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おとこらむ oto-column

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「音楽と鳥しんぶん」に連載されていたレコード研究家の音楽的日常のコラムが、noteマガジンでも登場!家人の夢の中で「あなたはレコードのマハラジャよ!」と美輪明宏さんに称賛された夏…
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#レトロなレコード

もっと良い音!SPレコードのカートリッジ再生①替針沼へようこそ

もっと良い音!SPレコードのカートリッジ再生①替針沼へようこそ

カートリッジ沼のほとりで

カートリッジは入門モデルから高級ハイエンドモデルまで、かなりの価格幅があります。
ただ、ハイファイなピュアオーディオから程遠いノイズと傷まみれのSPレコード再生に於いては、高価で繊細なモデルは必要ありません。ハイエンドといってもEMTやortofon辺り止まりです。どちらにしろ78rpm用替針のあるカートリッジはそれ程無いので、手に入るだけ全て試してみても良いと思います

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ニコライ・オルロフ〜ロシアピアニズムの継承者

ニコライ・オルロフ〜ロシアピアニズムの継承者

帝政ロシアに生まれたニコライ・オルロフ(1882-1964)は、モスクワ音楽院でピアノをコンスタンチン・イグムノフに、作曲と対位法をセルゲイ・タネーエフに学んだ。ピアニストとしてデビューを果たした1912年には、作曲者自身の指揮でグラズーノフ「ピアノ協奏曲」の初演も務め成功を収めている。ロシアの同世代ピアニストであるネイガウス、ゴリデンヴェイゼル等は祖国に残りソビエト・ピアニストたちを育てたが、オ

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ショパンの孫弟子による伝説のノクターン

19世紀生まれのピアニストによる歴史的名盤⑤

ラウル・フォン・コチャルスキ(1885-1948, ポーランド )
ショパン「夜想曲第2番変ホ長調 作品9-2 (ヴァリアント付)」(1938年録音)

● ショパンの高弟カロル・ミクリにショパン伝統の継承者として育てられたサラブレットであるコチャルスキによる伝説的なSPレコード。聴き慣れないヴァリアント(装飾音)は、ミクリがショパン自身の演奏を聴い
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巷に雨の降る如く〜ドビュッシーのピアノ

巷に雨の降る如く〜ドビュッシーのピアノ

ビュッシーのショパン演奏を聴いたことのある者たちは、ハンマーを意識させない程のビロード・タッチと、溢れ出る泉のようなその響きを生涯忘れることが無かったという。それもそのはず、ドビュッシーはショパンの弟子であったフレーヴィル夫人にピアノを習っている。ドビュッシーの才能が、この夫人からショパン演奏の秘密を多く吸収していた事は容易に想像されるのである。
確かにドビュッシーのショパン演奏なんて想像しただけ

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ロシアの憂鬱・類を見ないデリケートなピアノタッチによる珠玉の名演奏



ロシアに生まれたニコライ・オルロフ(Nikolai Andreyevich Orloff [26 Feb.1892 - 31 Mar.1964], Pianist) は、モスクワ音楽院でピアノをコンスタンチン・イグムノフに、作曲と対位法をセルゲイ・タネーエフに学んだ。ピアニストとしてデビューを果たした1912年には、作曲者自身の指揮でグラズーノフ「ピアノ協奏曲」の初演も務め成功を収めている。

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