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まいにち易経_0622【苦しみに習う】水洊りに至るは習坎なり。君子もって徳行を常にし、教事を習う。[29䷜坎為水:象伝]

象曰。水洊至習坎也。君子以常徳行。習教事。

象に曰く、水しきりに至るは習坎なり。君子以て徳行を常にし、教事を習わす。


坎は水。水は止まることなく流れ続ける。あらゆる障害や困難に耐え抜いて、大海へと辿り着く。立派な人物は、この絶え間なく流れる水のように、どんな障害や困難にも耐える性質を手本にしている。常に徳行を重ね自己を磨き、誠意を持って反復しながら、人々を教え導く手本となる。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

「水しきりに至る」とは、次から次へと難題や苦難が押し寄せてくる状況を表しています。水が溢れんばかりに迫ってくるように、人生の中で様々な困難に見舞われることを指しているのです。
しかし、君子(リーダー)はそうした苦難を恐れたり避けたりするのではなく、「常に徳行(高潔な行動)を持ち続け、教えと経験を身につける」のだと説かれています。つまり、困難に立ち向かい、それを乗り越えていく姿勢が何より大切なのです。そうした過程を経ることで、人々から信頼され、導く資格を得られるのです。

例えば、私がかつて経営していた企業でも、幾度となく経営危機が訪れました。しかし、そのたびに私たちは柔軟な対応を心がけ、状況に応じた解決策を見つけ出してきました。一度、リーマンショックの影響で大きな赤字を出したときも、全社員が一丸となって新しいビジネスモデルを模索し、乗り越えることができました。困難に直面したときこそ、新しいチャンスが生まれるのです。

人生には必ずと言っていいほど困難が訪れます。それを避けることはできませんが、その中でどのように行動するかが重要です。水がどんな障害物にも適応しながら流れ続けるように、私たちも困難に対して柔軟に、そして粘り強く対応することが求められます。
私が経営者として心がけてきたのは、常に現場の声を聞き、変化に対応することでした。例えば、新しい技術が登場した際には、すぐにそれを取り入れ、業務の効率化を図るよう努めました。時には、古いやり方に固執することもありましたが、それでは変化の波に飲み込まれてしまいます。柔軟な対応と進取の精神があれば、どんな困難も乗り越えることができるのです。

皆さんに伝えたいのは、困難や試練は決して避けるべきものではないということです。それは私たちを成長させるための貴重な機会なのです。どんな困難にも立ち向かい続けてください。そして、その姿勢を周囲の人たちに示し、共に成長していくリーダーになってほしいと思います。


参考出典

「水」は苦難、険難を表す。「水しきり」とは、険難が次々に流れて押し寄せてくる様子をいう。
その度に自ら険難を受け容れ、水に逆らわずに流れ進むように、何度も繰り返し苦しみを習う。これを習坎という。君子とは、度重なる苦しみの中にあっても逃げず、止まらず、前に進み続けるのを常にし、下の人に教え、習熟させる者である。

易経一日一言/竹村亞希子

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