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「大人って、なんだろう?」自分のことばかり考えているうちは、まだ、子ども。 | 就活交換日記

これは、葛藤を抱えながら就活している大学生と、東京で働くクリエイティブディレクターとのリアルな交換日記です。今の就活生が感じる心の揺らぎと、社会人からのさりげないエールをお楽しみください。

前回までの就活交換日記

さまざまな人と話す機会をつくることで、新たな自分に気づけたという愛さん。北さんは「それはすごく素敵な就職活動であり、人生活動だよね」と伝え、さらには「未来が見えないことが見えたというのもあり」とエールを送りました。

#11の就活交換日記はこちらから。

今週は、初めて合同説明会に参加したという愛さんの日記から始まります。

登場人物

大学生の愛さん(仮)
地方文系大学に通う就活生。留学経験がある。ひょんなことから北さんと出会い、交換日記を始めることになった。様々な心の葛藤を抱えながらも等身大に就職活動を行おうと奮闘中。

クリエイティブディレクターの北さん
コピーライター歴、約20年。長年採用広報に携わってきた経験から、採用のクリエイティブをもっと面白くしていきたいという熱い思いを持っている。宣伝会議コピーライター養成講座で、求人広告クラスの講師も担当。

愛さんの今週の日記
「情報を、感じる。」

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【2021年2月某日】
今週は、地方で開催されるとても規模の小さいものでしたが初めてリクルートスーツを着て合同企業説明会に参加してきました。参加してみて、「ご縁」がなぜ就活の中で多く使われるかなんとなく分かってきたような気がします。
履歴書を書いて、簡易的に作られた企業ブースに行って、手を挙げて質問をしてみる。実際に体を使って参加したイベントでは、自分のやる気が高くなったのはもちろん、話している人の人間性も直に感じることができたので満足感を持ちかえることができました。

最近はずっとインターネットで情報を仕入れていて、少し頭でっかちになっていました。”絶対に成功する就活”みたいなハウツー情報もあれば、有名な経営者がClubhouseで気軽に話していることまで。今までは手に入れることが難しかった情報が、簡単に、しかも沢山流れ込んでくる状況で、情報に溺れている自分もいるのかもしれません。
実際の会場では、今まで考えもしなかったような企業の説明を偶然聞く機会があったり、ブースでは対人で話を聞くことでその人や会社の雰囲気を理解できたりと、自分の感覚で選ぶことをできたのではないかと思います。インターネットを使って増やした数多の知識と選択肢よりも、一度の偶然と出会いが会社や仕事を決める決定打となる。就活はやはりご縁の構成要素が大きいのかもしれないと実感しました。

ちなみに、最近知り合いのお姉さんと電話をしました。私の就活や進路の相談が主な内容だったのですが、「あなたは自分のことしか見ていない。”外”を全く見ていないあなたはまだまだお子ちゃまだね」と釘を刺され、思わずはっとしてしまいました。確かに自己分析をする時の自分への問いは、いつも主語が自分になっている。私はまだ未熟なので、”大人”の考え方は何だろうと答えを探そうとするのですがよくわかりません。北さんは”大人”って人はどんな人だと思いますか?独立した人?それともお金に余裕がある人でしょうか?

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北さんからの就活エール
「大人というもの」

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今週も日記、ありがとう。寒いなか、愛さんが合同説明会に足を運び、でも、そこでのご縁に心がポカポカしてる様子がとてもよく伝わってきました。

あと、知り合いのお姉さんの一言も刺さったようですねー。たしかに、自分のことしか考えられないうちは大人とは呼べないのかもしれませんね。糸井重里さんという有名なコピーライターは、自分の子供や部下がご飯を食べている様子を見て、自分が美味しいと感じたとき、大人になったと感じたといった類のことを話していました。

僕としては大人になるまでには段階があって、第一段階では時間の感覚が変わりました。就職して社会との関わりが強くなると、時間が自分だけのものから、みんなのものへと変わります。たとえば、待ち合わせの時間に5分遅れることは、相手の時間を5分無駄に使ってしまうことだし、打ち合わせの1時間は自分がどう思うかだけじゃなく、相手がどう思ったかも重要だと感じるようになりました。そして、そうした時間の感覚になったとき、ちょっと大人になったかなあと思いました。

でもって、第二段階は役割への意識。昔はなんでも自分でできると思っていましたが、まあ、そうした全能感は20代前半でなくなり、徐々に自分ができることはなんだろう、このコミュニティのなかでどういう役割を果たせばいいだろうと考えるようになっていきました。これも、大人へのステップの気がします。

そして、いま、差し掛かってる第三段階は、次世代への意識と行動ですかね。何をやるにしても、これは次世代にとって価値があるのか、彼ら彼女らの役に立つのかといったことを考えるようになりました。もちろん、まだまだ自分自身の欲も大きいし、もっと自分の成長のためにも走り続けていく必要があると思っていますが、でも、愛さんの知り合いのお姉さんの助言と同様に「自分だけがハッピーなのは違うかなあ」と思います。とくに、自分の言動が次世代の役に立つことで、相対的に大人としての自分の価値が生まれ、居場所ができる気もするのです。極端な例ですが、子育てもそうですよね。子供という次世代と向き合い、しっかり育てることで、しぜんと大人である親としての責任を果たすことになる。

と、まじめに長々と書いてしまいましたが、いくつになろうと大人げない(子供だなあ)と思うような言動はしちゃうだろうし、大人って無理矢理なるものでもない気もします。というか、相対的に大人にならざるを得ないタイミングが来るだけな気もしますね。
ま、せっかくの就職活動。いろいろ考え、動き、失敗もしながら、大人の階段を一歩一歩上がっていってください。では、今週もがんばりましょ!!
編集:家洞 李沙(Fanclub)

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