LCに伴う腹水に対する利尿薬の使い方

LC患者に発症する非代償性症状として腹水がある。塩分制限は最も重要な治療。薬物療法としては利尿薬(抗アルドステロン薬、ループ利尿薬、バソプレシンV2受容体拮抗薬)を投与する。低アルブミン血症(≦2.5g/dL)を伴う場合にはアルブミン輸注(20~25%アルブミン50mL×2輸血+ラシックス®20mg iv併用)も考慮する。
 
☆利尿薬の第一選択はスピロノラクトン(アルダクトンA®)
☆スピロノラクトン:フロセミド=5:2で使用
 
スピロノラクトンで効果不十分ならフロセミドを上乗せする。

スピロノラクトンとフロセミド

◎比較的少量の腹水なら
・スピロノラクトン単剤25~100mg
※スピロノラクトンは50mgまでは単独で使用し、3-5日毎に増量、100mgではフロセミド40mg併用する。と記載している文献もあり。
◎上記無効の場合や中等量以上の腹水、末梢浮腫を伴うなら
・スピロノラクトン(保険上上限100mg)+フロセミド(保険上上限80mg)
例)
スピロノラクトン25~50mg1日1回+フロセミド10~20mg1日1回で開始し数日~1週間反応をみて適宜増量
 
スピロノラクトンが使いにくい理由として挙げられるのは:
無尿や急性腎障害、高K血症
 

トルバプタン(サムスカ®)

スピロノラクトン+フロセミドで腹水コントロールが不良である場合は、入院の上、トルバプタン3.75mg/日投与を開始する。効果が出ない場合は7.5mg/日まで(15mg/日としている文献もあり)増量する。具体的には、3~5日みて反応悪ければ7.5mgまで増量する。
治療後はフロセミドの用量を極力抑えながら、必要に応じてスピロノラクトン、トルバプタンを継続投与。
※注意
トルバプタン開始前の尿浸透圧(比重)を検査する。
トルバプタン開始4時間後の尿浸透圧測定(減少の確認:トルバプタンの効果の指標)、血清Na濃度および肝機能検査は重要。高Na血症の予防のため、飲水制限は解除。
腎機能低下していると効果が十分発揮されない。
また、薬剤性肝障害の報告あり。
 

<参考文献>
・消化器研修ノート 第2版
・消化器内科診療レジデントマニュアル
・消化器診療プラチナマニュアル
・総合内科病棟マニュアル 青本
・ホスピタリストのための内科診療フローチャート

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