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無免許講師が往く、ドラム講義③<スティック選び編>

前回だって相当説教くさかったとお思いの皆様、それでもこちらにお集まりいただき誠に感謝です。第3回はスティック選び編。こちらも定説完全無視の構えで、好き勝手やってまいります。第一、てめえの武器なんだから自由に選ばせろやって感じですよね。主宰だって大いに同感です。ただ選定基準をなんとなくでも用意しておくと、なお安心なのかなという側面も。

好きなドラマーのシグネイチャーモデルを手にする。

まあこれでOKです。だって、憧れを抱いてドラムの世界に足を踏み入れた方が大半でしょうから。少しでもその存在に近付けるなら、他に選択肢はないはずですよね。世の中には初心者向けのスティックなる余計な存在がある、練習用スティックなんていうやたら重くてやたら太いやつもいる。無視で。好き勝手選んでしまいましょう、「まずはそれでOK」。

鍵括弧付き、やに含みがありますね。急がば回れとは言ったもので、恐らく最初の大きな壁にぶち当たるのに然程時間は要さないと思います。おもてたんとちがーうってやつですね。好きなドラマーと同じ武器を手に入れたからといって、易々と同じ音色が奏でられるはずもなく。奏法やグリップなど、細部まで研究を重ねないと思い描くサウンドには遠く及びません。

それでも、好きなスティックを買って下さいと言う理由。

「そこまで見越して買う」のであればこれ以上の自己投資はないからです。ゴールを先に設定してしまう方が必要な練習プランも計画も逆算しやすくて良い。ドラムやピアノといった打楽器最大の利点は「叩けばすぐ音が鳴る」点にあります。とにかく取っつきやすい、一見簡単そうに見える。一方で、出口の見えないトンネルに入ると、延々抜け出せなくなったりもする。

そんな時、精神的支柱となり得るのが「憧れの存在」なのです。闇雲に練習するのとは訳が違う。あの人ならどんな風に叩くんだろうとか、解釈するんだろうとか、いろいろ思い巡らせられる。悔しいけど負けたくないとかいうしょうもない理由でも全然OKだと思います、むしろモチベーションが沸いてきそう。重要なのは「苦しさの中にも楽しさを見出せるかどうか」です。

以下、主宰の大嫌いな一般論を羅列します。

スティックのグリップポイントには正解がありません。無論、無限に正解があるという裏返しでもあります。ひとまず、スティックの3分の1、あるいは4分の1くらいの部分を持って、叩いてみましょう。一般的にはその辺りが、グリップポイントと呼ばれる「ここらへんを持つと良いよ」の基準点になります。「跳ね返りが一番強い」ところ、とも言い換えられます。

ここからが主宰の独断と偏見です。叩きながら、可能であればグリップするポイントを前後に移動させてみて下さい。跳ね返りの変化をビシビシと感じられるはずです。スティックの握り方については後述しますが、ひとまずは我流で叩き続けて下さい。シグネイチャーモデルを手に取った方は、憧れのあの人がどの辺を握って叩いていたか思い浮かべながらどうぞ。

短く持つほど「手で叩く感覚」に、長く持つほど「棒で叩く感覚」に近い。

そこまで感じ取ることができれば、あなたの実力はもう既にハイアマチュアの領域です。大切なのは正解/不正解に縛られず「何かを感じ取れる」感覚なのだと主宰は考えています。第一に音楽は芸事ですから、何にだって着想を得られるはずなんです本来的には。練習パッドをシンバルに置き換えると一層音色の変化に驚くと思いますが、まだしばらくはパッドで。

これはただの雑談ですが「何だってスティックにできる理論」。お箸だってスティックの代わりになりますし主宰お気に入りのドラマーになると最近、泡立て器で精緻なドラミングを披露してくれており、度肝を抜かれました。キッチン用具に集中している点にも何か底知れぬエッセンスを感じますね。研究論文のテーマとかにも十分なり得ると思ってます。

大切なことを書き忘れておりました。

本講義のキーワードを思い返してみて下さい。「大は小を兼ねる」でした。スティック選びに紛糾した際は、是非、太めのものから優先的に手に取ってみて下さい。細めのモデルを脇に置きながら叩き比べてみると、違いがより明確に感じ取れます。手の大きさも人それぞれですからジャストサイズにも個人差が出て当然です。重量感についてはお好みでどうぞ。

それなのに初心者向けなんて言っていきなり量産モデルを手渡されるケースも滅茶苦茶多い訳ですから、なおさら自分に合った最初のスティック選びが肝要であることがわかります。何から手を出して良いのやらと思ったらまずはこの2ステップ。好きなドラマーのモデル、あるいは手のサイズにマッチするモデル。間違えて買っちゃった場合も捨てずに残しておいて下さい。

後々、役に立つ瞬間が必ず来ますから。次回は「握り方」編です。

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