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第一章 職場にいる≪扱いにくい人≫ 2項 職場で≪発達障害・精神障害≫問題を乗り越えられる人

これからお読みいただく記事は、わたくし橋本さきこが、これまで心理士として延べ1万名以上の方とカウンセリングやコンサルテーションを通じて築きあげた経験や現場のリアルな声、ケーススタディに基づいた対応法・解決法をまとめたものです。

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会社・学校・職場のメンタルヘルス

【プロローグ】-私たちの知らない世界ー
第一章 職場の中の≪扱いにくい人≫
1項 あなたの会社にいる≪扱いにくい人≫はもしかして…
2項 職場で≪発達障害・精神障害≫問題を乗り越えられる人
3項 企業内での発達障害にかかわるトラブル事例
第二章 発達障害・精神障害について
第三章 自殺について
第四章 コロナ禍で生きるために
【エピローグ】
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あなたやあなたの周りの方にとって、魅力溢れる職場の実現を願って書いていきますので、ぜひ【プロローグ】よりご覧ください。

第一章 職場にいる≪扱いにくい人≫
2項 職場で≪発達障害・精神障害≫問題を乗り越えられる人

>乗り越えられる人の特徴は…

どうやら自分のチームメンバーや部下に発達障害や精神障害を持つ人がいるらしい。
それが分かった時、その問題を上手く乗り越えられる人と、そうでない人がいます。
その違いはどこにあるのでしょう?

相談に来られた方々を分析すると、幾つかの共通点を見つけることができます。

前項でお伝えした ☛ 事実を知ってください を実践できているという点が挙げられます。
要するに、対処・解決に役立つポイントができているという共通点があるのです。


>対処・解決に役立つポイント❷

では、その他のポイントを見ていきましょう。

二番目のポイントは、


第三者にキチンと相談する です。


大きな特徴は、この問題について良いタイミング然るべき第三者に相談をしている点です。


「良いタイミング」というのは、悩みや不満を抱えた人が我慢しすぎていないタイミングを指します。

私が見てきた上手に乗り越えられている人は、発達障害や精神障害と思われる人に振り回されて自分自身が精神的に潰れてしまった後や怒りなどの感情を爆発させてしまった後ではなく、まだ自分の気持ちに折り合いをつけることができる段階で相談をしています。


タイミングと同時に大切なポイントが、「然るべき第三者」の存在。

職場の同僚などの気心知れた仲間に不用意に話してしまうと、不平不満が爆発し、エスカレートしてしまう場合があります。
それを聞いた誰かが、悪口をいっていると思えば、それは”いじめの行為”と変わらないのです。

このことから相談するのに相応しい相手は、職場の産業カウンセラーや産業医といった専門家、あるいは自分の信頼する上司などがよいでしょう。

相談に来られた方の多くは、自分の立場に影響のある直属の上司よりも、今までの社会人生活の中で信頼できる先輩やかつての上司に相談していることが多いです。
中には、聴き上手な家族(夫や妻)に話して、気持ちの整理をつけていると仰る管理職もいらっしゃいました。

しかし、上司や先輩は、あくまで心のゆとりや後ろ盾としての存在であって、社内でご自身に変わって直接解決に向けて働きかけて欲しい!という事ではないと口々に仰います。

要するに「然るべき第三者」というのは、適切な距離を保つことができ、正しく共感してくれ、メンタルサポートをしてくれる人物を指すわけです。


>対処・解決に役立つポイント❸

そして、三番目のポイント 


☛ 固定概念を外す 
です。


上手く乗り越えられた人の性格や気質の特徴を分析しますと、固定概念が強くないことが挙げられます。

「普通〇〇だよね」
「〇〇すべきだよね」
「こうなんじゃないの?」

というフレーズが、プライベートな会話であってもほとんど出てこないのです。本当にうまくチームをまとめていると常々感じています。

固定概念を持っていない人はいないのですが、下のような状況に心当たりがある方は、自分の固定概念と他者の概念の違いを客観視しながら、意識的に改善していく必要があるかもしれません。

〇〇すべきだ!と相手に強くいう時がある
 - 自分の普通・当たり前が社会のルールであると思い込んでいる
他愛もない他人の言動に腹が立つ
 - 固定概念に縛られて感情が振り回されている状態
周りがやってるからいいだろう…と軽いノリで規範を破る
 - 自分の心理状態を疑わない

なぜなら、固定概念に縛られて物事を判断してしまうと、視野が狭くなってしまったり新しい発想が生まれにくかったり、はたまたパートナーシップが上手くいかなくなったり… 社会人には非常にもったいない結果に繋がることが想定されるからです。


驕ることなく、他者の価値観・言動・変化などを受け止めることができる【ゆとり】を持つことが、問題を上手く乗り越えられる人と、そうでない人の違いだと言えます。


>エピソード

教員免許も持ち、人を育てることが好きだと話すチームリーダー(30代・女性)の方のケースをお話ししましょう。

発達障害の部下(Aさん/20代・男性)がいるチームを率いて仕事をしなければいけない案件を抱えている彼女は、悩んでいました。
仕事上、チームで一緒に動かなければいけないけれど、Aさんがいるといつも上手くいかない。
チーム内では、トラブルメーカーのイメージがついてしまったAさんとメンバーたちとの間には、大きな溝ができています。

そこで、管理する立場の彼女は解決策を探そうと思い、インターネット検索を始めます。
「全然話が通じない」
「何十代 男」
といったキーワードで同じようなケースを探しました。

沢山ある情報を隅から読んでいくと、アスペ/コミュ障などのコトバが目に飛び込んできました。
コトバは知っていても、これは『中2病』と同じようなものと捉えており、大人は無関係だと考えていたそうです。

しかし、発達障害・精神障害などを検索するうちに、自分が思っていた普通の社会人・一般的な仕事という価値観で生きることができない人々がいるという現実があることに気がつきます。

ここでSNSを通して私と繋がり、相談が始まりました。

彼女は専門家と繋がろうと思った時の感覚を「恐怖にも似た不安を覚えた」と言葉にしていました。

「相談するのが遅かったら、Aさんを露骨に拒絶していたかもしれない。」
「ひどいことを言っていたかもしれない。」
相談が終わるころには、「Aさんを理解するのと同時に、自分と向き合う機会になりました。」と笑顔で話していらっしゃいました。


>あなたは問題を乗り越えられる人か

多くの管理職の方が彼女と同じように、いじめはいけないと理解していても、カルチャーショックと同時に拒絶・排除したい感覚に陥ると言います。
チームの秩序を守るためには、排除もやむを得ない…
そのように考える方もいらっしゃることでしょう。

ただ前記事でも書きました通り、≪扱いにくい≫と感じる要素を持っている人は社会の中に確実にいます。

厚生労働省「平成28年度生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」
障害者手帳を所持している内部障害者(※)の内20~59歳は、67.2万人
※視覚・聴覚・言語・肢体不自由を除く
障害者手帳の所持に関わらず生活のしづらさを感じている者は、66%
内閣府「平成30年版障害者白書」
精神障害者の内25~65歳は、192.6万人
文部科学省(平成24年公表)
通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒は、6.5%
40人学級のクラスに置き換えると、約3人

これらの様々なデータから考察しても、社会の中に≪扱いにくい人≫は多くいることになります。

ということは、自分と価値観が違う・気質能力が違うという理由で周囲の人を排除しても、自分の周りには一定数の発達障害・精神障害を抱えた人が存在しているため、終わりがありません。
組織の中で排除の論理を持って社会活動を行おうとすると、うまく循環していかないという事になります。

このような背景もあり、ダイバーシティの実現に向けて社会全体で取り組もう!と国を挙げて動き出しています。


多様性ある組織づくりを目指すという事は、個性や特性を持った人と共生するという事であり、同時に、今のあなたが組織から受け入れられるという事なのです。


あなたは、いままでお話しした3つのポイントを踏まえて
≪発達障害・精神障害≫の問題を乗り越えられる人といえますか?

≪説明≫
ダイバーシティ(Diversity)とは、多様性を意味し、障害の有無だけでなく性別・人種などによる差別のない処遇を実現するための取り組み。
現在は、国籍・学歴などの多様さ活かし、企業の競争力に繋げる取り組みとして『ダイバーシティ経営』という言葉が広まっている。

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