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まいにち易経_0623【悦びは志を叶える】説びてもって貞なるに利ろし。ここをもって天に順い人に応ずるなり。[58䷹兌為澤:彖伝]

説以利貞。是以順乎天而應乎人。

よろこんで以てただしきに利あり。ここを以て天にしたがって人に応ず。


悦んで天の道理に従って物事を進めてゆけば、部下や大衆の要望に適切に応えることができる。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

「兌為澤」の卦は「」という字を使っていますが、これは「悦ぶ」という意味があります。また、「澤」は、水が豊かに溢れる様子を示しています。この卦は、二つの澤が重なっていることを表していて、喜びが重なり合う様子を象徴しています。

説以利貞よろこんでもってただしきにりあり
これは「喜びが正しいものであるならば、物事はうまくいく」という意味です。しかし、ここで重要なのは、「喜び」にも正と不正があるということです。例えば、賄賂や不正な手段で人を喜ばせて物事を進めることは、一時的には成功するかもしれませんが、長期的には必ず問題を引き起こします。

ここで、「天に順い、人に応ず」という考え方が出てきます。これは、自然の法則や普遍的な道理に従い、人々の真心に応えることが大切だという意味です。リーダーとして、私たちは常に正しい道を選び、誠実な心で人々と接することが求められます。

では、これを実際のビジネスの場面に当てはめて考えてみましょう。あるプロジェクトが成功するためには、チーム全体が喜びを共有することが重要です。しかし、その喜びが短期的な利益のためのものであれば、やがて問題が表面化します。例えば、業績を上げるために無理な納期を設定し、チームメンバーに過度なプレッシャーをかけることは、短期的には成果を上げるかもしれませんが、長期的にはメンバーの疲弊や離職を招く可能性があります。

リーダーとしての役割は、チーム全体の幸福と成長を促進することです。喜びは、そのための重要な要素です。ただし、その喜びが一時的なものでなく、持続可能であることが必要です。例えば、会社の成功を皆で喜ぶことは素晴らしいことですが、その喜びが全員の努力と協力の結果であるならば、その成功はさらに持続可能なものとなります。

ポジティブ心理学の研究によれば、喜びや感謝の気持ちを持つことは、個人の幸福感を高めるだけでなく、チーム全体のパフォーマンスを向上させることがわかっています。リーダーとして、メンバーに感謝の気持ちを伝え、喜びを共有することは、チームの結束を強め、より良い成果を生むための鍵となるでしょう。

「兌為澤」という卦から学べることは、リーダーシップにおいて喜びの重要性とその正しいあり方です。天の道に順い、人の誠心に応えることで、私たちは持続可能な成功を手に入れることができます。皆さんも、これからのリーダーとして、常に正しい喜びを追求し、チームと共に成長していく道を歩んでほしいと心から願っています。


参考出典

悦んで進む時、志は通る。ただし、悦びにも正と不正がある。賄賂で喜ばせて物事を通すのは、道に反する。事を行うには、天の道に順い、人の誠心に一致していなくてはいけないのである。
兌為沢の卦名「兌」は沢。つまり兌為沢は沢が二つ連なった卦で、悦ぶ、悦ばせるという意味がある。また、「兌」の字は、天の気が降りてきて祈りを聞き届けるということを示す象形になっている。

易経一日一言/竹村亞希子

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