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まいにち易経_0528【来るべき日のために……毎日の努力が未来の成功を創る】君子徳に進み業を修むるは、時に及ばんと欲するなり。[乾為天:文言伝/第二節(人事)]

九四曰、或躍在淵。咎无、何謂也。子曰、上下无常、非爲邪也。進退无恆、非離羣也。君子進德脩業、欲及時也。故无咎。
九四に曰く、あるいは躍りて淵に在り、咎なしとは、何の謂いぞや。子曰く、上下すること常なきは、邪をなすにあらざるなり。進退恒なきは、群を離るるにあらざるなり。君子徳に進み業を修むるは、時に及ばんことを欲するなり。故に咎なし。


九四の爻辞「あるいは躍りて淵に在り、咎なし」の意味について孔子は以下のように答えた。九四の龍は、高いところに上ったり、低いところに降りたりと、一定の位置にとどまらない。しかし、これは不正や悪事をするわけではなく、自分の仲間を見捨てたり、世の中を無視して勝手な行動をすることもない。君子は道徳を修養し、怠らず努力して時機を逃さないようにする。そのため過失なく、誰からも非難されることはない。君子は、進むべき時には進み、退くべき時には退くことが重要だと説く。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

リーダーとして行動するには、環境の変化に合わせて臨機応変に対応することが肝心です。常に一定の行動をとり続けるのではなく、状況に応じて進んだり止まったりする柔軟性が必要です。

九四の爻辞にある「君子進德脩業、欲及時也。故无咎」という言葉には、君子(立派な人)は常に徳を磨き、業務を修め、時が来たときにその実力を発揮するために日々努力する、とあります。これはリーダーシップにおいても非常に重要です。毎日の小さな努力の積み重ねが、いざという時に大きな成果をもたらすのです。

ここで竹の成長についての豆知識を一つ。竹は最初の数年間はほとんど地上に出ませんが、その間に地下でしっかりと根を張ります。そして、一度地上に出ると驚くほどの速さで成長します。リーダーとしても、見えないところでの努力と準備が、成功の基盤を築くのです。

リーダーには日々自己研鑽に努め、徳や才能を磨くことが求められます。仕事に精をだし、遊んでいる場合ではありません。「欲及時也」の言葉が示すように、いつ機会が訪れるかわかりません。いざというときに備え、着実に力をつけていかなければならないのです。

ちなみに、昔から世の中は循環しているといわれています。天文学者のミランコビッチは、およそ2万4千年周期で地球の軌道が変わる現象があり、それが人類文明の隆盛と没落に影響を与えているという仮説を立てました。簡単に言えば、期間は違えど繁栄と没落の循環は必ずあり、いつかは落ち目の時期が訪れるということです。そういった変動に備えて、機をとらえることが肝心なのです。

このように、易経の教えは深く奥が深いものです。しかし、その根本にあるのは、時機を的確に捉えて行動することの大切さです。リーダーとして活躍するためには、環境の変化に機敏に気づき、チームと協調しながら、着実に自己研鑽を重ねていく姿勢が欠かせません。時代の変化に合わせて柔軟に対応し、的確なタイミングで大きく飛躍するチャンスを見逃さないよう心がけてください。


参考出典

機が熟し、時が満ちた時に過不足なく相応の実力を身に付けていることを目指し、日々邁進する。一日一日の積み重ねが、来るべき時の成功を約束するのである。

易経一日一言/竹村亞希子

九四の爻辞に、あるいは躍りて淵に在り、咎なしとあるが、何の意味か。孔子がいわれるのに、跳躍したりしなかったり、進んだり退いたり、行動が一定しないのは、よこしまなことをしようというのではない。世間一般とはなれて独往しようというのでもない。九三において、君子は十分に徳に進み業を修めた。今は進むべきときに遅れぬようにすすもんとするのである。だから、咎はない。
九四の爻の辞に、「あるいは躍りて淵に在り、咎なし」とあるのは、いかなることであるか。孔子がそれに答えていわれた。九四の龍は、あるいは躍りて淵にあり、時としては高いところに上り、時としては低いところに降り、上とか下とか一定したる位地にいないのであるが、しかしこれは正からざる邪悪のことをなすのではない。自分の仲間を離れ世の中を忘れて勝手な行動をするのではない。君子が道徳を修養して道徳において進歩するよう心がけ、自分のなすべき事業を修め、怠慢なく努力するのは、時に後れないようにし、時機を失わないようにしようとするのである。それゆえに過失なく、人から咎められることはない。君子は道徳才能を修養し、自分のなすべきことを修め行い、そうして進んで徳べきときには進んで上り、退いて下るべきときは退いて下ることを説くのである。

易(朝日選書)/本田濟



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