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AV現場観察日記第2話

最近若い頃と比べて食べる量が減った。
食べる前は昔の感覚で買ったり注文したりするのだが、食べてる途中から無理だなと思う事が多い。
代謝も落ちているからか食べる量は減っているのに太る。
痩せるために運動でもと思うが思うだけ。
同年代の俳優さん達を見るとストイックだなと感心する。
今日は面白い男優さんの話でも書いてみようと思う。

AV現場観察日記第2話

男優自体には特に困っていなかったので、会社として積極的に募集していたわけではない。
HPの片隅に男優の採用情報があるだけ。
その片隅の広告を見つけて連絡してくるからよく見てるなと思う。

ある時「素人モデル VS 童貞君」のような企画をやってみようという話が持ち上がった。
監督がネタ切れ気味で、似たような企画を他社でやっているのを見て思い付いたらしい。
この企画の利点としては低予算で出来る事。
モデルは素人を起用するし、男優も童貞君なのでうまくいけば報酬無しでも集まるかもしれない。
しかもモデルの質も中の下程度で大丈夫だろうと監督は踏んでいた。
質を落とせばモデルはすぐに見つかる。
しかし男優は「本物」が見つかるだろうか?
懸念はあったがとりあえず募集してみようという事でHPで大々的に募集を掛けた。

掲載して数日ほど経った日、電話に事務員さんが出る。
どうやら男優さんの応募の電話のようだ。
監督が代わって話を進める。
最寄駅からの道順を説明をしているので面接に来ることが分かった。
2時間ほど経った頃、事務所のインターホンが鳴る。
事務員さんが応対してソファへと案内した。

事務所は2階建てで、プレハブを少しランクアップしたような建物だ。
1階がシャッター付きの倉庫になっていて、関係者の駐車場になっている。
建物の端に扉があり、階段で2階へと繋がっている。
階段を上がるとさらに扉があり、そこを開けると事務所になっている。
事務所は30畳ほどの広さでパーテンションなどは無い。
真ん中付近にテーブルがあり、ソファが向かい合って置いている。
あとは各個人の事務机が窓際に並んでいるだけの質素な事務所だった。
もちろん撮影は別の場所でやる。
案内されてきた男優希望者は見た目20代前半。
痩せ型でどこにでもいるような男性で、素人っぽさもあり監督は上機嫌で説明を始めた。

監督「応募しようと思った理由は何でしょうか?」
男性「女性に縁が無いので、単純に卒業したいなと思って」
監督「今回は童貞の方を募集してるんですが、失礼ですが1度も女性経験はないですよね?」
男性「はい、最後まで進んだことはありません」
監督「撮影時は関係者が見ている中で行われますが大丈夫そうですか?」
男性「やってみないと分からないですが多分大丈夫だと思います」
監督「まあ企画が企画なんで、もし駄目だったとしてもBプランも考えて進めるので安心してください」
監督「あと報酬なんですが、企画の内容的に予算があまりありません」
監督「撮影の出来上がりで変わってきますが、最低保証1万円となりますがご了承いただけますか?」
男性「はい、大丈夫です」
監督「あと身分証明書のコピーを取らせて頂く事と、撮影後は領収書を書いていただきます。そちらも大丈夫ですか?」
男性「はい、大丈夫です」
監督は男性と連絡先等を交換し、男性は帰っていった。

撮影当日、低予算の撮影のためシティホテルを使って撮影が行われた。
シティホテルのデイユースを利用すると場所代が安く済む。
加えてラブホテルより窓が大きくて室内が明るいため撮影に向いている。
つまり照明さんがいらない。
ただホテル側は撮影用に部屋を貸し出すわけではないため、大人数で部屋に入るのはご法度だ。

この日の関係者は監督・私・カメラマン・メイクさんの4人。
まずは私とカメラマンがチェックインして部屋番号をメールし、監督と男性が後から部屋に入ってきた。
最後にメイクさんとモデルさんが部屋に入ってくる。
その日初めてモデルさんを見たが、ものすごく微妙な感じだった。
ベロベロに酔っていればいけるかもしれないが、素面だと厳しいかな?というレベル。
男優さんとモデルさんの顔合わせをし、監督がシナリオを説明する。
シナリオと言っても企画物なので大したものではない。
お互いにシャワーを浴びてもらい、衣装に着替えて撮影スタート。
男性はメンタルが強いのか性欲が強いのか、撮影は滞りなく進んでいった。

撮影も終盤になり、男性の卒業記念として「やってみたかった体位」でやるというシーンに入った。
男性が答えた体位は「バック」。
分かるような気もするが少し笑ってしまった。
しかしここでトラブルが発生する。
バックで入れようとする男性だが、はじめてだからかうまく入らない。
多少であればそれも素人っぽさがありいいのだが、編集でどうにかできる尺を超えてきた。
監督が男性にアドバイスする。
「慌てなくていいから、角度が変わるから少し上の方からゆっくり入れてみて」
男性は素直に体制を整えて挑戦するがうまくいかない。
監督はさらにアドバイスを続ける。
「腰に手を当てたほうがやりやすかもよ」
両手で自分の物を掴んでいた男性にピッタリのアドバイスだ。
男性は言われた通りに腰に手を当て行為を続けた。

自分の腰に手を当てて。

想像してほしい。
自分の腰に手を当て、四つん這いになっている女性に腰を振る男性の姿を。
男性以外、そこにいた関係者全員が笑いに包まれた。
笑いながら監督が叫ぶ。
「自分の腰じゃないよ、女の子の腰だよ!」

お笑いのビデオであれば最高のオチだっただろう。
残念ながらそのシーンはカットされ作品となる。
男性は1万円を手にして帰る事となるが、その後も数作品に出演するまでに成長した。
男優が出来るってのは本当にすごい。

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