波乱万丈の人生を歩んでいます。 その中で記憶に残っている出来事や面白かった出来事を小説…

波乱万丈の人生を歩んでいます。 その中で記憶に残っている出来事や面白かった出来事を小説風に綴っていきます。 多少の脚色やフェイクはありますが、ドキュメントなのでオチが無い話ばかりです。 note内では広田龍也(ヒロタタツヤ)という名前で登場します。

最近の記事

価値観4(最終)

ちょっとしたハプニングのようにファミレス内が静まり返っていたが30秒ほどで元の賑やかさに戻る。 ミキが振り向いて言う。 「こっち来れば?」 事が終わった後で別々に座っている意味も無いのでミキの席へと移る。 事情を把握できずにいる周りの視線が私に注がれる。 座ると当たり前だが目の前には手付かずのステーキセットがある。 「それ、頂いたらいいじゃん」 ミキが笑いながら言う。 「そうだな」 このまま残しても仕方ないので頂くことにする。 ファミレスで3000円も使う事が無いのでご馳走だ

    • 価値観3

      金曜日の18時30分に私はファミレスの中にいた。 ミキと優良物件の待ち合わせ時間は19時。 ボックスが並ぶその1つに一人で座っている。 これから込み合う時間帯に一人客でボックスを占拠するのは気が引けたが仕方ない。 18時50分頃にミキが入ってきた。 私を確認すると私の前のボックスに背を向けて座る。 右手を軽く挙げて親指を立てているので「よろしく」とでも言いたいのだろう。 19時を数分過ぎた頃、駐車場に地鳴りのような音が響いた。 たぶん優良物件が自慢の車で登場したのだろう。 地

      • 価値観2

        ミキは高校生の一時期に大学生とお付き合いをしていた。 ただ高校生のミキが考える付き合いと大学生が考える付き合いが違った。 当然のように体の関係を求めてくる大学生に付いていけずミキは別れを切り出す。 そこで言われた言葉が「最後のチャンス」という言葉だ。 「謝りたいから最後のチャンスで会ってくれないか」 そう言われ夜の公園で暴行されそうになった。 幸いにも散歩中の男性が気付いてくれて難を逃れたという。 その大学生は後に逮捕され地方紙には小さく報道されたらしい。 「最後のチャンス」

        • 価値観1

          先日久しぶりにファミレスへ行った。 値段も安いしドリンクバーもあり時間を潰すには絶好の場所だと思う。 ファミレスと言えば思い出す出来事があるので書いていく。 価値観1まだ20代半ばの頃、ミキという女性とお付き合いしていた。 容姿は上の中で街を歩けば必ず声をかけられるレベル。 ただ当時は彼女の容姿よりも性格に惹かれてお付き合いをしていた。 彼女にはまず物欲が無い。 持っているバッグはショッピングモールで買った数千円のバッグ。 身に着けている時計も数千円の時計など必要最低限。

        価値観4(最終)

          夢日記第3話/縁

          前回書いた夢の話の続きに母が出てくる。 みなさんは親孝行出来ているだろうか? 私は出来ていると胸を張っては言えない。 月に数回安否確認を兼ねた他愛のない世間話を電話でするくらいだ。 大切なものは失ってから気付くとよく言うが、私を含め大半の人は失うまで分からないのだろう。 夢日記第3話/縁前回の出来事から数年ほど経ったある日。 珍しく母から電話がかかってきた。 面白い人と知り合ったから1度紹介したいと。 営業職の私にとって人脈は宝。 多少の面倒は感じながらも、私は母がセッティ

          夢日記第3話/縁

          夢日記第2話/前世

          夢の中で前世を見たことがある人はいるだろうか? 仮に見たとしても「夢」で済ませてしまうだろう。 夢なのだから。 夢日記第2話/前世結婚するよりも前の話。 見知らぬ場所のベッドで目が覚めた もちろん夢の中だ。 見知らぬ場所なのだが、そう思っているのは「私」で、「私」でない私は普通に起きて支度を始めた。 自分の行動を体の中から傍観しているような感覚に近いかもしれない。 着替えてそのまま外に出ると石造りの家が並ぶ小さな路地だった。 家の中から呼び止められ振り向くと女性が悲しげに少

          夢日記第2話/前世

          営業日報第4話/職人

          残暑が一転して朝晩は冷え込むようになった。 昼間はまだそれなりなので、朝から出かける時の服装に悩む今日この頃。 「秋」という季節はどこに行ってしまったのだろうか? 営業日報第4話/職人少し小雪がパラついていたので1月か2月だったと思う。 月末日曜日のイベント夕方、その月は私個人も店舗もノルマを達成しており、営業所の全員がのんびりと時間が過ぎるのを待っていた。 私は店頭応対の順番だったため、ショールームの受付に座って雪を見ていた。 受付の中西さんが「寒い寒い」と言いながら私の

          営業日報第4話/職人

          AV現場観察日記第2話

          最近若い頃と比べて食べる量が減った。 食べる前は昔の感覚で買ったり注文したりするのだが、食べてる途中から無理だなと思う事が多い。 代謝も落ちているからか食べる量は減っているのに太る。 痩せるために運動でもと思うが思うだけ。 同年代の俳優さん達を見るとストイックだなと感心する。 今日は面白い男優さんの話でも書いてみようと思う。 AV現場観察日記第2話男優自体には特に困っていなかったので、会社として積極的に募集していたわけではない。 HPの片隅に男優の採用情報があるだけ。 その

          AV現場観察日記第2話

          AV現場観察日記第1話

          プロローグとある時期、1年ほどアダルトビデオメーカーの撮影現場でバイトをしていた時期がある。 AVといっても映倫の審査を受けるほどでもない、個人撮影に近いメーカーさん。 さすがに男優が出来るほどの立派な物は持ち合わせておらず、主に撮影中の静止画撮影とその編集をやっていた。 業界的によく裏の家業の方々が絡んでいると思われがちだが、私がいた所では全く関係ない話だった。 女優さんを探す方法は大別すると2通りで、プロダクションから派遣してもらうか素人モデルさんを募集するかになる。

          AV現場観察日記第1話

          営業日報第3話/親孝行

          午前中に仕事をひと段落させたので気分転換に今日も書く。 書きたい事は山ほどあるが、書きたいものだらけでまとめるのが難しい。 引き合いに出すのも烏滸がましいが、キマイラがいつまでも終わらない夢枕獏先生の気持ちが少し分かる気がする。 営業日報第3話/親孝行 当時は今と違い新車販売時の値引き額が大きかった。 各社、各メーカーともに値引き競争へと突入していった時代だ。 車両価格200万円の車に対し値引き額が60万円などというのは当たり前。 私の過去最高値引き額でいえば120万円弱の

          営業日報第3話/親孝行

          営業日報第2話/関係性

          今日も車の営業時代の話を書いていく。 人と接する事が苦手で無ければ営業職は非常にやりがいのある仕事だと思う。 自分の行いが全て自分に返ってくる。 現在の自分の状況を誰にも転嫁できない感覚は、サラリーマンといえども経営者に近いものがあるのではないだろうか。 まあノルマが達成出来なくても決められた給料が出る時点で土俵が違うが、仕事に対する向き合い方は似ていると感じる。 営業日報第2話/関係性営業にも慣れてきてそれなりの台数がノルマとして課せられてきた頃。 その日は休日の当番出勤

          営業日報第2話/関係性

          営業日報第1話/見た目

          今日は車の営業時代の話を書いていく。 営業日報として面白い客や私の失敗談などを連載していこうと思う。 借金を完済した私はパチンコ屋を辞め、以前から興味のあった営業職を探す。 営業として活動するためには商品の知識が必要になる。 勉強嫌いな私にとって新たな知識を詰め込むのは中々難しい。 他人を納得させるだけの知識があるとすれば自動車だった。 そんな理由で自動車販売の世界に足を踏み入れた。 営業マンの良い所と言えば「自由」という事だろう。 今はガチガチに管理されている会社も多い

          営業日報第1話/見た目

          夢日記第1話/接点

          みなさんは夢をどんな形で見るだろうか? 私が見る夢は2種類。 夢の中で夢と自覚している夢と、夢とは気付かずに見る夢。 夢とは気付かずに見る夢は目が覚める直前までは覚えていても、目が覚めた瞬間から急速に記憶から消える。 逆に夢と自覚出来る夢はかなり記憶に残る。 そのため、その類の夢はメモを取るようにしている。 その中からいくつか紹介していきたい。 我が家の家族構成は私と嫁さんと社会人2年目になる娘の3人。 籍を入れてから25年ほどになる。 毎日かなりの会話を嫁さんと交わすし、

          夢日記第1話/接点

          犬聞録第4話/犬と猫、そして釣り

          今日も犬の話。 ただ今回は釣りがメインで犬との絡みは少ない。 私の趣味のひとつに釣りがある。 ルアーでの大物釣りも楽しいが、私が好むのは地味な鯵のカゴ釣り。 真っ暗な海面にポツンと光る電気ウキを、のんびり眺めるのが至福のひととき。 小学生の時の同級生に「だいちゃん」がいた。 だいちゃんの両親は家の近くにある小さな市場で八百屋さんを営んでいた。 だいちゃんの家は市場とは別なのだが、店の中に居間があるので、だいちゃんと遊ぶ時は八百屋で遊ぶ。 もちろん我が家の食卓に並ぶ野菜はだ

          犬聞録第4話/犬と猫、そして釣り

          犬聞録第3話/犬と美少女

          今日も犬の話を書いていく。 犬が見る景色はモノクロだと言われているが本当だろうか? 今も疑問に思っている事だ。 当時、私の頭に流れて来る映像は全てカラーだったから。 夏休みの平日、その日は誰も遊ぶ友達がいなかった。 既に11時を回っており、暑くて虫捕りに行く気にならない。 お腹が空いてきたので一人でうどんを食べに行く。 住んでいたマンションから、駅前の商店街までゆっくり歩いて10分。 ダッシュすれば5分でJRの駅に着く。 (当時はまだ国鉄だった) 通学でJRを使うようにな

          犬聞録第3話/犬と美少女

          犬聞録第2話/犬との会話

          以前書いた犬の霊の続きを書いてみようと思う。 金縛り状態から一撃を与え、無事にスーパーカー消しゴムを取り戻した後から、常にそいつが後ろを付いて回るようになった。 風呂とトイレは苦手なのか扉の前までだが、それ以外はずっと付いて来る。 寝ている時も足元に居るのが分かるほど気配が強いが、悪意が無いのは金縛りに遭わないので明白だ。 特に害はなかったので放っておいたのだが、ある日とんでもない事に気が付いた。 当時住んでいた家は8階建てのマンションで、分譲だったためペットの飼育は自由

          犬聞録第2話/犬との会話