見出し画像

林檎の妖精 #27

その時だった。
物凄い音とともに、辺りが大きく揺れた。

「え、地震ですか!?」

琴はその場に花をおいて、私に抱きついてきた。

(いえ、違います・・・そろそろ、時間のようですね。)

「え?時間って?」

辺りがまた大きく揺れた、そして次の瞬間空に亀裂が走った。
あまりの突然な出来事に言葉が出てこない。

(もうすぐこの世界は終わりを迎えます。じきに列車がここに来ますので、あなた達はそれに乗って元の世界に戻って下さい。)

「ちょっと待ってください!あなたは!?」

(我々は、こちら側にいるべき生命体・・・ここでお別れです。)

「やだ!!!!」

突然、琴が大きな声をあげた。

「やっと会えたんだよ!?もっともっと、お話しがしたい!!」

眼からポロポロと大粒の涙が出てきている。

その時、辺りが大きな光に包まれた。
前にも経験したことのある、この眩しい光・・・後ろを振り向くと、あの列車が既に停まっていた。

(さぁ、早く乗ってください!)

「・・・。」

(早く!!)

私は、琴を抱き上げた。
列車に向かって歩き出す。

「待って!お花を持っていきたい!!」

仕方なく、さっき琴が花を置いたところに戻った。
いくつかの花を拾って、再び列車に向かって走り出した。

←前頁 次頁→

Created by Ryohei Osawa

こちらは、キングコング西野亮廣さんが現在制作を進めている【夢幻鉄道】という作品の「二次創作」となっています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?