【創作大賞2023】さらぬわかれ 序 20 さくらゆき 2023年7月8日 13:30 池上栄子は、7歳の時、家族とある村に引っ越してきた。 1つ歳上の姉・桂が、丘の上に生えている木に触れた時、桂は倒れてしまう。 実はその木は、心中をはかった男女が命を落とした祟りの桜とされていて、村人に忌み嫌われていた。 桂はそれから時が止まったかのように8歳の姿のまま眠り続け、栄子は15歳になった。 村に越してきた当初は、祟りを受けた子の妹として、学校で冷遇されていた栄子だったが、村の権力者の息子・恒太のお陰で、一人ぼっちにならずに済んだ。 桂が倒れて丸8年、丘の上の桜の木が仄暗く光っていた。栄子はそこで女の幽霊に出会う。 彼女は桂の前世で、かつてこの木の下で心中し息絶えた女だった。 序 その桜は、もう数百年もその丘に立っていた。 しかし、その村の者は花が咲いたところを誰も見たことがなかった。 村の伝承によると、江戸の頃、桜の下で心中をはかった男女がいて、その事件があって以来、蕾すら付けなくなってしまったのだという。 村人は花が咲かなくなった木を何度か切ろうと試みたが、その度に災いが起こった。 そのうち、誰もその不吉な桜に近寄らなくなってしまった。 彼女たちが現れるまでは…。 #創作大賞2023 ダウンロード copy #創作大賞2023 #ミステリー小説部門 #さらぬわかれ 20 読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。 サポート