マガジンのカバー画像

小説『クリキャベ🥬』感想たち

45
創作大賞2023 朝日新聞出版賞受賞作、そして2024年4月5日に発売した書籍『クリームイエローの海と春キャベツのある家』にいただいた感想記事たちをまとめました。たくさんの感想あ…
運営しているクリエイター

#朝日新聞出版

せやま南天さん著「クリームイエローの海と春キャベツのある家」(#創作大賞感想)

せやま南天さん著「クリームイエローの海と春キャベツのある家」(#創作大賞感想)

創作大賞2023で朝日新聞出版賞を受賞した、せやま南天さんの「クリームイエローの海と春キャベツのある家」。

少しずつ読もうと思ったんですが、一気に読んでしまいました。

主人公が異世界に行くわけでも、事件が起こるわけでもない、日常そのものが舞台です。しかし、「日常」というものがいかに忙しく、ドラマと事件の連続であるか…。

洗濯物の海で溺れそうになりながら、隙間を見つけて息をして、額に汗して奮闘

もっとみる
全人類に読んでほしい!世界共通語の家事小説。

全人類に読んでほしい!世界共通語の家事小説。

「家の形だけ数がある」
家事の本質を捉えた一文。わたしが1番心に残ったワードです!

せやま南天さん「クリームイエローの海と春キャベツのある家」(朝日新聞出版)さんから書籍化 おめでとうございます。「クリキャベ日記」で編集日記を追いながら、書籍化を大変心待ちにしておりました。編集者さん、校正者さん、イラストレーターさん、それ以外にも多くの人の手を返し書籍が作り上げるまでの舞台裏を垣間みさせていただ

もっとみる
クリームイエローの海と春キャベツのある家を探検する

クリームイエローの海と春キャベツのある家を探検する

 たまたま見たドラマの、たまたま聞いたセリフが、妙に頭に残ることがある。

 そのドラマの主人公である主婦は、目の前にいる夫にこう言った。

「私は毎日、マイナスをゼロに戻してるの」

 足の踏み場が確保されたフローリング。衣装ケースに畳んでしまわれている洋服や下着。温かいご飯。いつの間にか沸いているお風呂。

 快適な生活を送るためにある行動の前後には、必ず家事がついて回る。

 妻の悲痛な叫び

もっとみる