大建中湯

大黄を含まない漢方薬の代表。
※漢方薬の下剤としての作用は大黄による作用が主であり、大黄はアントラキノン系の刺激性下剤であるため、下剤として使用される漢方薬の多くは刺激性下剤に分類される。一方大建中湯や桂枝加芍薬湯には大黄が含まれていないが、その分下剤としての作用は弱い。
なお大黄は長期間の連用や妊婦にはよくない。
 

作用、特徴


腹部を温め、血流を改善し腸管運動を適切に保つことで便通を改善する。
下腹部痛や腹部膨満感に効く(∵大黄を含まない)
直腸の感覚閾値を下げるため、便意を感じやすくなる
経腸栄養にて胃残量が多かったり嘔吐が起きた際に腸管蠕動薬として使われる。(六君子湯も)
☆開腹術後の腸管運動低下に使用
効果については断定的な結論が出せる状態ではないが、術後イレウスの頻度低下を期待して使われる。術後の開始でもよいが、手術の数日前から投与を開始しても良い。
実際、アセチルコリンの分泌を促進したり、腸管を直接刺激する作用が見出されている。西洋医学的な漢方薬といえる。
 

注意


白湯に溶かして経鼻胃管などから投与することもあるが、後押しをしないと詰まりやすい。
副作用としては肝障害・黄疸、間質性肺炎
 

処方例


・1回5g 1日3回毎食前
・6包分3 毎食前(常用量が6包と他の漢方薬より多いので注意)
 

参考文献


・レジデントノート増刊号 日常治療薬の正しい使い方 p.60
・頻用薬の使い分け 第3版 p.92
・総合内科病棟マニュアル 赤本 p.273
・消化器診療プラチナマニュアル p.31
・内科診療ことはじめ p.392
・病棟でよく使われる「くすり」p.175
・休み時間の薬理学 第2版 p.206,207

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