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上場企業との取引は本当に安全ですか?

 昨年に引き続き、コロナウイルスの影響による東証一部上場企業の経営破綻が出てしまいました。「取引先は上場企業や大手企業が大半だし、心配していない大丈夫」とか言っていた方は、考え直す良い機会だと思います。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響から、2020年12月末に債務超過となり、厳しい財務状況であったブライダル業界大手ワタベウエディングが事実上の経営破綻に陥ってしまった事例を紹介したいと思います。
現在は、興和の完全子会社となり、2021年6月28日には上場も廃止となり、経営再建を目指しています。

こんにちは、佐々木正人です
是非、最後まで読んで持って帰って下さい!!
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特定の産業では、今も営業自粛要請が出されてますが、厳しい状況に耐えかねて経営困難になってしまう企業も発生しています。

最近こんなニュースを目にしませんでしたか?
「ワタベウエディング、事業再生ADR成立」2021年5月27日 日本経済新聞

●ワタベウエディングとは●

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リゾート挙式」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
ハワイなど海外のリゾート地で結婚式を挙げたという方は、この記事を読んでいる皆さん、あるいは皆さんの周囲の方にもいらっしゃるかもしれません。

「リゾート挙式」の火付け役となったのが、「ワタベウエディング」です。

1953年に京都で創業した同社は、団塊の世代が婚礼適齢期を迎えた高度経済成長期に、ブライダル事業に参入し、その事業を年々拡大させていきました。そして、「海外での挙式」という考えがなかった、1970年代にハワイへの出店を行いました。

このハワイへの出店を機に、リゾート挙式をメインに押し出し、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、中国といった、グローバル展開を次々に行っていきます。

1997年にはブライダル業界初の上場を果たし、2004年には東証一部へと指定替えとなりました。同年に昭和初期から続く料亭・結婚式場の目黒雅叙園を子会社化、2008年には財団法人ゆうちょ財団からホテル事業「メルパルク」の運営を受託するなど事業を拡大してきました。

ワタベウエディングは「リゾート挙式」「ホテル・国内挙式」という2つの事業を軸に展開していました。

そんな中、2021年3月19日に『事業再生ADR』の申請を発表しました。

※事業再生ADR とは
事業再生ADR制度は、経済産業大臣の認定を受けた公正・中立な第三者が関与することにより、過大な債務を負った事業者が法的整理手続によらずに債権者の協力を得ながら事業再生を図ろうとする取組を円滑化する制度です。  (出典:経済産業省 事業再生ADR制度

直前期の19年12月期においては、111億円の純資産があり、自己資本比率40%を超える優良な財務状態であったにも関わらず、1年で自力再建が不可能な状態にまで陥ってしまったのです。
(出典:ワタベウエディング株式会社 2019年有価証券報告書 より算出)

●ブライダル業界全体は?●

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今回、ワタベウエディングがこのような状態に陥ってしまった背景は、
新型コロナウイルスの蔓延による業績悪化が一番の原因です。
そもそも業界全体で大打撃を受ける前から、衰退業界でもありました。
与信管理の観点から言うと、取引先の業界天気図を把握していれば、事業転換をしない限り、厳しかった事は想像できます。
全ての業界に言えますが、個々の企業で見れば元気のある企業も有るとは思いますが、大局的に業界全体が今後はどうなりそうなのかは、注意しておく必要があります。

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(出典:厚生労働省 令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況

日本の婚姻件数は、単年では前年を上回る年度はあるものの、1972年をピークに年々減少しています。人口の減少・高齢化が進んでいるなかで、結婚適齢期の人口も減少していることが原因です。

また、新型コロナウイルスの蔓延前から結婚に対する考え方が変わってきており、結婚式自体を実施しない、「ナシ婚」というケースも増えています。

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(出典:株式会社パートナーエージェント 結婚式も披露宴もしない“ナシ婚”もアリ?「式や披露宴は正直面倒」、男女共に6割弱


また、新型コロナウイルスの影響で、2020年度は多くの挙式がキャンセル・延期を余儀なくされた関係で、ブライダル業界全体で大きく落ち込んでしまっています。(不測の事態)

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(出典:矢野経済研究所 ブライダル市場に関する調査を実施(2021年)

●ワタベウエディングの経営破綻ケース●

業界全体的が大きな落ち込みをしている中、財務状況も優良であったワタベウエディングが経営破綻してしまったのには、ワタベウエディングだからこその理由がありそうです。

≪1≫リゾート挙式事業の比率、国内事業の債務超過

同社においてリゾート挙式が主要事業売上の約50%占めている状態でした。
新型コロナウイルス感染拡大で海外渡航も困難になってしまった為、海外挙式が激減して大きな打撃になってしまいました。

その結果、2020年12月期決算の純損益が117億円の赤字となってしまい、
8億円の債務超過に陥っています。

国内事業も振るわず、買収した目黒雅叙園も同時期に24億円の損失計上
16億円の債務超過子会社のメルパルクも39億円の損失計上33億円の債務超過に陥りました。

ワタベウエディングは海外挙式の比重が大きく、競合他社と比較しても立て直しには時間を要するとみられておりましたが、国内事業も債務超過になった為、自力で再建できなくなってしまいました。

ちなみに、目黒雅叙園の「ホテル雅叙園」は都内の一等地にありながら、
不動産の権利は所有しておらず、売却が出来ませんでした。

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(出典:ワタベウエディング株式会社 2019年12月期 有価証券報告書

≪2≫リゾート挙式依存から脱却が図れず、関係会社との対立

2000年以降少子化や晩婚化などの影響で縮小傾向が続く中、目黒雅叙園・メルパルクの買収には、宿泊や宴会で収益をつくっていく意図がありました。
2015年7月には、カタログ通販の千趣会と資本提携をし、戦略転換を図ります。

しかし、依然としてリゾート挙式事業の依存からは脱却できずにいる中、
インターネット通販の普及により、千趣会の経営状態が悪化してしまいます。

ワタベウエディングは新たなビジネスモデルを模索する中、目指す経営の方向性にずれが生じるようになり、千趣会と対立してしまいます。

両社の対立が火を噴いた。
ワタベウェディングの創業家の渡部秀敏会長が取締役会でMBO(経営陣が参加する買収)を提案した。秀敏氏はワタベ中興の祖である渡部隆夫氏の長男にあたる。ブライダル事業への依存を強める千趣会側と、経営の独立を求めて反発する秀敏氏の間の溝は埋めがたかった。グループ全体で34%を保有し取締役会にも役員を派遣する千趣会は(MBOに)反対の意向を示し、対立している。(出典:日経産業新聞(2018年10月29日付))

昨年から続く新型コロナウイルスの影響が決定打となってしまいました。
関係悪化の中にあった、千趣会はワタベウエディングの株主でもあったのですが、救いの手を差し伸べることも無かった様です。。。

●まとめ●

厳しい状況が続いている業界も多数存在している中で、それぞれの企業が置かれている状況や、特徴体質などによっては、今回取りあげたケースの様に経営破綻に陥ってしまう可能性があります。

『皆さんの会社の取引先ついて、それぞれの企業が置かれている状況は把握されておりますか?同じ業界であっても特異な点はありませんか? 』

新型コロナウイルスが蔓延する昨今の特異的な状況下では上場企業であっても今回のケースの様に経営破綻に陥ってもおかしくありません。改めて取引先の情報を整理すると異変に気づく事もあるかもしれません。
まずは、既存の取引先様の状況を様々な視点から整理してみましょう!

本日の内容は以上です。
次回もお楽しみにでは

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