マグミット®は1日1回で問題ない

腸管内で便を作り出す作業は一日中なされており、便を軟らかくする作用も長時間効いていた方が良い。よって、「1日3回内服が基本」
……と書かれている本あり、実際病棟でも便秘にはまず「マグミット®1回330(~660)mg1日3回(自己調節可)」で対応する場面をよく目にする。
 
が、実は1日1回の服用で問題ない(毎食後でなくてもよい)
各々の生活スタイルによっては1日1回のほうが有難い人もいるだろうし、提案できるようになりたいと思いnoteにする。

内服タイミングとしては、「就寝前に1回」と書かれていることが多く、添付文書にもそう書かれている。
が、胃酸と膵液で効果が活性化されるため、食後の服用が望ましい。
そもそも眠前1回投与は飲み合わせに問題があるときに考慮される模様である。
また、眠前1回投与は「腎機能正常者」と注釈が書かれている場合もあり、腎機能悪い人に使うなら分服が無難か。
 
1日1回投与処方の具体例を探したが、なかなか見当たらない。
以下、<参考文献①>に記載があった処方例
・500mg錠1回4錠、1日1回就寝前(適宜減量)
・330mg錠1回3錠、1日1回夕食後(効果不十分なら2g/日まで増量)

【結論】
マグミットを何錠か(~2000mgまで)、1日1回夕食後
でよさそう。
 

関係ないが、処方時は以下にも注意
・抗菌薬(ニューキノロン/テトラサイクリン)の作用を減弱させる
・ビスホスホネート製剤、ポリカルボフィルカルシウム、セレコキシブ、ロスバスタチン、ラベプラゾール、高K血症改善イオン交換樹脂製剤と併用でこれらの効果が減弱する可能性あり、同時の服用は避ける
・活性型ビタミンD製剤、ジギタリスも併用注意
・胃切除後、H₂RA・PPI内服者では効果減弱
・効果の発現までに2~3日を要する(即効性はない)、耐性化しない
・高齢者や腎障害(eGFR<60)のある患者では、高Mg血症をきたすことがある(透析患者では原則禁忌)

<参考文献>

・『消化器診療プラチナマニュアル』……①
・『極論で語る 消化器内科』
・『国家試験後の臨床』
・『便秘の診かた』
・『内科診療ことはじめ』
・レジデントノート増刊『日常治療薬の正しい使い方』
・『消化器診療がわかる現場の教科書』
・『頻用薬の使い分け』
・『まずはこれだけ!内科外来で必要な薬剤』
・『消化器研修ノート』


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