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「サービスデザインの教科書」を読んでみた感想。 part4

こんにちは。長谷川リョウヘイです。

今回は、『「サービスデザインの教科書」を読んでみた感想。』シリーズの第4回になります。第3回はこちら。

前回の更新から1ヶ月近くが経過してしまっているのですが、普段からサービスデザイナーとしていくつかのサービスを横断的に見て相談を受けていたり、その他、組織デザインにもサービスデザインの力で貢献したりしているので、思ったより本書を読む時間が割けなかったことが原因です。

ただ、それも嬉しい悲鳴というもので、「サービスデザイン」という分野や言葉はまだ部署でも馴染みがない単語なので、それを扱う職種が忙しいというのは、逆に組織にとってはいいことだと思います。(もちろん自分にとっても、スキルアップにつながって幸せです☺️)

そして今回は、そんなサービスデザイナーが感じるデザインの「厄介な問題 - Wicked Problem - 」についてお話していこうと思います。

デザイン上の「厄介な問題」とは?

「サービスデザインの教科書」の第三章では、「デザイン」という言葉の誕生と変遷が語られていまして、その中でも「厄介な問題」の10の特性という部分に目が引かれました。

「厄介な問題」とは、理論上ではデザインとは直線的なプロセスで進むことが好ましいが、現実の実務では複雑で不確定な変数が多いことから、直線的に実務が進むことはほぼ皆無というような話を代表する単語ということだそうです。

その中でも10の特性があり、それぞれ、

1. 問題を定式化できない
2. 解決を判定する規則がない
3. 解決策に問えるのは、真偽ではなく、良いか悪いかだ
4. 解決策の効果を確実に評価できるタイミングはない
5. 解決は常に一度限りのもの
6. すべての解決策を書き尽くせず、許容範囲も確定できない
7. すべての問題は本質的にユニークである
8. すべての問題は別の問題の兆候とみなせる
9. 問題をどう捉えるかは、様々な方法で説明できる
10. 解決者は間違うことが許されない

とされています。

これらは、何かしらの問題が起こった時に、「○番だな」と判定するためのものではなく、あくまで「この特徴があるな」という議論を呼ぶためのものだそうです。(この中のいずれかの問題に当て嵌めたからといって、解決するわけではないし、おそらく複数の問題に跨っている可能性が高いと思います。)

サービスデザイン実務でも「厄介な問題」を感じる件

実際に上の問題はサービスデザイン実務でも感じる話で、例えば、「既存サービスのUXを刷新する」ケースの場合に当てはまるのは、

1. 問題を定式化できない
毎回違う分野、違う領域、異なるターゲットのUXを考える場合が多いので、必要とされるUXの粒感も変わるし、サービス上のUXなのか他のタッチポイントのUXなのかも変わってくるので、毎回問題の理解の仕方が変わる。

3. 解決策に問えるのは、真偽ではなく、良いか悪いかだ
UXが正しいかどうかは、ユーザーが使ってみて「良いか悪いか」を判断してもらうしかないので、客観的には絶対に「True or False」にならない。

4. 解決策の効果を確実に評価できるタイミングはない
ローンチ後であればあるほど、UXは既存の他のUXとの関連性が増すので、確実にUX単体で評価できる日は永遠に来ない。

6. すべての解決策を書き尽くせず、許容範囲も確定できない
UXはそれこそ無限で、体験するユーザーのコンテクストよって変わってくるものなので、ペルソナを作るなどの方法で範囲を限定(≠確定)しないと、UXはいつまで経っても考えられない。

7. すべての問題は本質的にユニークである
1番と同様。毎回お題が変わるので、定式化できない。

8. すべての問題は別の問題の兆候とみなせる
一つのUXを考える際に、何か問題が出てくる場合がある。例えばプロジェクトメンバー間での共通認識がない/違う場合、UXだけでなくプロジェクトマネジメント自体に影響を及ぼす可能性が高いので、そちらにも治療が必要になったり。

9. 問題をどう捉えるかは、様々な方法で説明できる
UXを考える以外にも、実はもっと重要な問題があるのかもしれない。それは上記にあげたような、共通認識ができていないことが問題だったり、そもそもサービスと使っているユーザーのニーズがマッチしていないことかもしれない。

10. 解決者は間違うことが許されない
UXを考えて、改善を行い、ローンチするということは、ユーザーの信頼を向上させるか、損なうかの2択の分かれ道を突き進むということなので、プロジェクトメンバー全員に負荷がかかる。

というように、パッと考えてみるだけで2番と5番以外は思いついたくらいなので、デザインとはやはり高度な専門性が求められる職業だなと思います。それが抽象的で無形なものであればあるほど、「厄介な問題」に直面する確率が高くなりそうなので、意識的に構造化したり可視化するなどして、情報を整理していくことが必要そうです。

本日はこれにて!





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1996年生まれ。 卒業後は個人事業主として、モバイルアプリの企画設計〜UI/UXデザイン〜開発・運用を経験。 現在は、一部上場企業の新規事業開発部門にて、サービスデザイナーとして活動中。
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