大澤良平

こちらは夢幻鉄道の二次創作アカウントです。

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林檎の妖精 ~予告編~

あなたは、短冊に書いた「ねがいごと」を覚えていますか? 七月七日。 【織姫】と【彦星】が、年に一度だけ会うことを許された日。 それが、七夕(たなばた)。 この話は、東京の郊外に住むとある家族に起こった嘘のような本当の話。 七夕の日の夜に、織姫と彦星が届けてくれた奇跡の物語。 Created by Ryohei Osawa 次頁→ ――――――――――――――――――――― どうもです。 こちらは、キングコング西野亮廣さんが現在制作を進めている【夢幻鉄道】と

    • 林檎の妖精

      織姫と彦星が、一年にたった一度だけ会うことを許された日。 「七夕」まで、あと数日。 ― 七月三日 ― (幕間~幕間~、お出口は左側です。) 電車が家の最寄り駅に到着した。 時間は夜の8時を少し過ぎた頃だろうか・・・私は改札を出て、家までの道のりをのんびり歩いていた。 東京都内とはいえ、郊外はこの時間になると人通りも少ない。 気温も日中に比べると、大分落ち着いている・・・いや、むしろ涼しいと感じるくらいだ。 今週も疲れた・・・明日は休みだし、今日はお酒でも飲みながら録画し

      有料
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      • 林檎の妖精 #26 ~ #30

        (私は、現実世界に存在する生き物ではありません・・・人がこの世に生を受ける前に出会う、想像上の生命体なのです。) 「え?想像上の・・・生命体?」 (人は寝ている時に毎回夢を見ています。大人も子供も・・・もちろん産まれてくる前の胎児も。) 「胎児も夢を見ているんですか!?」 (もちろんです) 「でも、夢って経験とか記憶の寄せ集めだって聞いたことがありますよ?」 (確かにそれも夢になりえますが、胎児も非常に抽象的な夢を見ています。その中で唯一具体的に見るのが、私の姿な

        • 林檎の妖精 #30

          琴の誕生日から数日が経った。 あの日、みんなで星空を見に行った・・・ところまでは覚えているんだけど、その後何かあったような気がするが・・・思い出せない。 琴に聞いても、星が奇麗だったことと夕飯が美味しかったことしか言わない。 (何かあったような気がするんだけどなぁ・・・。) 今日はお休みだが天気もあまり良くないので、家の中でお絵描きをして過ごすことにした。 前に買っておいた大きな模造紙を引っ張り出して・・・来たが、何だか枚数が減っているような気がする。 (・・・何か

        • 固定された記事

        林檎の妖精 ~予告編~

          林檎の妖精 #29

          カバンの中を一生懸命探していると、見覚えのある一枚の紙が出てきた。 あの時渡された短冊だ。 (・・・あれ?これ、持ってきちゃったんだっけ?) 少しその短冊をボーっと眺めていて、思いついた。 慌ててカバンからペンケースを出すと、中からサインペンを取り出し琴を呼んだ。 「琴、ほらこれ見て!」 琴も短冊とサインペンを見て、笑顔を取り戻した。 「・・・よ・・・う・・・に。」 琴は短冊に願い事を書くと、持っていたお花を一輪私に差し出して。 「お父さん、これ紙に貼りたい。

          林檎の妖精 #29

          林檎の妖精 #28

          列車に乗り込むと、後ろを振り返った。 イシキュアマナムがこちらを見て微笑んでいる。 横には同じ顔の小さい子もいる。 「ほら、ちゃんとバイバイしないと。」 琴は覗くように見ているが、ぐしゃぐしゃに泣いてしまい喋れない状態だった。 私も辛い。本当はもっと長い時間、一緒にいさせてあげたかった。 またいつか会える・・・そう思いたいが、心のどこかで多分もう会えないような気がしていた。 あの小さい子が手を振っている。 琴も、一生懸命それに応える。 汽笛が鳴った。1回・・・2回。

          林檎の妖精 #28

          林檎の妖精 #27

          その時だった。 物凄い音とともに、辺りが大きく揺れた。 「え、地震ですか!?」 琴はその場に花をおいて、私に抱きついてきた。 (いえ、違います・・・そろそろ、時間のようですね。) 「え?時間って?」 辺りがまた大きく揺れた、そして次の瞬間空に亀裂が走った。 あまりの突然な出来事に言葉が出てこない。 (もうすぐこの世界は終わりを迎えます。じきに列車がここに来ますので、あなた達はそれに乗って元の世界に戻って下さい。) 「ちょっと待ってください!あなたは!?」 (我

          林檎の妖精 #27

          林檎の妖精 #26

          (私は、現実世界に存在する生き物ではありません・・・人がこの世に生を受ける前に出会う、想像上の生命体なのです。) 「え?想像上の・・・生命体?」 (人は寝ている時に毎回夢を見ています。大人も子供も・・・もちろん産まれてくる前の胎児も。) 「胎児も夢を見ているんですか!?」 (もちろんです) 「でも、夢って経験とか記憶の寄せ集めだって聞いたことがありますよ?」 (確かにそれも夢になりえますが、胎児も非常に抽象的な夢を見ています。その中で唯一具体的に見るのが、私の姿な

          林檎の妖精 #26

          林檎の妖精 #21 ~ #25

          ゆっくりと光のもとへ近づいていくと、徐々にその正体が見えてきた。 (・・・列車だ。) そう、私がもう一度乗りたいと心から願っていたあの列車だった。あまりの突然な出来事に声が出ない。 「お父さん!電車だよ!!」 琴は興奮した口調で、私の手を引っ張る。 わたしはまだ上手く喋れない。 「ねぇお父さん、乗ってみようよ!!」 琴はテーマパークにある乗り物のような感覚で私に提案してきた。この列車に一度乗っている私は、そんな気楽に考えることは出来ない。 これがもしあの【夢幻

          林檎の妖精 #21 ~ #25

          林檎の妖精 #25

          私も小走りに近付いて声をかけた。 「あなたが、イシキュアマナムですか・・・?」 突然名前を呼ばれて少々驚いた表情を浮かべていたが、すぐに微笑んでゆっくり頷いた。 琴はニコニコしながら抱きついていたが、すぐ近くに花畑をみつけて走り出した。 「お母さんにあげるお花を取ってくるね!!」 よく見ると、花畑の所にもイシキュアマナムがいる・・・いや、琴と同じくらいの背丈だ。イシキュアマナムの子供だろうか? (・・・どうして私の名前を?) 「え?」 (あ、驚かせてすみません。

          林檎の妖精 #25

          林檎の妖精 #24

          ゆっくりと、森の中に足を踏み入れた。 陽はわずかに差し込んでいるが、木々がかなり生い茂っていて若干薄暗い状態になっている。 普通なら不気味に思う暗さだが、不思議と怖さはなく落ち着いた雰囲気だ。 少しずつ、少しずつ奥へと進んでいく。 一本道になっており、帰りは迷わなそうだ。 (・・・ん?) 「お父さん、何か聞こえるね。」 (・・・水の音?) 僅かにだが、この道の先から水の流れる音がする。 周りが静かなので、その音だけが聞こえてくる。 「この先に、川があるかもしれな

          林檎の妖精 #24

          林檎の妖精 #23

          歩き始めると、見覚えのある人がいた。 「あ、あなたは!」 「ん?・・・誰だお前。」 前にここに来た時に話しかけた人だと思ったが・・・私のことを覚えていないようだ。 思い出してほしかったが、あまり時間をかけてはいられない。 「あの、この辺に森ってありますか?」 「森?」 「あのねぇ、暗い森で川もあるんだよ!」 横から、すかさず琴も補足をする。 「ん~、川があるかは分からないけど、森はこの道をまっすぐ行ったところにあるよ。」 「本当ですか!?」 「木が大きく生い茂ってい

          林檎の妖精 #23

          林檎の妖精 #22

          あれからどれくらい時間が経っただろうか。 琴は飽きずに窓の外をずっと眺めているが、特に不安に感じている様子もなく、移り行く景色を目で追いながら笑っている。 (そろそろ駅に着く頃だろうか・・・。) 前に一度来ただけなのに、何だかそんな気がした。 列車が徐々にスピードを落としていく。もうすぐ到着だ。 何だか緊張してきた。 「琴、駅に着いたから降りるよ。」 「は~い。」 手を繋いで、ゆっくりと駅に降りた。 見るもの全てが不思議な色や形をしている。変わった木、変わった花、

          林檎の妖精 #22

          林檎の妖精 #21

          ゆっくりと光のもとへ近づいていくと、徐々にその正体が見えてきた。 (・・・列車だ。) そう、私がもう一度乗りたいと心から願っていたあの列車だった。あまりの突然な出来事に声が出ない。 「お父さん!電車だよ!!」 琴は興奮した口調で、私の手を引っ張る。 わたしはまだ上手く喋れない。 「ねぇお父さん、乗ってみようよ!!」 琴はテーマパークにある乗り物のような感覚で私に提案してきた。この列車に一度乗っている私は、そんな気楽に考えることは出来ない。 これがもしあの【夢幻

          林檎の妖精 #21

          林檎の妖精 #16 ~ #20

          仕事帰りに、会社の近くの本屋に立ち寄った。家の近くにも本屋はあるが、都心に比べると規模が小さいので、色々見比べるのは都心の本屋の方が都合がいいのだ。 お店に入ると、入口からすぐのところに新作コーナーが出来ていた。 今日の目的はガイドブックだったが、ちょっとだけと決めてその新作コーナーを眺めていると、一冊の小説が目に入った。 【夢幻鉄道】 東山さんという人が書いた本のようだ。 (新人さんかな?聞いたことないな・・・) 中をパラパラと呼んでみると、思わず鳥肌が立ってし

          林檎の妖精 #16 ~ #20

          林檎の妖精 #20

          車を停めて外へ出てみた。風も少しあって涼しい。辺りはすっかり暗くなり、街灯も少ないので星が奇麗に見える。 (やはり、ここにきて正解だったな。) 琴に星の話をしていると、妻が何かを探している。 「ん?どうした?」 「いや、写真を撮ろうかなと思ったんだけど携帯が見つからなくて。」 「まさか、お店に忘れたとか?」 「車で見てたから、多分席に置いてきたのかも。」 私は妻に車のキーを預けた。妻は次女と車の方に歩いていく。 私は、琴と一緒に空を眺めていたが、周囲に座るとこ

          林檎の妖精 #20