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私は大きな勘違いをしていました。今日、高齢者と話をしてハッと気づかされました。

老人ホームに入居すれば、基本的にホームの中で過ごすわけですから、住み慣れた土地でなくても、どこに住んでも同じじゃないか、そう思っていたんです。

家族の近くに住む方が、会いに行く側は便利


例えば、私は今、奈良県に住んでいます。母は兵庫県です。この先、奈良の老人ホームに住むのはどうかと考えていました。入居する本人は、ホームの中なので、どこでも同じ。私が時々会いに行くのは、兵庫より奈良の方が近くて便利。だから会いに行く家族の近くが都合良いと考えていました。

現にそういう人はいっぱい見ていました。奈良にお住いの高齢者が、「息子がこっちの老人ホームへ入ればいいから」と言って、横浜へ引っ越していかれた方があります。老人ホームの生活でしたら、住み慣れた奈良を離れても、別に気にすることなく、むしろ息子さんが時々会いに来てもらえるから、便利で良いと思いました。

しかしそれはあくまでも家族側の勝手な言い分でした。当の本人にとっては、ぜんぜん知らない土地にへ引っ越すわけです。でも老人ホームという、ある意味閉鎖された空間で生活するのですから、どこに住んでも同じだと思ったのは、家族側のエゴでした。

食事の味が違う


横浜の老人ホームでしたら、出される食事は横浜の味です。奈良よりおいしいかもしれません。でも、長年食べてきた味と違うわけです。おいしいかどうかより、馴染みある味かどうかの方が大事なのです。

私は生まれも育ちも兵庫県です。東京へ行った時に出されたうどんの見た目と味には驚きました。ご存知の方も多いと思いますが、関東では見た目は黒くて味は薄いです。しかし関西は、見た目は薄くて、味は濃いです。カップうどんの「どん兵衛」が関東と関西で味が違うというのも有名な話です。

日清のどん兵衛 東西だし比べ

関西の味に慣れた人が、歳老いてから関東の味に馴染めるのか? これは大きな問題です。認知症になっていて、そもそも味覚そのものも分からなくなっていたら関係ないかもしれませんが。

言葉のアクセントが違う


それともう一つ、スタッフの言葉使いが違う点です。関西弁と関東弁?そんなのあるかな? 標準語って言いたくないけど(笑)、要するに言葉のアクセントが違う点は大きいです。

年老いてから馴染みのないアクセントで話されると、うまく会話できない可能性があります。関西人は、どこに住んでも関西弁が抜けず、その土地に染まることなく関西弁を使い続けることができるそうです。そういう毒のある(失礼!)言葉使いならいいですけど、そうでない場合、とにかく周りの人の言葉使い、アクセント、方言に悩まされることになります。

高齢者と話をして、今日そんなことに気付かされました。歳取っても、住む場所は大事だということです。「住み慣れた土地が良い」とみんな言います。その言葉の裏には、周りを知っているだけではないということです。若い人なら順応できるかもしれませんが、高齢になってからの生活を考えると、いろいろ違うのはストレスが大きくかかることでしょう。とても悩ましい問題です。

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