肺炎球菌ワクチンなど

肺炎球菌ワクチンについて、小児科の先生より(口頭で)ミニレクチャーを受けたので、忘れないうちにメモっておく。とりあえず以下を喋れるようにしたい。録音などはせず思い出して書いてるので細かい言い回しに間違いがあるかもしれない。なお、途中から小児の抗菌薬について話が進んでいったので、まとめて記録する。

「肺炎球菌ワクチンには、13価のプレベナー(子供)と23価のニューモバックスNP(高齢者)がある。この[13][23]という数字は、それぞれ対応している肺炎球菌の多糖体の種類であり、2者で共通のものもある。そもそも肺炎球菌の多糖体は100種類以上あるのだが、病原性を考えてそれぞれ(特に侵襲性肺炎球菌感染症に関係する)13あるいは(特に菌血症に関係する)23種類となっている。ニューモバックスは多糖体だけ、プレベナーは多糖体に加え、タンパク質も抗原として含まれている。というのも、小さい子供はさすがに抗原として多糖体だけでは免疫がつきにくいということで、より免疫が誘導されやすいタンパク質も含めている、ということらしい。プレベナーの商品の箱には[13価結合型ワクチン]と書かれているが、この[結合]は、多糖体とタンパク質が結合している、ということである。肺炎球菌による細菌性髄膜炎は新生児期を過ぎてからなので、(日本では)生後2か月から打つことができる。計4回である。」
(ここから抗菌薬メインの話にうつる)
「細菌性髄膜炎について。新生児期ではGBS、E.coli、(日本では少ないListeria)が起炎菌となる。それぞれ対応する抗菌薬はABPC、CTX、(ABPC)である。CTRXではなくCTXを使う理由は何か。理由は2つ。1つは、CTRXは蛋白結合能が高いため、ビリルビンが結合するはずの蛋白がCTRXに占拠され、核黄疸の原因となるからである。なので、新生児にはCTRXはそもそも禁忌となっている。他に同じ原因で禁忌となるのはST合剤である。蛋白結合能が高い抗菌薬としてこの2種は覚えておく。後者のST合剤については、UTIにおいて使えないためABPC+(腸内細菌をまず外さない)GMを使うことがあることと絡めて覚えるとよい。2つ目の理由は、CTRXが胆泥の原因になるからである。割とメジャーな事項だが、特に小児では気にする模様。髄膜炎みたいに治療期間が長い(2週間とか)場合はCTRX使うとやはり胆泥がしっかりできる症例を経験したりするらしい。結論、新生児の細菌性髄膜炎ではABPC+CTXとする。新生児を過ぎてから成人までの起炎菌としてはHibと肺炎球菌である。前者にはCTRXを使い、後者にはVCM。CTRX+VCMとする。なお肺炎球菌については、PSSP→ABPC・PISP→CTRX・PRSP→VCM、とまずはざっくり覚える。もちろん髄膜炎ではカバー外せないためABPCを肺炎球菌対応としては使わないが。成人の細菌性髄膜炎は肺炎球菌でCTRX+VCM。高齢では肺炎球菌とListeria、(E.coli)を考えVCM+CTRX+ABPCとする。」

以上。記憶とメモ書き頼りに文字起こししたので正確ではないかもしれない。なお、小児科研修では抗菌薬はdivとしてはABPC・ABPC/SBT・CTX、p.o.としてはAMPC・AZMしか見なかった(CAMも使われていたが抗菌目的ではなかった)。
1か月小児科をローテした小並感を述べようと思ったが小児感染症は沼感があるのでやめた。子供でCRP結構上がるのはUTIと中耳炎、という耳学()は忘れないうちにここに書いておく。


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