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マレフィセントの涙

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タイトル なし

タイトル なし

私のことを信頼できるようになったら
公表してもいいなんて、
何を持って信頼したなんて
言えるんだろう

目を見て話すこともままならないのに
対話
文字と文字での対話

限界を感じるのは私だけか
(中略)
心と心がこんがらがっている今
なかなかむつかしいことであると思う。

なんでこんな袋小路に入り込んでしまったんだ
自分が好きで始めたことで
入っていきたい世界だから
入っていきたいのに
そこには入

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22滴目

22滴目

生まれたい

うまれたい
うまれたい

私が産まれたがって
暴れている

しずまれ
しずまれ

鎮れない
私が産まれたがって

生まれ直したい
願わくば
軽い身体で
起き上がりたい

紙の上で

19滴目

19滴目

故郷

母の家に里?帰り?

やっぱり来るんじゃなかったな

自分に帰る家がないと
思い知るだけ

祖父母の愛の結晶の家
娘に惜しみなく与えた
彼らの生きた証

暖かいまっすぐな愛の中
まっすぐすくすく育った母という
娘さんの棲家

新興宗教サークル仲間に
満たされて暮らす
出戻り極楽御殿

祖父が妻を心から愛し敬い
祖母が美しく穏やかに暮らした跡

家中に飾られた
祖父が彫った額縁に収められてい

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マレフィセントの涙

マレフィセントの涙

マレフィセントは少女時代に、若き日の王から、翼をもがれる被害に遭いました。痛みに苦しみ、翼がなくなったことを悲しみ、怒った天使は、強い魔女になりました。
「絶対に、許さない!」
あとのお話は、皆さんの知る通り。自分の翼をもいだ王の娘に、呪いをかけてしまいます。
「16歳の誕生日の日没前に、糸車の針に指を刺して深い眠りにつく」、と。

===

しかし、隣国の天使・エルの場合は、翼をもがれたのではな

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21滴目 泡

21滴目 泡



考慮に入れた世界
考慮に入れない世界
こんなにも違う
 あ゛ 
 あ゛
蓋のない虹色の世界
そんなものが
あるのか
 あ
 あ
蓋のない世界を
知ることができない
オス達
 亜
 亜
オス達の世界を
私は想像してみます
 亞
 亞
けれど何故
あなたが
私に
蓋をする
 亞
 亞
好きで蓋をされてない
私は 好きで蓋をされてない
 あ゛
 あ゛
あなたはどうだ
好きで蓋をして 居るか?
 嗚

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20滴目 氷

20滴目 氷

北風

心が氷点下で
北風ばかり吹かせてしまう

あなたを蔑み蔑み蔑みつくした
青春時代に
凍らせた心

だれかの春風が
私の心を溶かすとしたら

陽の光が当たるところへ
足を踏み出す以外
ないのだと思う

===

日陰者

慰み者は
日陰者
一生日向には出られぬ
慰み者は
日陰者
日陰に囲われて
アンダーザグラウンド
それでも守られているなら幸せでいられる
多少息がしづらくとも

===

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18滴目 大丈夫

18滴目 大丈夫

大丈夫

お母さんのお手伝い
ゆうげの支度

餃子を包むのは
小さ過ぎたり
大きくなって破れたり
あんまり得意じゃないけど
慣れてきたよ

コロッケの衣を付けるの好き
小麦粉のお皿 →
溶き卵のお皿 →
パン粉のお皿
順番にくぐらせて
俵形なのがうちのコロッケの特徴

お父さんとお母さんの部屋にある
だいぶ使い古した
分厚い料理の本
ああいつも食べてるの
ここに載ってる

いつも並んでる
綺麗で美

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17滴目

慰安

がんばってるね
ヨシヨシ

そう言ってほしかっただけでしょう? 

慰めて
安心させて
あげるから

女神の国では
女の愛が命綱
男の愛じゃ飢餓飢饉

よその国には通用しません
湿潤の大地では
女は性で国をも産める
女神になれるなど

欲望抑止

私達物質である以上
物質と物質は惹かれ合う
性の欲望もそれと変わらず
ただただ触れ合いたいだけ

そんな飢餓を
抱えていたら
大変
電車でバスで

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16滴目 白濁液

16滴目 白濁液


※ 露骨な内容を含むので、有料コンテンツとさせていただきます。

 前回の公開で「いいね」をつけてくださった方々、記事を一旦削除してしまい、申し訳ありませんでした。こちらで購入していただいた場合にはお手元から消えることはございません。

poems & voice by 古瀬詩織

===

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15滴目

静寂

私よりも彼の方が辛いんだ
私は黙って
しんとしてればいいだけ

文字にしてしまうと
ただの私の被害になってしまう

彼が苛まれ
苦しんでいた
罪の意識

ああ
きっと

穢されたことよりもおそらくは
重たいものだ
十字架は彼の背に

背中合わせ

私はとうにあなたを許しているのに
あなたが自分を許さないから
私もずっと、いつまでも
私を解き放てないのです
性とはそういうものなのでしょう

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14滴目

新興宗教

あたらしい教義
つよい引力
ねづかない文化

そちらばかり向いてしまって
おかあさんは私たちに
そっぽ向いて
ほってしまって
一心不乱においのりおいのり
おかあさんはかみさまにむちゅう

はなれてすむ
あなたたちのことを
まいにちかみに
いのっているの
まいにちよ!

私たち
どれだけ
さみしかったか
おかあさんには
わからない

おかあさんは
さみしくなかった
かみさまと
かみさまな

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13滴目

13滴目

水溶液

溶けているのが
お砂糖なのか
塩なのかが
わかりません

だから
味を尋ねられたのが
たまらなく
うれしかった

味わってもいいのだと
甘くってもいいのだと

甘いのか辛いのか
解らない 
私の舌は
麻痺してばかになっているけれど
ゆるしてね

あなたは私に
溶けている

===

written by 古瀬詩織

12滴目

12滴目

結婚記念日

あなたと結婚して、よかった
13年目の正直

幸せ?

と聞かれたら
涙がこみあげてきて、
こたえられなかった

浄化されるのは
いつなのだろう

どれだけ待てば
どれだけ発酵させたら
蒸留されるんだろう
濾過されるんだろう

まだまだ樽に浸かっていなきゃ
いけないみたい

11滴目 あえて

11滴目 あえて

書籍

ことばはみんなのもの
所有され得ない
Twitterのように混ざり合うもの
会話のように混ざり合うもの

がしかし本は
一個となり
なぜか所有される
混ざり合わない個体

持って帰れないのが悔しい、
また会いたいのに。

家に置いておきたい、
いつでも会えるように。

私の「もの」にする言葉は
私の傍に居てほしいことば

手を伸ばせばすぐに届く
私の目に常に触れ
撫でることができる

敢え

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