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わたしが死ぬほどスキつけたいやつ2

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わたし的にスキが100個ぐらいじゃたりねぇなーと思うnoteを保存していくマガジンの二冊目。
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2019年10月の記事一覧

クズ星兄弟の日常

クズ星兄弟の日常



introduction

「なぁ兄貴」
 寒風吹きすさぶ午前11時の歌舞伎町を、ただでさえ猫背の背中をさらに丸めて歩きながら、セイが前歯の一本欠けた口を開く。
「なんだ」
 俺はヤツの顔を見ないままぞんざいに応える。
 ヤツから俺に話しかける時、それは大抵ロクでもない内容だと知っているから。
「キャバクラとピンキャバって何が違うんだろう」
 やっぱりと心の中でため息を吐く。
「キャバクラはお

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【怖い話】 蔵の箱 【「禍話」リライト⑯】

【怖い話】 蔵の箱 【「禍話」リライト⑯】

 戦後しばらくして、と言うから、今から五十年ほど前になるのだろうか。

 Aさんは、「あなたにしかできないことをやってもらいたい」と、ある屋敷に呼び出された。

 相手方はその町の、ひと昔前は庄屋とか名主とか言われていた大きな家である。

「あなたにしかできないこと」とはいかにも大仰で、Aさんが特別な存在であるかのようだが、そうではない。

 Aさんはここから離れた地域にひっそりと住んでいる、ただ

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【怖い話】 模型上の死 【「禍話」リライト⑩】

【怖い話】 模型上の死 【「禍話」リライト⑩】

 どこにあるのかはわからないが、どこかの街の一等地に、そのビルは建っているという。

 そのビルに住人はいない。事務所や店も入っていない。一階から最上階まで、綺麗にからっぽである。誰も何も住んでいない。浮浪者すらもである。誰一人、近づきもしない。

 立地はいいのだから、ビルを壊して飲食店なり集合住宅なりにすればよいだろうと思う。しかしそのまま、廃ビルとして放置されている。

 聞くところによると

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アイシテルとは、いわないで。

愛するか愛されるかのどちらか片方しか選べないとしたら、愛する方を選びたい。

とはいえ、日常生活で愛を囁き合っているかというと、大好きと声に出すのも割と勇気が要る程度に照れ屋だ。noteのスキもTwitterのいいねも、押しますね!と割と気合いを入れてする。最初の頃など緊張しすぎていちいちぐったりしていた。

なので神前で愛を誓ったことはあるが、面と向かって愛してると言ったことは、まだない。

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