隆盛の果てに

私は人気のない場所が好き。寂れた村、廃墟や人気のない寺社仏閣、心霊スポットが好きだ。霊感のない私には幽霊よりも人間の方がよっぽど怖いので、昼間に一人で訪れる。不法侵入にならないギリギリまで近付いて、そこで過ごした人たちに思いを馳せる。

私の友人にひとりだけ霊感のある子がいる。私と会う度に「また違う人いるよ」といって笑う子だ。興味本位で憑いてきているだけだから、放っておいてもそのうち離れていくそうで大した心配はないらしい。「あんまり危ないとこは行かない方がいいよ、怪我とか怖いし」と身体のことを心配してくれる。その子に先日久しぶり(恐らく二年ぶりくらいではないだろうか)に会った時の話。

「ねえ、身体とか大丈夫?悪いこと起きてない?」何時にもなく心配そうな顔で私に問い掛ける彼女をみて、不安になった。「何か悪いものでも憑いてる?お祓いとか行った方がいいかな」問いかけた私に彼女は気まずそうに答える。「お祓いは……意味無いかな。逆だよ、何にも憑いてないの」何も憑いていないなら良い事なのではないだろうか。彼女は続けて言う。「いつもみたいな人が憑いてないだけじゃないの、いわゆる守護霊みたいなのもいない。何もいないんだよ」背筋がスっと寒くなる。霊感のない私でも、霊的なものからは守護霊が守ってくれているという根拠の無い自信はあったからだ。「ねえ、何処に行ったらそんなことになるの?」不安そうな彼女の瞳が私を遠慮がちに覗くが、心当たりがない……。いや、ありすぎて分からない。彼女と会っていない間に、何ヶ所行っただろう。分からない。彼女も霊感があるだけの一般人であるため、守護霊がいないままでよいものか分からないし、良くなかったとしてもどうしたらいいかは分からないという。

もし私の守護霊を拾った方がいれば、届けてください。薄謝有。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?