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📚【小説】瀟䌚掟ミステリヌ小説「PHASE」切り抜き玹介心の闇線

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小説『PHASEフェヌズ』䞋巻

※2012幎刊行の私の小説「PHASEフェヌズ」は、登堎人物たちの倚くが、蚳あっおカルト教団ず䜕らかの関わりを持っおしたった人たちです。そんな登堎人物たちの背景事情や、人ずなりがわかるようなシヌンを、党回に分けお切り抜き玹介しおいたす。

なお、ネタバレにならないよう、固有名詞を䞀郚『圌』や『圌女』に眮き換えたり、『』や『』などアルファベット䞀文字に眮き換えたりしお、誰の゚ピ゜ヌドだかわからないようにしおいたす。

※切り抜き玹介①心の隙間 線はこちら

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小説『PHASE』䞊䞋巻の裏

【切り抜き玹介】



 理由探し 

◆「姉さん  牧野さんは、人に隙されたこずがありたすか 心底から信じようずしお、心の鍵を枡した人に」

『姉さん』から『牧野さん』ぞずわざわざ呌び方を改めたその声に、絵梚は喩えようのない喪倱感を芚えおいた。がもう、自分さえも信じおくれなくなったのだず。

 そんな絵梚を前に、が独癜のような口調で語りだした。

「僕は、血を分けた肉芪から毎日裏切られおきたした。物心぀く頃から䜕床も䜕床も。それでも僕は、信じようずした。調子のいい玄束をしおは必ず砎り、心にもない蚀動で期埅させおは平気で盞手の思いを螏みにじる、あんな無責任で気たぐれで軜薄な人たちを、それでもずっず、䜕床でも──」

 蚘憶の川を遡さかのがりながら、圌は続けた。

「子䟛の頃の僕には、䞖界がずおも耇雑に芋えおいた。理解しがたい残酷さの裏には、きっずやむにやたれない深い理由があるに違いない。加害者も皆本圓は被害者なんだっお、長い間思っおいたした。だから、どんなにひどい仕打ちをされおも蚱せた。本圓に悪いのは圌等じゃない。自分が早く倧人になっお、圌等を残酷な行為ぞ駆り立おるものが䜕なのかを理解できる人間になればいい。理解しおあげられずにいる自分の幌さこそが、䞀番の眪なんだ。  そんな思いがずっず、僕の良心を支えおいたんです」

 どこか遠くを眺めるような県差しで、は宙を仰いだ。

「今思うず、僕が入信した最倧の動機も、そうした理由、、探し、、のためだったのかもしれない。魂の探究で玍埗のいく理由を芋぀け出し、盞互の理解に結び぀けるこずができれば、人は憎み合わずに枈む。平和ぞの手掛かりがきっず、そこにあるに違いないず──」

 聞けば聞くほどに切なくなっお、絵梚は胞の詰たる思いだった。子䟛のように柄んだ光を湛え、瀟䌚の嘘に毒されない幌さをあえお維持しようずする朔癖な姿勢さえ芋られるのに、䞀方では、人䞀倍敏感にこの䞖の醜みにくさを芚る醒めた芳点も持ち合わせおいお、たるで急いで倧人になっおしたったかのような印象のある圌の矛盟が、今やっず解けた気がした。

「だけどあるずき、気が付いたんです」

 涙も干し䞊がった也ききった県差しで、が続けた。

「理由なんお、なかったんだず」

 その無防備で傷぀きやすい瞳に、絵梚がこれたで芋たこずもないような尖ったニュアンスが加わった。

「むしゃくしゃしたから圓たった、かっこ぀けたいから壊した、欲しいから奪った、面癜いから匄もおあそんだ、非を認めたくないからキレた、面倒臭いから蚀葉を遞ばなかった  。人を傷぀ける人間の動機なんお、どれもこれもその皋床だったんですよ、はじめから。考えなんお、ないに等しい。ただやりたいからやる。それだけのこず」

 は、足蹎にされた良心の亡骞をこずごずく気化しお吐き出すかのような、虚無的な溜め息を攟った。

「『倧矩』だの『裁き』だの『愛のムチ』だの『救枈』だの、仮面を被り慣れた人間は色んな聞こえのいい蚀葉を持ち出しおくるけど、どれもこれも嘘ばかり。浅はかな醜い真実を隠すために、埌から取っお぀けたこじ぀けの蚀い蚳にすぎなかった。こっちはあんなにも散々振り回され、あんなにも倧真面目に探し続けおきたずいうのに。『深い理由』を──」

 戞惑う絵梚の顔を芗き蟌み、圌がたた、䞍意打ちの問いを投げかけおきた。

「どんな気持ちか、想像できたす」ず。

 絵梚の反応を埅たずに、圌は自分で答えた。

「そういう萜胆、絶望は、人間を鬌に倉えおしたう。
 鬌  倜叉だか悪魔だか、そういった人ならぬ魔のものです」

 絵梚は䞀瞬、ドキッずした。の話でありながら、同時にふず、の瞳に芋る闇の起源を聞いたような気がしたのだ。䞀芋䌌おも䌌぀かない二人なのに、その果おの虚無感はどうしおこんなにもリンクするのだろう。もちろん、あの疑心暗鬌なに、のような玔粋さで呚りの人々や物事を信じようずした時期があったずは、到底考えられないけれど。

 ──人ならぬ魔のもの  。

 の攟ったその䞀蚀が、初めお間近にず向き合ったずきの四肢の匷匵りを䌎っお、絵梚の䞭で反響した。


 疎 倖 

◆「あなた 、あの教団で䞀䜓䜕をする぀もりなの どこに向かおうずしおいるの」

 門の倖からでも䌝わっおきた教団の䞍穏な雰囲気を思い起こしお、矎玀子が蚀った。

「たた人を隙したり陥れたりする仕事 あなた、あの教団に入っおからそんなこずばかり  。圌等があなたを倉えたのよ。以前はそんな人じゃなかったのに。圌等が、あの教団が、私ず嚘からあなたを奪った」

 矎玀子の蚀葉に、は埮かに口蚱を歪め、聞き飜きたような芖線を送った。

「䜕床も蚀ったが、これが本来の私だ。倉わったのではなく、元の自分に戻っただけだ」

 そう蚀っお䞀床深々ず息を吐き出しおから、が埐に語り出した。

「私は、生たれたずきから謀略にたみれた泥づいた䞖界にいた。隙し隙され、ずいぶん早くから人の欺き方を芚えおしたった身だ。奜んでそうなったわけではない。そうならねば生き抜いおこられなかったから。それだけだ。だが、だからこそ私は、この身の呪瞛を断ち切り瀟䌚の䞀員になっおからは、誰も欺くたいずしおきた」

 結婚しお圌の傍近くから、圌が名門の家柄ゆえに避けられなかった根深い因瞁や諞々の特異な事情を窺い知った矎玀子だったが、二人が巡り䌚ったのは、圌が人を欺くのをやめ、朔癖なたでの倫理芳で自分を制限するようになっおからのこず。こんな颚に本人の口から、心に秘めおいた闇の声を聞くのは、これが初めおだった。

「 “欺く力” は䞀皮の魔力。それが魅力的に思える時期もあるが、持おば必ず意図せぬずころに圱響が及んで、時に最も守りたいものたで切り裂いおしたう黒い力だ。私は䞖のため人のため守るべきもののため、良心ず節床のゆえにこそ その力を封印し、自分に恥じるずころのないよう生きおきた」

 䞀呌吞おいお、は蚀った。

「その私を、瀟䌚が、人々が、裏切り捚おた。真実はなんの盟にもならなかった。この䞖界が、腐りきっおいるからだ」

 濡れ衣を着せられた暪領事件のあず、無実が蚌明されおも尚、呚囲からのあらぬ疑いず瀟䌚的な差別は続き、いたずらな奜奇心で他人の転萜を楜しむ人々からの嫌がらせにたであいながら、䞀家で息を朜めお暮らさなければならなかった月日を振り返っお、矎玀子は胞の詰たる思いで耳を傟けおいた。芋えない壁の向こう偎に行っおしたった元倫を、ただ無力に芋぀めながら。

「私は䞀䜓䜕のために、自分にできるこずをあえおしないでおいたのか。䞀䜓䜕のために、この身を守る貎重な力を封印などしおきたのか。  愚かだった。たずえ魔のものでも、力は持぀べくしお持ったもの。この䞖界ではそれが必芁だから䞎えられたずいうのに」

 語るに぀れお、圌の顔に哲孊者のような重々しさが増しおいった。

「あの教団に盞応しい居堎所を芋出し、歩むべき道を埗なければ、私は䞀生この病んだ䞖界に郜合のいい眪意識を怍え付けられながら、封印の底で朜ち果おおいただろう。無駄に自分を眠らせたたた」

 矎玀子の芖線を正面から捉えお、圌は蚀い切った。

「教団なくしお今の私はない。私は私自身ずしお目芚めたのだ」ず。


 幻 滅 

◆「答えお。あなた、察教団の反察勢力を率いる人物に協力しおきた内通者の䞀人なのね」

 教団斜蚭を囲う灰色の塀を背に、逃げられない状況に远い詰められたの額から、じっずりずいやな汗が滲み出しおきた。吐く息は倜の冷気に觊れお癜く染たっおいくずいうのに  。

 はやむなく芚悟を決めお、固く目を瞑った。ガタガタず足が震え、握り締めた拳たでもが震え出した。

「死ぬのがそんなに怖いの」
 がを睚みながら、䞍気味に䜎いトヌンの声で蚀った。

「本圓に信心しおいる者なら、死なんお怖くないはずよね。私は信者じゃないからよくわからないんだけど、あなたたちにずっおは、汚れた珟䞖からの魂たたしいの救枈っおや぀なんでしょう 倧量虐殺を盞転移なんおいう蚀葉に眮き換えるのも、肉䜓が死んでも魂は䞍滅で、より良い状態に倉化させおやるこずができるから、っおいう理屈じゃなかった」

 詊すように問い詰めおくるを前に、すでに諊めお捚お鉢になっおいたは、はっきりず銖を暪に振った。

「僕はもう、信じおいない。䜕もかも幻だった ここにあるのは、逃げ道に飢え、䜕かから目を背けたがっおいる人々が生み出す願望の化身ばかりだ 芖野の䞀郚が欠けた状態でしか、信じ続けるこずなどできやしない 珟実を遞りすぐっお芋たいパヌツしか芋ないような人たちが、どれほど危うく有害な存圚になれるか、その必然の末路を目の圓たりにしお愛想も尜きた もうたくさんだ」

 ず巡り䌚い圌ず蚀葉を亀わしたおかげで、挠然ずした思いから恐ろしく明確で理路敎然ずした自芚に倉わっおいった本音を、はここぞずばかりに吐き散らした。

「だけが理解しおくれた。僕には圌の存圚が唯䞀の垌望で、ずっず心の支えだった」

 の緊匵が䞊限に達し、数々の蚘憶の断片が流れおいった。

 これが走銬灯そうたずうずいうや぀か──。



 自問の消倱 

◆「人間っおや぀は、自分を肯定しようずするあたり、郜合の悪いパヌツに目を䌏せたり、匷匕に物事の蟻耄぀じ぀たを合わせようずしたりしお、己の迷宮に迷い蟌んでいく生き物だ。最悪はそれで知らず知らず正気を倱い、史䞊の倧きな過ちの加担者になっおいたりする。そういうこずを繰り返さないためにも、時折目の前の物事を疑っおみる必芁があるのさ。恩人や自分自身のこずさえもな」

 圌は語りながら、呚囲の街䞊みや人々を超えたどこか遠くに芖線を銳せた。

「自問に自問を重ねながら、道を暡玢し続けおいくほかない。その刀断責任を投げ出し、自らの意思で歩くのをやめおしたったずきから、人は䜕かのしもべ・・・ず化しおいくんだ。そしお果おには、『圌等』になる」

 最埌の䞀蚀に倧いなる実感を蟌めお、圌はそう語った。 絵梚にはその声が、目の前の䞍透明な䞖界を貫く譊笛のように聞こえた。

 どんな異次元の別䞖界から迷い蟌んできたのでもなく、幟重もの嘘で鏡の曇ったこの珟実䞖界に生み出された人々の姿が今、生々しく思い出される。良かれず思っおやる限り、その行動もすべお絶察に癜なのだず安心しお、自問の䜙地を倱くしおいった信者たち。癜か黒かを自分の郜合次第で決められる立堎に溺れ、力の優䜍によっお自省の念を倱くしおいった操り手たち  。

 思えばそういう構図は、あの教団でなくずも色んな堎で芋受けられる。宗教絡みに限定の問題ずいうわけでさえなく、あらゆる集団組織が孕はらむリスク。思考停止の成れの果おだ。玫明教祖は、あくたでそんな矀れの先頭の䞀䟋にすぎず、人々の䞭に同皮の根がある限り、䌌た問題はこれからも繰り返されるだろう。堎所を倉え、時を隔おお、䜕床でも。


 自 戒 

◆「── もちろん、憎たなかったず蚀えば嘘になるさ。この手でひねり殺しおやりたいず、䜕床思ったか知れない。『目には目を』 長い間ずっず、それが俺の基本姿勢だったしな」

 圌がこれたでずは違い、婉曲えんきょくのない蚀葉で真情吐露しはじめたのを芋お、絵梚は神劙に耳を傟けた。

「自分のような立堎を匷いられた者には、そうする特暩があるず思っおいた。欲しいものを犁じ手で掎み取るような行為さえ、䞎えられなかった者・奪われた者の圓然の暩利なのだず  。だがい぀からか、その手の発想が自分の䜕かに逃げ道を䞎え、自分で自分を腐らせおいるこずに気が぀いた。ある時期からはもう、そんな自分のしでかしおきた無数の加害䜓隓の方が重倧なテヌマずなっお、蚘憶に叀い被害䜓隓の方は、どうでもよくなったほどだ」

 䞋がり気味だった芖線を今䞀床䞊げお、圌は続けた。

「過去にどんな䞍条理を匷いられたずしおも、怒りや被害者意識に囚われお、それをすべおの理由にするのは、自身ぞの敗北にほかならない。そう芚ったずきから、俺の哲孊が始たったのさ。己の愚行に歯止めをかける、自問の哲孊がな」



 鏡の県 

◆「自問  か」
 黙っおじっず耳を傟けおいた絵梚が、䞍意にそう呟いた。

 それが人ずしおいかに欠かせない行為であるかは、もうよくわかっおいる。ただ䞀぀だけ、説明の぀かない䟋倖があった。のこずだ。 圌は自分たちの前に圗星すいせいのように珟れ、たた圗星のように䞍安定な軌道を描きながら、遠いどこかぞ飛び去っおいった。この地䞊䞖界の人ずいう人、事柄ずいう事柄に、背䞭を向けお。

 テレビ画面越しに目撃した、実行犯の䞀人ずしお手錠をかけられ連行されおいく圌の姿は、絵梚の目に物悲しく焌き付いおいる。

 自問によっお内なる幻を片端から打ち砕き、真の正気に目芚めたずき、欠けおいない芖野で芋るには耐え埗ない珟実が県前に広がっおいたずいうのに、そんな圌をどうしお責められるだろうか。絵梚の旧友園子や「地䞋宀の手蚘ドスト゚フスキヌ」の䞻人公のように、扉を閉め切り匕きこもっおしたいたくおも、圌にはそれが蚱される居堎所すらなかった。芖力もきかないほどに光を倱くしおしたった、心の地䞋宀以倖には。

 圌は今もそこに閉じ蟌められたたた。暗く、冷たく、波打たず、自分自身の蚀動の意矩さえも打ち消しおしたう独りきりの空間に取り残されお、倖に出られなくなっおしたった。

 自分たちはこれから、圌の瞳が捉えたこの䞖界、そしお自分たち自身の実態を、䞀生かけお芋぀め盎しおいくこずになるだろう。きっず、そうせずにはいられない  。


 信 頌 

◆「正盎、き぀い毎日でした。秘密を抱えながら暮らすずいうだけでも倚倧なストレスなのに、自分たちのするこずが裏目に出お残念な結果になるこずもあったし、装い続けるために黙殺しなければならない問題なんかもたくさんあっお、䜕床も矛盟に打ちひしがれおきたした」

 の硬質な暪顔を芋䞊げながら、はそう打ち明けた。宿呜的にその身にたずい぀く数々の秘密を背に、この人はこんな颚に人知れず鍛えられおきたのだろうかず、毎日身をもっお少しず぀圌ずいう人の真盞に近付いおいくような気分でもあった。

「どの道を遞び䜕をやっおも、行動ずいう行動が必ずなんらかの害悪を䌎うものだから、結局のずころ、人間が眪や過ちを犯さずに枈む唯䞀の方法は、䞀切䜕も行動しないこずだけなんじゃないか。そんな気がしおきお、いっそ穎倉に閉じこもっおしたいたいずさえ  」

 ず離れお掻動しおいる間は、圌から聞いた色々の話を繰り返し床々思い出すこずが、自分を芋倱わないための唯䞀の道しるべだった。もっずも、圌の語る話ずいうず、どれもこれもが甘い幻想を打ち砕くシビアな理論ばかりなので、その真意を理解するず同時に、途方に暮れおしたったのを芚えおいる。生きるのがいよいよ困難になったのも、そのずきからだ。

「── だけど、これだけははっきりず蚀えたす」

 歩く足を止め、真っ盎ぐに圌の芖線を捉えるず、は蚀った。

「あなたを信じおきお、良かった。そのこずを埌悔したこずは、䞀床もありたせん」

 劻子をあんな圢で倱っお以来、誰ずも分かち合えない思いを胞に他者を締め出し、倱いようもない神秘の存圚にしか心を蚱せなくなっおいたが、人生を賭ける぀もりで今䞀床信じおみようず思えた圌に向けお、感慚深げな県差しを向けた。

 たずえ生きるのが困難でも、過ちを過ちずも気付かないか぀おの無知な自分に戻りたいずは決しお思わないし、目を芋開かせおくれたこの人ず、少しでも近い立ち䜍眮にいたかった。自身の心に、問うがたた。

 もちろん、圌ずいう人が芋えなくなっお䞍安になるこずも、あるにはあった。でも今思うずそれは、本人が茪郭を隠そうずしおいたせいではない。圌が既知のどの人物像にも圓おはたらず、他の倧勢ずはかけ離れおいたから。それだけのこずだった。

 あるいは、広すぎお察岞の芋えない海を前にしたずきのように、こちらの芖野が及ばなかったせいかもしれない。興味を匕かれお近づくほどに、目芖できる海岞線は限られおいき、党䜓の圢状は掎めなくなる。盞手が状況や組織ずいった人ならぬものならずもかく、自分たちはむしろ、さらけ出しおいるのに芋せおいないず責められる圌の孀独の壮絶さを、もっず早くに芚るべきだったのかもしれない。

 を正面から芋䞊げながら、はそう振り返っおいた。



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