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林檎の妖精 #24

ゆっくりと、森の中に足を踏み入れた。

陽はわずかに差し込んでいるが、木々がかなり生い茂っていて若干薄暗い状態になっている。
普通なら不気味に思う暗さだが、不思議と怖さはなく落ち着いた雰囲気だ。

少しずつ、少しずつ奥へと進んでいく。
一本道になっており、帰りは迷わなそうだ。

(・・・ん?)

「お父さん、何か聞こえるね。」

(・・・水の音?)

僅かにだが、この道の先から水の流れる音がする。
周りが静かなので、その音だけが聞こえてくる。

「この先に、川があるかもしれない。」
「本当?じゃあ、イシキュアマナムがいるね!」

琴は目を輝かせている。

更に奥へと進んでいく。
早くその姿を見たいという気持ちから、徐々に足早になっていく。

会える。ついに会える。

一本道が途切れたその先に、大きく光が差し込む空間があった。
その空間を横切るように、川が流れている。

その川の人影が見えた。

頭はリンゴで黒いマントのようなものを羽織っている。

どうやら、後ろを向いているようだ。
顔は見えない。

いた・・・本当にいた・・・ついに会えた。

「お~い!」

琴が、私の手を離れて走っていく。

琴の声に気付いて、こちらを振り返った。
その顔は、琴が絵に描いたあの顔だった。

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Created by Ryohei Osawa

こちらは、キングコング西野亮廣さんが現在制作を進めている【夢幻鉄道】という作品の「二次創作」となっています。

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