通学路から外れて帰った毎日 - 人と違う生き方に自信を持てるかどうかは親の器次第
ふとしたことから、小学生の自分を思い出しました。
自分で言うのもなんですが、テストの点数は悪くなく、生徒会や学級委員もやり、部活も参加するタイプでした。
しかし、通学路からは外れて毎日帰っていました。
紺色のダサい帽子をかぶりなさいと先生に言われたら、
と帽子はランドセルの中にしまいました。
名札のバッヂは左胸につけなさいと言われたら、
とズボンのベルト穴に名札をつけていました。
学校からの通学路を指定されると、
と通学路とは違う道で、なるべく早く帰れる道を見つけて帰っていました。
こんな感じで、学校から出るときは帽子をかぶっていても、校門から離れると帽子をランドセルにしまい、通学路とは違う道を発見しながら帰る毎日が続きました。
おそらく安全性の面でも、先生は人の目につきやすい広い道を指定したのだと思います。
帰宅して、母にこう言いました。
こんな感じで説明したところ、
と違う道で帰ってきたことに、特に怒りもしませんでした。
多分帽子をかぶっていないことも知っていましたし、名札はむしろ母もズボンにつけることに賛同していました。笑
今振り返ってみると、母は私のことを色々と見抜いていたんだと思います。
人と同じことをしているだけだと物足りない。
そんな性格な自分のことを分かっていたのだと思います。
人と違うところにいることが楽しかった。
人と同じばかりじゃつまらない。
そのせいか、私が住んでいた地域では珍しく、親の勧めもあって私立中学受験をして、制服のない自由な私立中学校になんとか入学することができました。
その後も、いろんな選択の場面に出会い、多くの決断をしてきましたが、人と違うことに対しての罪悪感は全くなく、その違いを楽しむ生き方をしてきたかもしれません。
大学を卒業し、私立高校の英語科の専任教員の採用が決まったときも、母はとても誇りに思ってくれていましたが、入社した日の数日後に母がこう言ったのを今でも鮮明に覚えています。
当時はよくわかりませんでしたが、後からその言葉の威力を知ることとなりました。
もしかすると、多くの親は子の就職が決まった際は、なるべく長く勤務し、安定した生活を、と願うかもしれません。
この母の言葉は、私のどこかにあり続けました。
そんなこともあり、休職をして香港に大学院留学をしたり、教員を辞めて転職して国際結婚をしてタイに移住したりと、通学路とはかけ離れた人生を歩むことになりました。
これが可能だった理由を、自分が親になって振り返ってみました。
私を取り巻く環境や親だったように思います。
こんな気がするのです。
もしあの時、通学路から外れて帰ったことをすごく怒られていたら
もしあの時、ダサい帽子を「かぶりなさい!」と強要されていたら
もしあの時、「バッヂは胸につけなさい!」と強要されていたら
もしあの時、「教員を辞めるなんてふざけたことは言わないで一生全うしなさい!」なんて言われていたら
自分の人生は全く違うものになっていただろうと思います。
このnoteも存在していません。
優劣の話ではなく、ユニークな選択ができていたかという話です。
母への尊敬と感謝としか言いようがありません。
島国で出る杭を打って従順なロボット人間を作ろうとしていた大量生産の時代は終わり、人と違う突き抜けた才能や天才性が見つけられるかどうかが鍵になる時代になりました。
同じ動作を繰り返すだけであれば、ロボットにお願いすれば良い時代です。
自分が二児の親となって、タイでコロナ渦に生きる子どもたちを目の前に、毎日いろんなことを考えます。
オンライン授業では寄り道もできません。
自分が過ごした時代とは、はるかに違うことが期待される子どもたちの世代。
今後何が必要とされるかも正直わかりません。
そんな子どもたちに向けて、親にできることは何か。
もし、一つあるとすれば、
誰よりも大きな器を持てるように心がけ、子どもを信じて、子どもが自分で考えて決めた選択に自信を持てるように応援すること
そして、
自分の子が他の子と違っていても、それを多様性・個性として受け止め、むやみに親自身のルールや、別の子が従っている基準だけで評価しない。
言うは易し、行うは難し。
わかっていても実行が難しいのは体感しています。
それでも、これを理解した上で良い言葉がけができた時の威力が果てしないこともわかっています。
本質を見極められるか。
長期的な視点を持って今と向き合い、ベストな言葉の選択ができるか。
人と違う選択をしようとした子どもを信じて、受容して、応援できるか。
そこに子どもの爆発的な成長のきっかけがあるように思っています。
通学路を外れた人生も悪くない。
親の器を広げる努力を続けたいものです。
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