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地理旅#2「インド編~万有引力」

万有引力

タイの次に選んだ旅先は、インド。22歳の夏。偶然が重なり、ああ、もうこれはインドに呼ばれてると思えるほど、立て続けにインドへの誘惑に駆られた。

1つ目は、タイに連れ出してくれた親友がインドからの帰国子女で、いつかそのルーツを見に行きたいと考えていたから。2つ目は、当時の彼女(現在の妻)が先にインド訪問を果たし、マウンティングされていたから(笑)。そして3つ目は、美容師さんに『旅学』という雑誌を勧められ、そこに映し出されてたインドの姿に揺さぶられたからである。

雑誌に映し出されていたのは、あまりにも有名なガンジス河。輪廻転生を信じるヒンドゥー教徒にとっての聖地。写真には「ガート」と呼ばれる階段が映され、沐浴をする人々の傍らで、死者が荼毘(だび)に付せられていた。

ちっちゃい虫すらダメな僕にとっては、これは完全なアドベンチャーだった。単純な動機とも言えるのだが、身近な人の影響力って改めて強い。自信を高める一つの方法としての観察学習、つまり「アイツに出来るなら、自分もやってみよう」という感じだ。

それはともかく、「これは自分の目で見なくては!」と、怖いもの見たさで中学時代のセンパイと格安航空券を手配し、すぐさま入国ビザ取得の手続きに移った。まんまと僕はインドを目指すことになった。


親父、パキスタン人だっけ?

インド入国ビザの一部

a)父または祖父(父方または母方)にパキスタン国籍をもったことがある人はいますか。

ああ、インド北西部のカシミール地方をめぐる、インドとパキスタンの領土紛争の影響がこんな所にも。生徒にネパール人と間違えられた経験がある僕は、入国審査の時に心底ビクビクした。完全にお門違いだけど。

ちなみに、僕がインド入りする前の7月には、西海岸の大都市・ムンバイで20人以上が亡くなる同時多発テロが起きていた。そのためか、現地でも幾度となく荷物検査をされた。

平和ボケしていた日本での日常から一変、インド入国前から徐々に緊張感が高まる。

「ない」もの、「ある」もの

インドの首都・デリーへの到着は深夜だったため、寝泊まりしたのは空港・・・の床。そして、思い返すと、貧乏旅行のインド滞在中、ココがイチバン安心安全で快適に眠れた。警察はいるし、広いし、ひんやりしてるし、そして清潔だった。笑

空港はトイレも最高だった。インドではトイレットペーパーがある方が珍しいくらいだが、便座もなく、穴しかないトイレもちらほら・・・。

インドのトイレには「ない」ものも多いのだが、一方で「ある」ものが。

他のトイレは写真を撮る気にもなれなかった・・・

シャワーだ。え?ここでシャワー浴びるの?いやいや、これぞ元祖ウォシュレットなのだ。身体の左側が不浄だと考えるヒンドゥー教では、柄杓(ひしゃく)に水を溜め、左手で勢いよくお尻を洗い流す・・・。えっ・・・柄杓がない場合は素手で行くんでしょうか?水をかけて飛び散ったものはどうするんでしょうか?・・・疑問が止まらない。

翌朝、デリーの街に出ると早速カレーを頬張った。ちなみに、有名な話だが、インドには「カレー」という料理はない。日本に「醤油」という料理がないようなもんで、カレーはインド発祥のスパイス料理の総称でしかない。

滞在中、基本的にはずっとカレーを食べ続けたわけだが、その中でもイチオシは、アグラという街で食べたJoney's Placeのバター・チキン・マサラ。スパイスとバターの香り、食べ応えのあって香ばしいチキンが最高だった。

なお、先に述べたように、ヒンドゥー教では体の左は不浄なものだとされているので、食べるときは「正しい」とされる右手を使って食べる。もっとも、普通に左手を使ってるインド人も見かけたけど。

そういえば、右手と左手を合わせて「いただきます」をしたら、どうなるのだろう・・・。・・・いやいや、しょーもない妄想は、この辺でやめておこう。

インド流カレー定食「タリー」(右)/ウサギの気持ちになった生野菜サラダ(左)


「ない」と言えば、インドのマックにはいわゆる「ハンバーガー」がない。ヒンドゥー教では、牛は神聖な生き物だから食べたりしないのだ。そういえば、道路の真ん中で牛が寝そべってて、蹴っ飛ばしてどかしてた人いたけど!・・・世界は、百聞に一見にしかずである。

ちなみに、インドのマックで食べたのは、インド版ビックマックであるチキンマハラジャマック(左)と、野菜カレーコロッケが挟まったベジマック(右)。インドにはムスリムも多く、不浄なものとされる豚肉を食べられる場所も限られていた。ベジタリアン対応のメニュー

写真
実物

レタス・オン・ザ・バーガー!盛り付けは、なかなかにダイナミック。マハラジャマックは食べ応えがあるが、チキンだからかサッパリと。ベジマックは60円という安さ!スパイスが効いてて、肉なしでも意外と美味い・・・!!

さて、腹ごしらえしたところで、次に目指すのは「世界一美しい」と言われる墓・タージマハルである。


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