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季節外れのアジサイ

夏の太陽に負けてしまった君が
枯れて儚く散りそうだ
梅雨からずっと咲き誇っていた君の
生命が尽きた瞬間か

夏の暑さのせいなのか
僕の怠慢なせいなのか
ただ本当に終わったのか

梅雨が好きだった君はあまりの夏の暑さに
生きる希望を失いかけては
まばゆい太陽を睨みつけ、怒って
変わらない環境に愚痴を重ねて。

進むべき道はいろいろあっただろう
どうすればよかったのかなんて結果論だ
まだ大丈夫だろうと
めんどくさくて君の生命力を盾にして
ほっていたのは僕なんだから。

今更後悔しても遅いじゃないか。
君が枯れてしまう前に、体の中はボロボロだったんだろう
焼けたアスファルトの上で、汗をかきながら見つめる君の姿が、
どれほど悲しかったのか。
そんなことを見せない君に、僕は安心してたんだ

君の強さと優しさに甘えていたんだ

面倒見のいいとは言えない僕は
話しかけることも、愛情を注ぐことも気まぐれで
それでも健気に咲き誇る君を、僕は誇りに思っていたんだ
本当だよ。

君のおかげで僕の人生に華が咲いていたんだ

君を大切にすると言ってから、僕は今日まで君のことを。
本当に本当に・・・。

枯れてしまった君へ涙の雨を降らす
もう遅いことは分かっているんだ
だけど、こうもしないと自分を許せないんだ
どこまでも自分勝手な僕を許してなんて、
そんな烏滸がましいことは言えないけど。

君が梅雨の間咲き誇ってくれたことで
僕は怠惰な梅雨を乗り切れたんだ
君が咲いている間、僕の世界は色とりどりに染まっていた。
これだけは断言できる、そう君のおかげってこと。

君が咲き終わってもずっと美しい姿に
どれほど命を救われたことか。
どれほど心が洗われたことか。
君の一枚一枚を僕の胸にしまって。

君が眠りにつき、また目覚めるころには
君を今度こそ幸せにすると誓うよ。
お休み、アジサイのような人よ。

あとがき
夏が終わると切ない気持ちにありがちです
真夏の暑い日、庭に置いていたアジサイの鉢は見事に枯れてしまって
ドライフラワーになってました。
あの時の悲しさと切なさをあなたにお届けします。
紫陽花のような人へ。

この気持ちはなんて呼ぶのか教えてほしいです

儚く/美しく/繊細で/生きる/葛藤/幻想的で/勇敢な 詩や物語を作る糧となります