らい

医師3年目。 覚え書きノートです。

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心電図検定1級~対策法~

2021年1月に受験した心電図検定1級に合格したので、これから受験する方に向けて、役に立ちそうなことを書いていきます。需要がありそうなテーマ順に紹介します。 現時点では心電図検定1級受験者の体験談や勉強法について書かれたブログ・note等は多くは無く、自分が検定を受験するにあたり、情報収集に際して苦労したことが今回のnoteを書く動機です。 なお、自分は1級以外の級は受験したことがないので、2/3/4級については言及しません。このnoteの記載内容については、(他の級と内

    • 院内発熱の【6,7,8,9】D

      感染性の入院発熱 top5 は以下の通り。 ①尿路感染症 ②肺炎(高齢者では特に誤嚥性肺炎) ③手術部位感染(SSI) ④カテーテル関連血流感染症 ⑤CDI また、特に見逃されやすいものとして、7Dとして覚える。 書籍によっては6Dや8Dとしてまとめられていることも多い。 ・Drug ・Device ・CDI ・CPPD(※痛風も鑑別に入れる):偽痛風の頻度は高い! ・DVT:DVT、PE ・Decubitus「デクビ」 ・Debris:胆嚢炎、胆管炎 ・Deep absc

      • 強オピオイドの基礎知識

        弱オピオイドと違って天井効果ceiling effect(コデインは120mg,トラマドールは300mgを超えたら強オピオイドへ変更)がない強オピオイドについて. 最初から強オピオイドから開始することもあるし(最近ではby the ladderが原則から外れている),よく使うNSAIDsは増量しても鎮痛効果はあまり変わらずに副作用の頻度を増加させてしまう.とにかく内科病棟では強オピオイドについて普段処方しなくても最低限は知っておかなければいけないと思い,まとめてみる. 私

        • (たぶん)シーソー呼吸を見た話

          (またしてもバイトしているド限界田舎の)場末病院で舌根沈下によるSpO₂低下(50%くらい)に出くわした時のこと。 アレヤコレヤしてSpO₂低下自体は事なきを得たが、今になって振り返ると、病棟から呼ばれてまず患者を診たときに思った「(呼吸おかしくね?普通にヤバいのでは。)」の正体がシーソー呼吸だったのではという話。 <教科書的記載> 特殊な異常呼吸の1つとして「奇異性呼吸」がある。 その中でも、上気道の閉塞(舌根沈下など)は呼吸に伴う胸壁と腹部の動きが逆の状態となるシーソー

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        心電図検定1級~対策法~

          蜂窩織炎にCTRX orz

          ド田舎の場末病院で、週に1回寝当直している。 当直入りの回診にて入院中の患者が蜂窩織炎っぽいと看護師から言われ、みてみると片側性に下腿~足背に発赤・腫脹あり、もともと水虫もあるとのことで、こりゃ蜂窩織炎として抗菌薬開始が妥当だろうと思った。 蜂窩織炎は自発痛がないことが多いはずだがこの患者では訴えていたし、皮膚所見がそこそこ派手だったため、CEZ 2g q8hはじめようと思った。 ところが日勤の副院長がまだ残業していたので一応セファゾリン始めますと報告したところ、「ピペラ

          蜂窩織炎にCTRX orz

          食前にしても意味のないPPIは

          PPI 服用で効果が不十分な患者では、薬剤を増量または種類を変更する前に、まずPPIの服用が食前1時間から30分(:最大の効果が期待できる)であるかを確認し、そうでなければ内服のタイミングを変更する。 ただし、エソメプラゾール(ネキシウム®)は食前で効果が高い一方で、ラベプラゾール(パリエット®)は差がなかったとも報告されている。 ※ちなみにこの2種類はCYP2C19の影響が少なく、安定した効果が期待できる。 ※※パリエット®は重症例には倍量投与ができる。 なお、P-CA

          食前にしても意味のないPPIは

          マグミット®は1日1回で問題ない

          腸管内で便を作り出す作業は一日中なされており、便を軟らかくする作用も長時間効いていた方が良い。よって、「1日3回内服が基本」 ……と書かれている本あり、実際病棟でも便秘にはまず「マグミット®1回330(~660)mg1日3回(自己調節可)」で対応する場面をよく目にする。 が、実は1日1回の服用で問題ない(毎食後でなくてもよい)。 各々の生活スタイルによっては1日1回のほうが有難い人もいるだろうし、提案できるようになりたいと思いnoteにする。 内服タイミングとしては、「

          マグミット®は1日1回で問題ない

          【比較】アミティーザ®・リンゼス®

          〔注意〕 私は消化器専門ではなく、加えて両薬剤処方経験も乏しいです。あくまでメモ書きということで。 また、先日『便通異常症診療ガイドライン2023(慢性便秘症・慢性下痢症)』が発刊されており、updateできていない部分があるかもしれません。 はじめに 林修先生は、人の思考は「類似」「対比」「因果」の3つを中心に展開されるとしています。 非刺激性下剤であるアミティーザとリンゼスは共に上皮機能変容薬(分泌性下剤)であり、だったら両者を比較し類似点や違いを抽出することでそれ

          【比較】アミティーザ®・リンゼス®

          水分欠乏量(L)を求める式の意味

          高Na血症がすべて水分喪失のみから生じたと考えると、体内の総溶質(ナトリウム)は変わらないはず、と考える。 ここで、xを水分不足分(L)とする。 総溶質量=現在の水分量 t(L)×現在の血漿Na値 a(mEq/L) =正常時の水分(t+x)×正常時の血漿Na値(140 mEq/L) t×a=(t+x)×140 ∴ x=t(a-140)/140・・・① 現在の水分量t(L)=体重×0.5(女性は0.4にする場合もある)  ※健常人なら0.6だが、高Naでは水分欠乏が

          水分欠乏量(L)を求める式の意味

          大建中湯

          大黄を含まない漢方薬の代表。 ※漢方薬の下剤としての作用は大黄による作用が主であり、大黄はアントラキノン系の刺激性下剤であるため、下剤として使用される漢方薬の多くは刺激性下剤に分類される。一方大建中湯や桂枝加芍薬湯には大黄が含まれていないが、その分下剤としての作用は弱い。 なお大黄は長期間の連用や妊婦にはよくない。 作用、特徴 腹部を温め、血流を改善し腸管運動を適切に保つことで便通を改善する。 下腹部痛や腹部膨満感に効く(∵大黄を含まない) 直腸の感覚閾値を下げるため、

          大建中湯

          γ計算を攻略(理解せずに)

          研修医2年目になるにも関わらずγ計算ができず、避けてきた。今回、とりあえず時間はかかるが考えないで答えを出せるようにすることを目標にアプローチを考えた。 1γ=0.06×[体重(kg)]mg/hr ↑ スマホのメモアプリにでもこれだけ入れとく。覚えたいところだが自分は無理。 ここで具体例。 「Aという薬が50 mL中300 mg入っている場合に、体重50 kgの人に2γで投与する場合」 2γ=2×0.06×50=6 mg/hr ↓ 求めた6という数字を使って以下を

          γ計算を攻略(理解せずに)

          アンブロキソールばん(ムコソルバン®、ムコサール®)

          「既往のCOPDは既往のムコソルバン等で経過良好」という情報提供書を読んで気になった。また、小児科カルテでMMという記載があり“ムコムコ”という意味だった。名前が似ている薬が多くよくわかっていなかったのでまず本剤についてまとめる。 去痰薬はとりあえずカルボシステインとこれを覚える。 去痰薬喀痰自体を消失させるものではない。気道分泌物量が増え、病的に性質が変化することで喀痰として認識され排出困難となる痰の量や性状を調整して喀出を促すもの。 作用機序気道粘膜を潤滑にする。

          アンブロキソールばん(ムコソルバン®、ムコサール®)

          肺炎球菌ワクチンなど

          肺炎球菌ワクチンについて、小児科の先生より(口頭で)ミニレクチャーを受けたので、忘れないうちにメモっておく。とりあえず以下を喋れるようにしたい。録音などはせず思い出して書いてるので細かい言い回しに間違いがあるかもしれない。なお、途中から小児の抗菌薬について話が進んでいったので、まとめて記録する。 「肺炎球菌ワクチンには、13価のプレベナー(子供)と23価のニューモバックスNP(高齢者)がある。この[13][23]という数字は、それぞれ対応している肺炎球菌の多糖体の種類であり

          肺炎球菌ワクチンなど

          ツロブテロール(ホクナリン®)テープ

          ツロブテロール(ホクナリン®)テープ ・・・ってなんだ!となったので調べる。 0.5~2mg 作用時間は24h LABA(長時間作用性β2刺激薬)である。 喘息のコントローラーとして用いられるが、必ず吸入ステロイドと併用。 喘息の治療としてはステップ3~ 最近はICS/LABA合剤を使うことがほとんど。 (COPDでも使うのかもしれないが、LABA単剤は少ないと思う) 1日1回貼るだけでよいため、手軽に使え、患者に人気。子供にも使いやすい。 副作用が出てもはがせば治る

          ツロブテロール(ホクナリン®)テープ

          LCに伴う腹水に対する利尿薬の使い方

          LC患者に発症する非代償性症状として腹水がある。塩分制限は最も重要な治療。薬物療法としては利尿薬(抗アルドステロン薬、ループ利尿薬、バソプレシンV2受容体拮抗薬)を投与する。低アルブミン血症(≦2.5g/dL)を伴う場合にはアルブミン輸注(20~25%アルブミン50mL×2輸血+ラシックス®20mg iv併用)も考慮する。 ☆利尿薬の第一選択はスピロノラクトン(アルダクトンA®) ☆スピロノラクトン:フロセミド=5:2で使用 スピロノラクトンで効果不十分ならフロセミド

          LCに伴う腹水に対する利尿薬の使い方

          【オーダー例】アミノレバンとリ~バクト

          BCAA製剤(分岐鎖アミノ酸製剤)について。 主に、内服している患者を受け持った際にある程度処方の目的を理解し、例えば入院時にわけもわからず不安を持ちつつdo処方、みたいにする必要がないようにまとめてみる。なお、基本的に副作用はない(悪心嘔吐はあるらしいが)からそこは安心できそう。なお、リーバクトはT-bil>3、肝性脳症昏睡度Ⅲ以上で禁忌。 ポイント LC患者(BCAAは筋肉においてエネルギー源として使用される)に対するBCAA製剤の投与は低アルブミン血症、脳症(アン

          【オーダー例】アミノレバンとリ~バクト