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AV現場観察日記第1話

プロローグ

とある時期、1年ほどアダルトビデオメーカーの撮影現場でバイトをしていた時期がある。
AVといっても映倫の審査を受けるほどでもない、個人撮影に近いメーカーさん。
さすがに男優が出来るほどの立派な物は持ち合わせておらず、主に撮影中の静止画撮影とその編集をやっていた。
業界的によく裏の家業の方々が絡んでいると思われがちだが、私がいた所では全く関係ない話だった。

女優さんを探す方法は大別すると2通りで、プロダクションから派遣してもらうか素人モデルさんを募集するかになる。
双方ともにメリットとデメリットがある。

プロダクションの場合、モデルリストがあるので選ぶのが簡単で即手配も可能だ。
容姿も比較的可愛い子が多く、仕事もしっかりとしてくれる。
もちろんドタキャンもない。
デメリットとしてはモデル料の高さだろう。
撮影内容にもよるが、無名に近くても1回の撮影で20万以上は掛かってしまう。
デメリットではないが、プロ故に演技っぽくなってしまうのも欠点。

素人モデルのメリットは何と言っても安さ。
こちらも撮影内容によるが、2~5万円程度。
本番有でも10万程度で済む。
演技が出来ないのでモデルによって個性が出やすいのも魅力だ。
その代わりにデメリットは結構きつい。
まず応募してくるまで待つしかない。
そして応募してきても使える容姿の子が少ない。
応募数は月に10件程度で、その中で1人使えれば大収穫というレベル。
やっと面接でOKが出ても当日ドタキャンはざらだし、仕事に入っても態度が悪くて撮影中止になる事もある。
それでも安さと素人っぽさを求めて素人モデルを募集していた。

もうひとつ裏技もある。
プロダクションに応募してきたモデルで、面接に落ちたモデルを紹介してもらう方法。
こちらも安く使えるが、プロダクションが蹴る程度の容姿なので結局は使えない子が多い。
女性を容姿で分別するのは好きではないが、仕事内容的には仕方がない。

女優以上に難しいのが男優である。
カメラマンや照明さん、監督、モデルのマネージャーの居る中で、体を張れるメンタルが必要だ。
赤の他人が5~6人いる中で頑張れる人がどれだけいるだろうか?
私には無理である。
それでも男優はコンスタントに応募が来るから面白い。

撮影現場は皆さんが思っている以上に健全。
普通にドラマの撮影現場のような感じで進んでいく。
私利私欲に呑まれることなく、各々が自分の仕事を淡々とこなしていく。
素人モデルの場合は仕事後に誘おうと思えば誘えるが、男優と兄弟になるのも嫌なので誘った事はない。
プロダクション所属のモデルの場合はマネージャーが同伴するので誘うのは無理。
何かありそうで何もない普通の現場だ。

この仕事での出来事も綴って行ければと思う。

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