ソラ

さがさないでください

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最近の記事

パクりパクられ論争

オカルト界隈にいるとときたま起こるパクりパクられ論争。YouTubeが活発になって増えてきましたが、今回は「少ない労力で金になればなんでもいいぜ!」といった考え無しでパクる人は置いておいて、パクることを悪いと思ってない人について考える。 私は今はオカルト全般を薄く広く触っているけど、元々は事件事故界隈の人間である。事件事故界隈において、この人は凄い!となるのは時間と労力をかけて一次ソースを探し出し、自分なりの考察ができる人だ。自身でも気になった事件について調べたりすると分か

    • 育ちがいいね

      子どもの頃の話をすると高い確率で「育ちがいいんだね」と言われる。 それは本は好きなだけ買い与えられてきたこととか、家族で出掛ける先が美術館や博物館であることだったり、幼児向けのアニメ映画を観に行くこともなく、バレエやオーケストラのコンサート観賞で育てられたから。 でもわたしはこれらの環境を「高尚に育てようと」与えられてきたわけではない。もちろん一部は親にとって好ましくない子どもにしないために意図的に与えられてこなかったのだけれど。 本を好きなだけ与えられてきたのは、ゲームが

      • 来訪者

        都内で一人暮らしをするOLの裕子(仮名)さんから聞かせてもらった話だ。 裕子さんは25歳の頃、引越しをしたそうだ。 「就職を機に契約したアパートはぶっちゃけ家賃が安いことが最優先で……凄く古いし安普請で。契約期間も終わるし、少しお洒落な所に住みたいなと思ったんです」 そうして見つけたのは、築年数こそそれまで住んでいた所とそう変わらないがリノベーションされ、白を基調としたお洒落な部屋のアパートだった。 「外観も多少手を入れられて綺麗だし、何より家賃がそれまで住んでいたところと

        • 廃神社と信仰

          「心霊の噂の絶えない廃神社にいまも参拝客が訪れるらしい」 そんな噂をあるインターネット掲示板で見掛けた。オカルト好きが集まる掲示板であるが、その書き込みへの反応はあまり芳しいものではなかった。 「廃神社に見えるだけで管理してる人間がいて、地元の人間が来てるだけだろ」「なんでも心霊と結びつけるオカルト脳乙www」 そんな書き込みにあっという間に流される。 「いや、本当にあるんだって。N県の山奥。参拝に来る人も、地元の人間じゃない。みんなわざわざ車で来るんだよ」「それに毎年決まっ

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          福の神

          私がまだ四つくらいの頃、仲の良かった友達が神隠しにあった。卵に筆で描いたような、お雛様みたいな顔立ちをしたみやこちゃん。私はいつも「みやこちゃんはおひいさまみたいだねえ」としみじみ言っては、「かよちゃんのほうがおひいさまだよ、あんなにりっぱなおやしきなんだから」と笑われていた。みやこちゃんは、長く、毛量の多い髪をいつも三つ編みにしていて私は「しめ縄みたいだな、みやこちゃんは神様なのかもしれない」と思ったものである。 七年に一度の大きなお祭りの日、私は父に強請ってみやこちゃん

          呟く女

          2年ほど前の話だ。 その日俺は地元の先輩とドライブに行った。特に目的地があったワケじゃないんだが、お互いオカルト好きで気もあったので暇つぶしに出かけようという話になったのだ。先輩の車で近くにある山を走りながら取り留めのない話をする。 「そういえば先輩、彼女できたんすか?この前の水曜日女の子乗せてドライブしてるの、俺の同僚が見たって言ってましたよ」 「ああ、彼女じゃないし誰も乗せてないよ。その日仕事だし。なんかこの車、女が憑いてるって言われたんだよな。俺には見えないし実害

          呟く女

          自分の中で大事にしていること

          私が大事にしていることはなんだろう、と考えたときに思いついたのは「自分と関わる人の時間」だと思った。 私は仕事の前日は飲酒をしないと決めている。夜寝るまでに絶対に酒が抜けるような時間・量であればごく稀に飲むこともあるが、酔ったまま寝るようなことは絶対にしない。最近はそもそも飲酒自体をほとんどしないのだが、コロナ前は休日前夜、浴びるように飲んでいた。仕事がある時は全く飲まないんです、と言っても信じてもらえなかった。飲酒をしない理由はただ一点で、遅刻が怖いからだ。私は基本的に朝

          自分の中で大事にしていること

          隆盛の果てに

          私は人気のない場所が好き。寂れた村、廃墟や人気のない寺社仏閣、心霊スポットが好きだ。霊感のない私には幽霊よりも人間の方がよっぽど怖いので、昼間に一人で訪れる。不法侵入にならないギリギリまで近付いて、そこで過ごした人たちに思いを馳せる。 私の友人にひとりだけ霊感のある子がいる。私と会う度に「また違う人いるよ」といって笑う子だ。興味本位で憑いてきているだけだから、放っておいてもそのうち離れていくそうで大した心配はないらしい。「あんまり危ないとこは行かない方がいいよ、怪我とか怖い

          隆盛の果てに

          たをやめの学舎

          ご存知の方も多いかと思うが、私は群馬県で育った。埼玉や栃木との県境近くで、夏は暑く冬はからっ風の吹き荒ぶ町である。外国籍の人が多く、珍スポットを紹介するサイトに町ごと掲載されている。群馬県の人間は山を見て方角がわかるというが、私の町の人間はそのスキルを持つものは少なかった。冗談だと思っていたが、高校で出会った友人たちはそのスキルがあったため本当なのだと驚いたものである。今日はそんな高校時代のお話です。 群馬県には公立女子高が多い。この記事を書くにあたって調べたところ、公立女

          たをやめの学舎

          可愛い可愛いプリンセス

          私の周りには家庭に問題のある友人が多い。毒親然り、片親然り。私も御多分に洩れず、片親育ち。誕生日とクリスマスの電話や手紙のやり取りはあったものの、物心ついてから初めて父親と会ったのは母の葬儀の場である。13歳の冬だった。 片親育ちであるものの、家庭環境には恵まれた方である。母方の祖父母、曾祖母、母、私の5人暮らし。初孫で一人っ子の私は、存分に愛情をかけて育てられた。恥ずかしい言い方をすると、まさに喋よ花よといった感じである。母子家庭ではあるものの金銭的な不自由をしたことも無

          可愛い可愛いプリンセス

          北京ダックの好みが合わない人とは恋愛できなくない?

          めちゃくちゃ頭の悪いタイトルをつけてしまった。頭の悪い文章ばかりを産み落としているが、小説家の娘である。ビッグネームではないが、そのジャンルの中では売れている方の作家の娘である。親の名誉のためにも名前は伏せておこう。不肖の娘でごめんな!ちなみに私はミステリと純文学以外を読まないため、親の本も数冊しか読んだことがない。毎回くれるサイン本も本棚の肥やしである。 タイトルに戻ろう。北京ダック、美味しいですよね。皆さんは北京ダックはカリカリ派?むちむち派?私は圧倒的カリカリ派。食べ

          北京ダックの好みが合わない人とは恋愛できなくない?

          夾竹桃で花束を

          「花盗人は風流のうち」 そんな言葉を思い出しながら剪定バサミを手に、踊るように夜の街を歩く。川辺に夾竹桃を見つけて足を止める。枝を少し長めに切って足元へ。手の届く花をあらかた切り終えると、剪定バサミを川へと放る。自由になった両手で切った花を抱えて帰ろう。だって今日はトクベツだから。ずっとずっと悩んでいたけど、決めてしまえばこんなに心が軽い。誰もいない夜の街をクルクルと駆ける。 家に帰ると、大きめの花瓶に夾竹桃を生ける。邪魔な葉を落とすと口へ。固い歯触り、青臭い匂いが鼻に抜

          夾竹桃で花束を

          ナウオンセール!

          ナウオンセールどころかずっと売り出し中。最近は商店街の閉店セール詐欺並に売り出してる、そうです。私自身のお話です。 恋人が出来ない。独り身が悪いわけではないし、私が恋人を欲しいと思っていないならそれでいいのだがそうでは無い。恋人が欲しいと思っているのに出来ない。欲しいなら行動しろ!という尤もな意見は置いておいてください。私も迷走してる、Tinderやってみたり。結論として多分行動の仕方を間違えた。歳下の男の子と動物園に行って、「この動物と戦ったら勝てるか?」という話を延々と

          ナウオンセール!

          されこうべは緑児の夢を見るか?

          「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」ほど、擦り倒されてるタイトルはないのでは。使いやすいよね。おふざけにも、シリアスにも使いやすい。使い勝手のいいタイトル選手権一位。でもちゃんと読みましたって人に出会ったことはない。みんなタイトルだけ知ってるのか、読んだと公言するのもはばかられるレベルに読んでいて当然の本なのだろうか。ごんぎつね読みました!ってドヤらないもんね。 今日は子育て幽霊について話をしようと思う。子育て幽霊は昔話に近い怪談である。以下、あらすじ。 ある夜、店じま

          されこうべは緑児の夢を見るか?

          毎日がトライアスロン直後

          「あなたの肝臓は常にトライアスロンをフルで完走した直後と同じ状態です。」中三の二学期に医者に言われた言葉だ。 中学三年生。所謂受験生になった私は地元で進学校と言われる女子高合格を目指して必死に勉強していた。それまでだって学年で十位圏内から落ちたことは殆どなかったし、そんなに死に物狂いになる必要はなかったんだと思う。しかし中一の終わりに母を亡くした私は必死だった。公立高校で教師をしていた母のお陰で勉強ができたと思われたくなかったし、何より可哀想だと言われるのが嫌だった。母を亡

          毎日がトライアスロン直後

          寝物語は番町皿屋敷

          寝物語は言い過ぎた。 私はオカルトが好きだ。怖い話も、UMAもUFOも、事件の話も好き。気付いた時には好きだった。何か鮮烈な出会いがあった訳ではない。何故か、と考えた時に思い当たったのは家族の好みだ。幼稚園の頃、よく祖母が番町皿屋敷を語り聞かせてくれた。私は白く美しい城と鮮やかな焼物、割れてしまった皿、陰鬱な井戸を思い浮かべながらその話を聞くのが好きだった。 幼少期は家族旅行でよく東北方面に行ったのだが、東北には人魚のミイラやら河童のミイラやらを祀った寺が多くあった。我が

          寝物語は番町皿屋敷