【比較】アミティーザ®・リンゼス®

〔注意〕
私は消化器専門ではなく、加えて両薬剤処方経験も乏しいです。あくまでメモ書きということで。
また、先日『便通異常症診療ガイドライン2023(慢性便秘症・慢性下痢症)』が発刊されており、updateできていない部分があるかもしれません。
 


はじめに


林修先生は、人の思考は「類似」「対比」「因果」の3つを中心に展開されるとしています。
非刺激性下剤であるアミティーザとリンゼスは共に上皮機能変容薬(分泌性下剤)であり、だったら両者を比較し類似点や違いを抽出することでそれぞれの特徴も頭に入れやすくなるのでは、と思い立ち調べてまとめてみました。
 

アミティーザ > リンゼス


アミティーザは効果(と副作用)が用量依存的である。リンゼスは(アミティーザと比較して作用機序がやや複雑なためか)必ずしも用量依存性に効果を発揮しない(用量反応性がよくない)ので、慢性便秘症に対する排便回数や便性状の調節にはやや不向きであり、慢性便秘症治療薬としては使用順位が低くなる。
アミティーザは特に高齢の慢性便秘症患者に有用であり、また、パーキンソン病患者を対象とした治療エビデンスを有する。
 

アミティーザ < リンゼス


腹痛改善効果があるため、特に腹痛が強い慢性便秘症患者や、腹痛を特徴とする便秘型過敏性腸症候群に推奨される。
またアミティーザが禁忌である妊婦や、アミティーザで嘔気が生じやすい若年女性ではリンゼスを優先して使用できる。
※とはいえ妊婦(、授乳婦)への投与の安全性は確立されておらず(動物実験で胎仔毒性が報告されている)、現時点では第一選択薬としての使用は避けるべき。いわゆる「有益性投与」に分類されている。
 

内服タイミング


どちらも、夕(アミティーザについては1日1回なら)から開始。
〇アミティーザ:食後(食直後や食事中が推奨されている)
〇リンゼス:食前(少なくとも食事30分前までに
 

共通点


<良いところ>


・『慢性便秘症診療ガイドライン2017』で使用推奨(推奨度1、エビデンスレベルA)
・電解質異常をきたしにくい。
・腎機能障害でも使用可(重度ならアミティーザでは慎重に)。
・他の薬剤との相互作用が少ない(併用注意が少ない)。
 

<悪いところ>


・排便困難型便秘では効果が劣る
 

(まずおさえるべき)副作用


〇アミティーザ:悪心
〇リンゼス:下痢

参考文献

・『すべての臨床医が知っておきたい便秘の診かた』
・『レジデントノート増刊 日常治療薬の正しい使い方』
・『消化器診療プラチナマニュアル』
・『研修医のための内科診療ことはじめ』
・『消化器診療がわかる現場の教科書』
・『頻用薬の使い分け』第3版

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?