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酒詩

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日本酒が好きです。詩が好きです。それらを合わせて酒詩を作ります。デタラメを言ってはなんの価値もありませんが、事実すぎては酒が見せる素晴らしい虚構と折り合いがつかない。いつでも事実…
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2019年5月の記事一覧

日本酒についての雑感

日本酒についての雑感

今日は日本酒について思ってることを書きます。

あまり面白くないかもしれませんが、まあ酒を片手に適当に読んでください。

まず結論から言いましょう。

僕は日本酒の味や質感を表す新しい表現を模索することが日本酒の普及につながると思っています。今回の記事は全体でそれを言うための構成になっています。

しばしお付き合いください。

※※※

日本酒は日用品ではありません。だよね?

「日用品です!」っ

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定点観測「雪の茅舎・山廃本醸造」8日目…なるか?

定点観測「雪の茅舎・山廃本醸造」8日目…なるか?

深く酸い。それは変わらない。いちごの香りをまとった不可思議な液体が目の前にある。日に日に緩急自在な柔和な液体を前に顔をしかめる私。もちろん魅力は酸だけではない。甘みにもここにきて特徴が出てきた。

※※※

畳の上にいる。一日中、ここにいたい。
かすかにススキが香る。春なのに。
鼻がおかしいのか。杉のせいかな。

都会のスピードは思ったより早かった。
僕は置いていかれた。

散々文句も言った。職場

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定点観測?「雪の茅舎・山廃本醸造」7日目風掌編

定点観測?「雪の茅舎・山廃本醸造」7日目風掌編

この時期の風が冷たく感じたら、それはまだ春が生きている証拠かもしれない。いや、生まれたばかりの、或いは未熟児の夏なのかもしれない。

僕は湖を泳いだ。

不思議と中で呼吸ができた。水なのに。水なのに。まわりは。

思えば最初に息を吸ったのも水の中に近かったのかもしれない。

光があって、人の声があって、温かい機械的な雰囲気の場所で。

そんなことを思いながら水の中を泳いでいる。

水に季節が溶け込

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エクリュは彼方に連れてゆく、僕を

エクリュは彼方に連れてゆく、僕を

愛する人の手触りは

おれを極北へつれてゆく 遠くへ

名もなき極北へそれは つれてゆく

雨音の千分の一 雪が雪に沈む音すら

はっきりと聞こえるような集中をくれる

吐息が聞こえる中で

外部の気配すら微塵ももらさず伝えてくれる

自分がまるごと世界みたいな

気恥ずかしくなるあの感触をくれる

照れるな

愛する酒の手触りも

おれを極北へつれてゆく 遥か彼方へ

姿を見たことのない

文字

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