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【詩集】自分探しの迷子

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迷わなければここにいなかった
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#働き方改革

真夜中の不届き者

真夜中の不届き者

 客足が止まらないのは土曜の夜のことだった。次々と訪れる客に声を張り笑顔を保ち続ける内にのどが渇いた。時々思い出したように水分を補給した。そのチャンスは数少なかった。平日の夜は、随分と違った。僕は自分の好きな時に水を飲むことができた。訪れる客は限られていた。それも徐々に少なくなっていき、間が開き始めた。接客の合間に、私はnoteを開き、マンガを読み、マガジンを読むことができました。

 時々客がみ

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疲れながら、傷つきながら

疲れながら、傷つきながら

 言葉に刺があった。あなたは何も感じないのだろう。僕にとってはあなたの発する言葉のほとんどに刺があった。僕に当てたものもそうでないものも。それでも僕は巻き込まれるように傷を負った。一つ一つは小さな刺だった。一日そばにいれば全身に突き刺さるようだった。他の人はどうか知らない。僕には人間の言葉でさえなかった。人間の言葉として聞くほどに傷つくことは避けられない

「はあ?」胸の内に湧いてくる違和感を決し

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通り雨の中の私

通り雨の中の私

「申し訳ございません」
 もう何度同じ台詞を繰り返したかわからない。その言葉にもう最初の意味は残っていない。「謝って済むと思ってるのか」その台詞だってもう何度聞いたかわからない。聞いたとしても聞いていない。途中からはもう聞いた振りをしている。僕はここにいる振りをしながらもうここにはいないも同然なのだ。

 何が悪かった? もうあまりに昔のことで思い出せないな。確かなあやまりというのはなかったと思え

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