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探偵神宮寺マキヒコ

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#短編小説

探偵神宮寺マキヒコ〜盗まれた句読点〜

探偵神宮寺マキヒコ〜盗まれた句読点〜

私の名前は神宮寺マキヒコ
『神宮寺探偵事務所』という小さな探偵事務所を営んでいる しがない探偵である

そして怪盗ノスフェラトゥは 私が生涯を掛けて追いかけているライバルである
『盗めないものは何もない』というのが奴が常々豪語している言い草で その通り奴は自ら望むものは何でも盗んで行った
『クレオパトラの涙』の異名で知られるダイヤのイヤリング
ピカソが晩年に遺したとされる絵画『寝そべった犬』
『不

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探偵神宮寺マキヒコ、三日月荘の怪

神宮寺の探偵事務所に怪しい招待状が届いたのは4月のことだった。三日月荘という別荘でゴールデンウィークを過ごされませんかという招きで、集合場所と日時のみが記されており、差出人の名前は書かれていなかった。きっと何かがあるに違いないと踏んだ神宮寺は、その誘いに乗ることにした。それが恐ろしいゴールデンウィークの始まりだった。

待ち合わせ場所に神宮寺が到着すると、そこには同じように招待状を受けたらしい男女

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探偵神宮寺マキヒコ、スケッチブックの君

探偵神宮寺マキヒコ、スケッチブックの君

探偵なんて仕事をやっていると時々よく分からない依頼が来ることがあるものだが、その日神宮寺のところに舞い込んできた依頼はとりわけ変なものだった。亡くなった旦那の遺品であるスケッチブック、そこに繰り返し描かれている女性が誰なのかを調べて欲しい、という依頼であった。

依頼人は吉田ヨシエ67歳。亡くなった旦那のヨシオは大学時代のひとつ上の先輩で、3年前に病で亡くなった時は65歳だった。吉田は小さな部品工

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