつけ本番だ。ただね、不思議なもんで、連絡手段がないからこそお互い律儀に約束守る傾向はあったかな。

女子たちはちゃんと現れ、色んな話をしながら飲んだ。こういう場合、水面下で同性同士はサインを出しながら、組み合わせをまとめ、個々に消えるのが作法というものだが、残念ながら、僕らみな若くウブであり「みんなで帰ろうか」という話になり、街に戻って、満点の星空の下、雪が積もる路地を歩いていた時だ。

ちょっとキザな僕の相方が「あの星を掴んで君にあげたい」なんて言ったらしい。それに対して僕は「そんなことしたら宇宙人死んじゃうよ」と応えたそうだ。そうだというのは、酔っ払っていて覚えてないからだ。ただ後日、日本で、ナンパの相方と想い出話をしていた時に「あの台詞で女の子たちがキュンときたみたいよ」と教えてくれた。みんな純粋だった。
その影響があるのか、ないのかわからないけど、雪という言葉を目にすると星を連想する。

さて、週末下界は雨天。ということは天界では本格的な積雪があって然るべき。そして、くじゅう連山には「星」をその名に冠する山がニ峰ある。
雪山に星を掴みに行こう。

湯平温泉あたりから、車道に雪が。この道は何度も走ったが、こういう光景は今まで無かった。期待が持てる。

やまなみハイウェイに出ました「見せてもらおうかスタッドレスタイヤの実力とやらを」

安全運転で駐車場到着。ここでこれなら山頂は完全な銀世界に違いない。

登山口には先々週来た時も雪はあったけど、深さが違う。

前回も良かったけど「ん〜。まあ雪山かな?」くらいで、実際は霧氷とアイスバーンの所が多く、帰るときは泥濘んでたりしたんだなぁ。

展望台。しっかり積もってます。奥の三股山も良い色だ。

スキーで滑れるんじゃない?くらいの雪道。帰りはここを通らないけど、このくらいなら、雪が溶けて泥だらけになることもないだろうね。

沓掛山の岩場も良い感じだ。

枝も霧氷じゃなくて、雪がしっかり載っている。雪山必要条件満たしてます。

午前中だけ天気が良いとのことで、距離を稼ぐために全力で登ってます。階段場でソロ女子に道を譲って頂きました。

どんどん追い抜いて、星生山に接近。一度谷に降りて、手間の名前も知らない山に登り、その奥にあるのが最初の目的地。

降ります。ここからはマイナールートのため、登山者が激減。踏み跡もわずか。

最後のひと登り!汗だくで火照るから、雪掴んで顔に押しあて、体温冷ますくらいです。

最初の星を掴みました。ちょっとだけ息を整えます。なぜなら、ここから岩場の連続ポイントがあるから慎重に進まなくてはならないのです。

滑ってコケたら死んじゃいます。前回逆から来た時と違い、雪の踏み跡があって、そこを辿ると、そこまで難しくなかった。

雪の深さはこんくらい。僕の登山スタイルはスピード勝負なので、濡れるのはお構いなし。でも高高度だとすぐ凍傷です。そういうこともあり冬山は重装備にしないと危険という考えもあるのですが、軽い方が危険箇所での負担も軽い。そして危険箇所をパスする時間も早くなる。そういうリスクマネジメントもあります。

この岩の門を潜ろうとよじ登りました。ベテランのソロ女子に「ここが星生の窓」と教えてもらいました。

人が立っている。あの岩場の下が久住山避難小屋です。

その、人が立っていた岩場のちょっと手前。久住山の絶景ポイントです。熱いんで、この後、雪に顔ツッコミました。

降りてきて、いつもの避難小屋。もう天気がビミョーになってきたぞ。

とりあえず久住山には寄ります。

はい到着。だいたいの人はここから九州最高峰「中岳」と御池方面に向かうのです。

雪山なので、稲星山に向かう人は特に少ないようでした。ちょっと吹雪いてもきたし。

いっぺん下って全力で登ります。

二つ目の星を掴まえました。天気予報では午後から悪化するとのことで、出来るだけ早く安全地帯へ着きたい。

とりあえずまた降ります。そのあとに越えなきゃいけない山がもう一つ。

白口岳。着いたよ。ここからは下り。

岩場や急斜面、ロープ場もあって、降り甲斐のあるルートでした。ヤバい所はお尻を地面に付けて滑ります。雪山はこれが出来るから楽なのです。
しかし坊ガツル見えてるのに、なかなか着かない。

坊ガツルから先はほぼ安全地帯。二度寝して出発遅れた分、全力無休憩だったので、ここで一息。下りで汗は引いたし、ドライ性能高いウェアのおかげで汗冷えはなさそ。

今回は20km6時間の周回コースを予定してて軽装備、ここでの水分補給を宛てにしてました。糖分とクエン酸が沁みます。

坊ガツルの雄大な景色が好きです。向かって左が平治岳。右が大船山。

あとはのんびり雪道を楽しみながら、九州自然歩道を歩き、牧の戸へ戻ります。のんびりったって10kmほどありますけど。

天ケ池。木道の上の雪を踏むと、下が空洞あるから、音が響いて気持ち良い。

水流れてると雪積もらない。当たり前だけど。たまに木の枝の雪が水に落ちるのが「いとをかし」

長者原まで来ました。いつもならここがゴールですが、車は牧の戸。そこまで3kmほどをゆっくりと登ります。

以前通ってますし、道がしっかりしてますから、楽なんですが、結構歩いた後なので、雪もお腹いっぱいになりつつ。

このルートは度々車道に出ます。車道も除雪車が動いてましたので、キレイになってます。帰りも安心。

あんまり通る人がいないので、雪てんこ盛り。

到着。朝は満車でしたが、16時だと、だいぶ下山してますね。

僕の場合、すれ違った人というより、ほとんど追い抜いた人なんだと思います。

なかなかの周回コースでしょ。こういうコースを考える楽しさがくじゅう連山にはあるんだなぁ。

帰ってステーキ400g。岩よじ登ったり降りたり全身使いましたし。

付け合せは豆腐とレタス。先週はお客人で飲んだり食べたり多かったから、糖質制限して帳尻合わせ。今更見れくれはともかく、体重増えると登山のスピードも距離も落ちますし。食後はストレッチですね。

星生山と稲星山。僕の登山スタイルでは、ロマンチックな回想に浸れる余裕なし。
あれから30年近く経ち、まあ、色々と薄汚れていますが、雪のように白くありたいものです。

そうそう、そのカナダ旅行で「失恋の傷を癒やすのは次の恋愛」って勉強したんだったなぁ。

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