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まいにち易経_0625【損益を考えて動く】益は動きて巽い、日に進むこと彊りなし。天は施し地は生じ、益すこと方なし。およそ益の道は時と偕に行わる。[42䷩風雷益:彖伝]

益動自巽。日進无疆。天施地生。其益无方。凡益之道。與時偕行。

益は動いてそんなり、日に進むことかぎりなし。天はほどこし地しょうず、益すことところなし。およえきの道、時とともおこなわる。


益の時は雷のように激しく動き、巽は風のように柔らかく従う。雷が風を呼び、風が雷を響かせるように、物事は日々成長し続ける。天は元気を与え、地は万物を生み出して絶え間なく発展する。益の道は時の流れに従って行われる。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

「風」は柔らかく従うことを意味し、「雷」は強く動くことを示します。この二つの性質が交わることで、私たちは時や状況に対して従順でありながらも積極的に行動することの重要性を学ぶことができるのです。その結果、益がもたらされるということです。

「益すこと方なし」とは、天地が万物を生み出すように、広く万物に益を与えることを意味します。この考えは、自然界の循環と同じく、益が無限に広がっていくことを示しているのです。しかし、ここで重要なのは、益は一方向にのみ進むものではないということです。益の道は損の道と一対であり、常に循環しています。まるで昼と夜、春と冬のように、相反するものが互いに補完し合い、調和を保つのです。

この教えは、私たちに何かを得るためには何かを失うこともあると説いています。時に応じて損と益のバランスを見極め、行動することが大切です。たとえば、新しいスキルを習得するために時間を費やすことは、他の活動を犠牲にするかもしれませんが、そのスキルが将来的に大きな利益をもたらす可能性があります。同様に、無駄な出費を抑えることで貯蓄が増え、緊急時には大きな助けとなるでしょう。

このように、風雷益の卦は私たちに、従順さと積極性を兼ね備えた行動が益をもたらすことを教えてくれます。同時に、損と益のバランスを理解し、時に応じて適切に対応することの重要性を説いているのです。自然の法則に倣い、私たちもまた、調和を保ちながら進むべきです。

では、この教えを現代のリーダーシップにどのように活かすか考えてみましょう。例えば、皆さんが新しいプロジェクトを立ち上げる際には、市場の動向やチームの状況をよく観察し、その時々の最善の行動を選ぶことが重要です。また、困難な状況に直面したときには、柔軟に対処し、新しい方法を模索することで乗り越えることができます。

さらに、リーダーとしての皆さんは、部下やチームメンバーに対しても「益をもたらす存在」であるべきです。具体的には、彼らの成長を支援し、適切なフィードバックを与え、やる気を引き出すことが求められます。リーダーの役割は、ただ指示を出すだけではなく、チーム全体のパフォーマンスを最大化することにあります。

『風雷益』の教えは、私たちがリーダーシップを発揮する上で非常に有益です。状況に応じて柔軟に行動し、常に前進を続け、周囲に利益をもたらすことが重要です。また、利益だけでなく、時には損を考慮するバランス感覚も必要です。皆さんがこの教えを日々のリーダーシップに活かし、成長し続けることを心から願っています。


参考出典

風雷益の卦の「風」は従う、「雷」は動くという性質を持つ。時や状況に対して従順かつ積極的に行動すれば益をもたらし、日々限りなく物事は進む。「益すこと方なし」とは、天地が万物を生ずるように、遍く益すこと。ただし、益す一方ではない。益の道は損の道と一対になって循環するから、時に応じて損と益を考えて行動すべきであると教えている。

易経一日一言/竹村亞希子

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