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まいにち易経_0608【危機意識】安くして危うきを忘れず、存して亡ぶるを忘れず、治まりて乱るるを忘れず。[繋辞下伝:第五章]

是故君子安而不忘危。存而不忘亡。治而不忘亂。

の故に、君子はやすくして危うきを忘れず。存してほろぶるを忘れず、おさまりて乱るるを忘れず。


孔子はこう語っている。「常に現状に対する危機感を持つ者は、その地位を安定して保つことができる。常に滅亡の可能性を自覚している者は、その存続を維持することができる。常に乱れることを懸念している者は、安定した状態を長く保つことができる。だからこそ、君子は安定しているときでも常に危機感を持ち、存続しているときでも滅亡のリスクを考え、治まっているときでも乱れを心配し続けるのである。これにより、その地位を確固たるものにし、国家を長く治めることができるのだ」と。

安泰の時にこそ危機管理を怠らないことが肝要だ。順調な時でも滅びる可能性を忘れず、泰平の世にあっても平和が乱れる可能性を常に意識しておく。こうした心構えが国家や組織を維持する秘訣である。

人は平和で安泰な時にこそ、怠惰になりやすく、感覚が鈍るものである。乱れは、そうした油断から生まれる。国家や組織、家庭、そして自分自身を守るために必要なのは、常に危機意識を持ち続けることだ。

古代ローマの哲学者セネカは「幸運は準備された心にのみ訪れる」と語った。準備を怠らず、どんな時でも用心深くあることで、平和を保ち続けることができるのだ。エジプトのピラミッドも、計画と準備があってこそ数千年もの間、立ち続けている。

このように、どんなに安泰な状況であっても、我々は常に自らの状況を見直し、未来の可能性に備えるべきである。それが、乱れを防ぎ、長きに渡って安定を保つための唯一の方法なのである。


参考出典

安泰の時に危機管理を怠らず、順調な時も滅びることを忘れず、泰平の世にあって平和が乱れることを忘れない。そのようにして国家組織は保たれる。人は平和で安泰な時は怠惰になり、鈍感になりやすい。乱れはそこから生じるのである。国や組織・家庭、また自分を保ち、守るのは危機意識である。

易経一日一言/竹村亞希子

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