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【イベントレポート&イベント予告】恵比寿の夜のマリエ会 ~幾重にも重なる情熱が開く新しい世界~ &がんばろう広島酒蔵の会

ひとりの情熱は、また違うひとりを照らし焦がし走らせる。
その連鎖はいつかあなたを未知の世界へと導くかもしれない。
熱い酒夜会と更に熱い昼間の酒イベントのお話。

どうも、りょーさけです。
今日はイベントレポートと、別のイベントレポートの予告をします。

(※前者は一般向けのイベントでなく、後者はすでに受付終了になったイベントです。したがってどちらも「こんな会があるからおいでよ!」という形のレポートではなく、「こんな催しがあってこんな発見があったよ。あると思うよ。」という形のレポートとなります。その点ご了承の上で読んでいただけると幸いです。)

例によって日本酒関連のイベントです。
お酒に興味がある方はぜひ全部読んでください。

もし「お酒に興味はないけど、なんか面白いもの・熱いものに触れたいナ」って方は「3.マリエ会の特筆すべき点」だけ見てください。

では、始めます。

1.「マリエ会」って、何なんだ?

唐突に「マリエ会」と聞いて「どのマリエやねん。」と思った方も多い、というかみんな思ったことでしょう。いや、僕の記事をよく見てくれている方だったらそんなことはないか。

もちろんこのマリエさんです。

恵比寿の日本酒酒場「GEM by moto」の店主、千葉麻里絵さんのことです。日本酒と料理の独自の組み合わせ(=ペアリング)で多くの日本酒好き、グルメな方々を魅了していらっしゃる方です。

↑GEMでしか飲めないPBのお酒をつぐ麻里絵さん


このマリエ会はもともと麻里絵さんと数人の飲食店関係者が集まって深夜にお酒と食材の相性、つまりペアリングを試す会でした。

それがいつしか、より多くの人(20人超ほど)を集めて各自がペアリングをプレゼンしたり、そのプレゼンに対してアドバイスをもらったりするという現在の形になったそうです。

ある時は夜通しカツオを食べ酒を飲んで皆で唸り、別の時は飽きるほどホタテを食べながら酒を飲み、これまた顔をしかめる…。

ちなみに今回の題材は「焼いた鶏肉と豚肉」でした。スガラボのシェフ薬師神陸さんの厚い人望のお陰で素晴らしい鶏肉と豚肉が集まりました。鹿児島の黒さつま鶏と愛媛の甘とろ豚です。読んでくださっているそこのアナタも食べられる機会があったらゼヒ!嫌味なし!とろける脂肪!甘い!至福です。

↑お肉を紹介する薬師神さん。麻里絵さんの無茶振りとも言えるオーダーを瞬時に具現化するソース作りは、料理素人の僕が見て感嘆の嵐です。

集まる面々は東京で(あるいは世界で?)名を轟かせている飲食店関係者が多いようです。酒販店の方々もいらっしゃいます。最近は薬師神さんを含めたシェフも何人か参加し、料理やソースを即興調理しているようです。(ちなみに私は日本酒酒蔵の関係者で、縁あって会に参加することができました。思い出す度に身に余る幸運に感謝しています。)

2.マリエ会の流れと雰囲気

次に、この回の流れと雰囲気についてです。

…って書くと確固たる流れが決まっているように聞こえますが、流れは毎回きちっと決まっているわけではないようです。

初めは参加者のうちの一人が持ってきたお酒とテーマ食材の関係やペアリングの意図(例えばお酒で肉の旨味を広げるような感じにしたい、とか、お酒の心地好い苦味と肉の焦げが合わさって溶けるようにしたい、とか)についてプレゼンし、皆でそれを食べ飲みして言いたいことがある人がつぶやいたり、それに対してまた意見を言ったり…というプロセスが続きます。

そのプロセスを繰り返して場が温まってくると、会場(恵比寿の飲食店を深夜貸切って行っています)の中で何人かずつのグループに自然と分かれて自由に酒をテイスティングしたり、意見を交わす時間が続きます。

笑顔があったり、何かを試して驚き「カッ」と目を見開いたような表情があったり、あちゃー失敗したーっていう人々の表情があったり…そしてその中にはお酒があり…まさに感情と名酒が百花繚乱といった感じでしょうか。

3.マリエ会の特筆すべき点

この回の素晴らしい点は、参加者の情熱です。と聞くと「精神論かよ!」と思う方もいるかもしれませんが、「頑張ってるねー、いいねー。」っていう素朴な意味(も、多少あるけど、それだけ)ではありません。

やる気があるのと、持ってくるお酒とプレゼンに一定のクオリティがあるのは当然なのです。それを前提にして、更に何を伝えるか、その伝える姿勢から何かにからがさ伝わるか。そこに焦点があると思います。

誰かがプレゼンをする。

その目を皆が見ている。

その人の持ってきた酒を飲む。

歓声やコメントが舞う。

それを見てその人が更に語る。

周りの人たちが頷いたり、異説を述べたりする。

皆がいい表情をしながら考えている。

他人の真剣さに触れ、自分もまた本気になって臨む。きっとこの人たちは一見大人しそうに見えてもベースが熱い人たちで、お客さんたちと接する際は更に熱心なのだろう。

しかしプロ同士が切磋琢磨している時、つまり積み重ねてきたものがぶつかり合っている今その熱は最高潮になっているのではないだろうか。

そう感じる。

ある人が聞いているプロたちに向かって、自分の全力を尽くす。尽くし尽くす。そして全力で皆と向かい合っている内に、段々と熱を向ける対象は聞く人でなく自分自身の関心がある対象へと変わってゆくように見える。

それは酒であったり料理であったり、もしかしたら他のことであるかもしれないけれど、皆人に語り掛けているようで段々と自分の興味があるものに集中していく。

気が付くとひねり出す言葉のひとつひとつが、その人の純粋な「知りたい!」「試したい!」に向けられていっている。

対人対話に見えて、実はこれは自己対話なのではないか。

(そんな風に見える。勘違いだとしたらきっと酔いのせいか、もしくは目の前で焼けていく美味しそうな肉のせいだ。)

上記のように欲を出す姿から感じられるもの、それをその人の情熱というのだと思う。その人の情熱の色が目に見える。誰の色も他の誰のものとも違うのだ。

そこには日々自分のフィールドで戦うプロフェッショナルたちが、まるで子どものように自身の関心に沿って物事を探求していく様子が溢れている。

それを見れただけで、触れられただけで、幸せだと思った。

自分自身に誠実に向き合った後彼らは、きっとまた自分たちのフィールドに戻ってお客さんたちを手厚くもてなすのだろう。

自分に誠実に。その結果をもとに、相手に更に誠実に。

その態度が実に心地よい。強さは、心地よいものだ。

色とりどりの情熱が場を焦がす恵比寿の夜は、明るく熱い。

…と、こういった感じです。
ですます調に戻りますね。

そんな中で、やはり千葉麻里絵さんは輪の中心にいます。
会の名前になっているから当然なのかもしれないけれど。

麻里絵さんが終始笑顔と厳しい顔を繰り返しながら、人々の本気を感じて、本気でそれに応えている様子はいつ見ても驚嘆に値するものです。
それを見ているこっちにも妥協を許さない。そういう空気を自然と感じざるを得ません。

「本気になれよ。やれよ。」という熱をこれでもかと丁寧に伝える人です。
僕も、もっっっっとちゃんとしなきゃな…と感じる。
せめて近くで見れている時だけでもその熱をより深く感じなければ…となる。

…のです。

マリエ会は以上のようなやり取りが明け方まで続きます。
皆さん飲食業で戦っているだけあってとってもタフなのです…。


毎回解散後、僕は恵比寿駅前で白い灰になってぼーっと酒を飲んでいます。

「ああ、いい会だったな。」と噛みしめながら。帰宅の時間まで。

4.「がんばろう広島酒蔵の会」が明日開催されます!

ここからはイベント予告です。そんな千葉麻里絵さんが食と酒の組み合わせをプロデュースした「がんばろう広島酒蔵の会」が、明日3月9日東京の青山スパイラルホールで開催されます!

↑広島のお酒「寶劍(ほうけん)」です。好き。

西日本を中心とした各地域が、昨年の夏豪雨の被害に遭ったのは記憶に新しいと思います(→平成30年7月豪雨)。その際広島県にある多くの酒蔵が災害に巻き込まれ甚大な被害を受け、売り上げが減少したり酒造設備に影響がでたりしました。この点は恵比寿新聞が詳しく取り上げていますので、よかったら一度読んでみてください。

上記のリンク中にも書いてあるのですが、その豪雨の後麻里絵さんは恵比寿新聞の方々と一緒に広島の酒蔵を訪問して取材をしてきたそうです。

その記事に酒蔵の方々からお話を聞いた時のことが載っているのですが、酒蔵の皆さんが望んでいるのは「こんな時ほど広島を訪れてほしい、自分たちが造ったお酒を飲んで欲しい。」ということでした。今回の会はその声に応えて開催されます。皆で広島のお酒を飲んでしばし被災地に思いを馳せ、広島の魅力に気付こうというイベントです。

以下に麻里絵さん本人のツイートをいくつか引用しておきます。

広島から集まった多くのお酒を4つのタイプに分類し、それぞれのタイプごとにぴったりと合った料理を作ってお客さんに提供するそうです。最後のツイートに書いてありますが、250人をさばきながら繊細なペアリングを完成させるというのは非常に大変なことです。

自分でやってみて初めて分かったのですが、例えばシンプルに塩コショウで焼いた鶏もも肉にばっちり合う酒をもってきて、ばっちりな温度で、ばっちりな器で食べてばっちりな旨さを作る…ってだけでも、

めっっっっちゃ大変です断言します。

それをこんな規模でやってしまう技術と、それを手伝ってくれる方が大勢いる人望と、そして何よりも麻里絵さんの熱意に敬意を表して全力で楽しんできたいと思います。(すみません、僕はチケットが取れたので行ってくるのです。)

存分に、広島を飲んで支えてきます。

イベントが終わったら、それを読んだ皆さんが「自分も被災地を飲み支えよう、食べ支えよう、旅行して支えよう!」とちょっとでも思えるようなレポートをまた書きたいと思います。よかったらまた読んでネ。

5.最後にひとこと

2つのイベントを紹介させていただきました。少し長くなったけれど、読んでくれた方にちょっとでも多く場の雰囲気やイベントに至るまでの経緯を伝えようと思い、敢えて途中の文章を削りませんでした。ここまで読んでくれた方々には、本当に感謝しかありません。

最後にひとこと、いいですか?
 
 
 

この世界には自分の好きなことや興味のあることについて自分よりもっともっと果てしない興味関心を抱いて熱中している人がいます。
見つけたら、ついて行け。周りが何と言っても。
そこで自分のやれることを探せ。
自分の能力不足はそこにいる内にどうでもよくなるから。
誰かがもっと高みに行くんだ。
自分でもいいんだ。
ほかの同士でもいいんだ。
新しい面白さに、誰かがたどり着く、着け!!!
そんな風に思いながら、駆けて行け。
賭けて行け。

 
 
 
 

本文と関係ないかもしれませんが、書いているうちにこんな気分になりました。

何かに向かって不器用に命を削る人たちが、心から笑える日がありますよう。

長々と読んでいただきまして、本当にありがとうございました。また書きますね。

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。