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みえないひかりがみてみたくて

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探してもいなかった。でも真夜中に突然の光が見えたかのように現れた女の子。その心が欲しくて、男は寿命を失う。でも本当は遠い昔から決まっていた。二人が出会い恋に落ちることは。二人に残…
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#心

心が欲しくて#01

片道、4時間の時間旅行。

その先に彼女はいる。
いつだって僕を待っていてくれる。
そこでしか会えない。というわけではない。
でも僕はそこへ行く。
こんなに一つの場所へ思いを巡らせ
往復したのは彼女のいるその場所だけだ。
綺麗にレイアウトされた
ギターが並ぶ店でもなく
そこの一冊にどれだけの思いが詰まったか
わからない本達が並ぶ場所でもなく
友達の溜まり場になっている場所でもなく
どこでもない、そ

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こころの行方#02

その話を半信半疑で聞いて
ほどなく本当に現れた。
僕の元に。
この人の心を知りたい。
この人の心が欲しい。
僕だけを想って欲しい。

僕のことを好いてくれるわけがない。
もし、万が一そんなことがあっても
僕のことだ。
愛想を尽かされて
すぐに終わりがやってくるだろう。

僕は気がつくと車に乗り
あの店へと向かった。
そう心を渡して心が手に入る店だ。

まるで悪魔との契約だ。
自分の心を対価と

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あの日の白いワンピース#04

彼女と知り合ったキッカケは
大学の音楽サークルだった。
僕はギターを弾く時間に費やしたり
未来について深く考えもせずに
高校生活を過ごしてしまったため
大学に進学する道を選択した。
音楽サークルはいくつかあったが
上半期、下半期とバンドを組まなきゃ
いけない決まりがあるサークルだったり
ある程度の制約があったりした
そういうのは御免だった。
15歳でギターを始め、バンドを組んだりもした。方向性の違

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土曜の2限#05

はじめての二人きりの時間。
この大学を選んだ理由や
好きな音楽の話や
お互いに知らない学生時代の話。
そこで大きな共通点が見つかった。
彼女も好きな、ではなく
尊敬しているアーティストはと言い
それが僕と同じだった。
宇多田ヒカルとX JAPAN。
尊敬している理由もふたりとも
よく似ていた。
日本人でありながら
英詞なども使い、世界的に知られていて
心に染み入り、頭の中で何度もリフレインするメロ

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恋するピアノ#06

正直な気持ちで言うと
どんな大学生活における日々や
どんな授業よりも土曜の2限の
ひかるとの時間は
僕の楽しみになっていた。
いつも僕よりも先にそこにいて
決まってピアノの前に座っている。
だけど彼女のピアノは聴いたことがなかった。入る前に聴こえてくることもなかった。
音楽はやりたいときに好きなように自由に
それがいちばんの音楽の魅力だと楽しさだと
思っていたから、弾いてほしいと
僕から言うことも

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