アンブロキソールばん(ムコソルバン®、ムコサール®)

「既往のCOPDは既往のムコソルバン等で経過良好」という情報提供書を読んで気になった。また、小児科カルテでMMという記載があり“ムコムコ”という意味だった。名前が似ている薬が多くよくわかっていなかったのでまず本剤についてまとめる。
 
去痰薬はとりあえずカルボシステインとこれを覚える。

去痰薬

喀痰自体を消失させるものではない。気道分泌物量が増え、病的に性質が変化することで喀痰として認識され排出困難となる痰の量や性状を調整して喀出を促すもの。

作用機序

気道粘膜を潤滑にする。(気道粘膜に膠着している痰を離れやすくし、繊毛運動促進)
ブロムヘキシンの活性代謝物であり、気道分泌液↑。また肺サーファクタント↑、気道粘液と気道上皮との粘着性を低下させ、粘液線毛輸送能を改善する。そのため、気道潤滑薬に分類される。
:とりあえず、肺胞Ⅱ型細胞のサーファクタント分泌を促進するという作用は覚える。

適応

急性・慢性気管支炎、気管支喘息、気管支拡張症、肺結核、塵肺症、手術後の喀痰排出困難、慢性副鼻腔炎の排膿
(注)急性上気道炎に保険適応なし
粘液性喀痰◎>漿液性喀痰〇
:「キレの悪い喀痰」に使用する。

COPD


「喀痰調整薬は、COPDの非増悪時の症状の改善効果は明らかではないが増悪を抑制するため、使用することを提案する」と[咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019]に記載あり。
→安定期のCOPD患者の喀痰に対しては、LAMA吸入を中心とした薬物療法を行い、喀痰調整薬は補助療法として使用する。

処方例


ムコソルバン®1回15mg1日3回
ムコソルバン®L 1回45mg1日1回内服 夕食後(眠前)
 ↑※朝の喀痰排出が困難な場合、徐放剤を前日夕食後に投与

参考文献


『研修医のための内科診療ことはじめ』p.182
『頻用薬の使い分け 第3版』p.185,191
『類似薬の使い分け 第3版』p.121,130
『レジデントノート増刊号 厳選!日常治療薬の正しい使い方』p.91
『2021ポケット呼吸器診療』p.6

『病棟でよく使われるくすり』p.154
以下2冊は一応読んだがまとめとして使える記載はなし。
『シンプル薬理学 改訂第5版』p.286
『レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室 第3版』p.312

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?