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花かんむりと優しさ

朝の清々しい空気の中、私たちはピクニックに出かけた
食後の紅茶の香りが漂う中、優しい空を見上げる
花冠をつけた君が欠伸をしている姿に微笑みがこぼれた
眠気で温かい体温を上書きするようになぞる指先
私だけが知っている君、瞬きの回数でわかる気持ち
平熱に戻るまで夢の中にいることを知っている
眠る前に言えばよかった、瞬きの答えを。
夏の日差しが君を溶かしてしまうまでは
日陰よ、どうかそのままでいてほしい
君の安らかな寝顔を見つめた

偶然飛んできたアゲハ蝶が舞い踊ると花が揺れ
君が摘んでくれた花束にとまった
満足したアゲハ蝶は
「価値ある人間だ」と言わんばかりに
私を一回りしてから空高くどこかへ消えた
寂しさを洗い流すように天気雨が降った
滲む雨粒と君の汗が光る
ハンカチを見つけた頃には雨は止み
夏の日差しと湿度で君は目を覚ました
君との関係は妥協を繰り返してきたが
だからこそ少し特別に感じてしまう
酸素を全身に吸い上げてゆっくりと起き上がる

そろそろ帰ろうかという君は
いつだって正しいことばかり口にする
少しくらい雑なところがあってもいいのに
空の青さが私には眩しい
なにかにしがみついて生きてきた人生だ
寄生というよりかは響きがいい
通りすがりのてんとう虫が
「何が正義だ」と言わんばかりに飛んでいった
ほんのわずかな素直さを持ち合わせていれば
私が花冠をつけていただろうに
君が私に花冠をつけようとすれば
私は君につけてほしいと願う
そんな姿を見て君は
いいよ、いいよって花冠をつけてくれるものだから
いつまでも君の優しさに溺れたくなってしまう

家について窓を開ければ、眠くなるような風が吹く
誰よりも優しい君は
午後の夢を見る私の横で水分を取る
炭酸の物音ひとつ立てないように

あとがき
この詩は、彼女(主人公)と彼氏の深い絆と共生の姿を描いた物語です。彼女の視点から描かれた詩は、穏やかな夏の日、花冠を彼氏が彼女へ渡しますが、彼女は素直な性格ではないため、彼氏につけてほしいと願います。
彼氏は、彼女を喜ばせるために花冠をつけてくれ、穏やかな空気の中で眠りに落ちます。彼女はそんな彼氏の優しさと気配りを心から愛おしく感じています。

彼氏が眠りに落ちる際、手が温かくなるまでの彼女の観察は、彼氏への深い愛情と、彼の存在が彼女にとっていかに特別であるかを表現しています。また、花束は彼氏が彼女のためにピクニック先で摘んだもので、彼女にとってそれ自体が愛情の象徴です。

詩中に登場する蝶は、彼氏が作った花冠や摘んだ花束に満足し、彼女を「価値ある人間だ」と祝福するかのように舞います。これは、彼氏の愛情に満ちた行為が彼女にとってどれほど大切であるかを象徴しています。

一方で、彼女は社会の一般的な価値観に対して疑問を抱いています。彼女は今働けない状態にいます。てんとう虫が天敵から逃げる姿を見て、「何が正義だ」と考える彼女は、世間の正義や自立という価値観とは異なることを自覚しています。彼女にとっての「正義」とは、単に独立して生きることではなく、彼氏との助け合いや支え合いによって成り立つ関係です。

この詩は、彼女と彼氏の関係が持つ儚さと美しさ、そして彼女にとっての「正義」が何であるかを問いかける、心温まる物語です。正義は結局人それぞれですね。

言葉の羅列から生まれるストーリー

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※私は眠たくなると手があたたかくなります
それがお昼寝の合図ですw

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