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【就活】「”あなたらしさ”なんて言わないでよ」風通しの良い背徳感を感じる選択。

”自分らしさ”と就活


2021年5月21日。就職活動を終えた。

去年の夏を含め、60~70社を超える会社と出会ってきた。
その中でたった一社を選ぶ判断というものは、会社を選べる選択肢が少ないにしろ、私にとっては重荷に感じる決断だった。

しかし最後は”自分らしさ”に合った企業を選び、覚悟を決めて内定を承諾することができたのであった。





…なんて、書きたかったけれど。

実際は、”自分らしさ”を軸に決められませんでした。ごめんなさい。今、この言葉を見聞きするだけで、頭がグルグルして、気持ち悪くなってくる。もうこの言葉と向き合うことに、限界を迎えてしまったみたいだ。


でも私は、これからこの大きな決断に責任を持って社会に出ていかなくてはならない。というよりかは、納得しきって進みたい。

そこで、前に進む意味でも”自分らしさ”という言葉とどう向き合ってきて、どう距離を置くことにしたのかを、ここに記しておくべきだと考えた。
だから今回は、”自分らしさ”が叫ばれる就活に対して抱いてきた思いを中心に、就活を振り返ってみることにする。


就活を始めた時期・志望業界の変遷

2020年6月から始めた就活。

①2020年夏~秋
広告・PR・デジタルマーケティング

②2020年冬~2021年5月
エンタメ・組織コンサル・IT(HRTech→SIer)


他にも、
・動画制作会社
・BtoCの教育サービス会社
・人材紹介会社
・精密機械メーカー
・乳業メーカー
・レコード会社

などなど…「とにかく動けばなんとかなる」と思って、いろんな業界と触れ合って、”自分らしさ”を検証しようとした。でも、目的が曖昧だったからか、時間が経つほど迷走するだけだった。しんどくなって、優遇されていた早期選考の権利も全部辞退してしまった。


”あなたらしさ”は、せめてもの励ましですか?


・自由奔放だね、枠にとらわれない方がいい。
・主体的だし、裁量は大きい方がいいよ。
・あなたは、起業家タイプor芸術家タイプ
大手は絶対向いてなさそう…ベンチャーかスタートアップっぽい。
・あなたの思考回路はね、普通の人とちょっと違うんだよ(苦笑)。

周りの友人や大人や適職診断のAIたちはそう言った。
そして必ず最後には、みんな口を揃えて私を諭してくれた。


まぁ何よりも、”あなたらしさ”を大切に。と。


私はその言葉に一時的な安心感をおぼえていた。が、それは表面的な事実であって。本当は、”あなたらしさ”という言葉を耳にするたび胸がキュッと締め付けられた。


皆より進みが遅かったり、自意識過剰に落ち込んだり、体に異常が出てしまったり。沢山の人と並んで何かを一緒にしたくてもできなかったり。枠にはまれない度に感じてきた、仲間外れのような孤独感。強いて言うならばそれが、”自分らしさ”だと思っていたから。

だから。
”あなたらしさ(人との違い)”という言葉を向けられると、全部それが”普通”より欠けている状態で生まれた自分に対するせめてもの励ましのようなものに聞こえるのだ。

でも。

人との違いは優劣じゃなく、”個性”だよ。
その”あなたらしさ”を、活かして働けるよ。

こんな素敵な考えをする人に、就活を通して沢山出会えた。こんな人達に溢れた世界に行けば私は輝けるかもと希望を持った。また、彼らのような人達はいたってベンチャーやクリエイティブな業界に多い印象を受けた。つまり最初はそんな世界に憧れて、そういった業界ばかり見ていたわけだ。

でも。選考に落ち続けていくとともに、信じてきたはずの”自分らしさ”はペリペリと剥がれ落ちていった。


風通しの良い背徳感


・知名度がなくていいのかな
・裁量権や自由、そんな始めから欲しいかな
・ワークライフバランスは大丈夫かな
・絶対向いてない!って思ってた職種に挑戦しちゃダメなのかな

働くことで、今の私が最も成し遂げたいことは、何だろう。

夢の第一志望に落ちて吹っ切れた後、私の中の「無理してでも、夢を諦めずに頑張る自分」は姿を消した。同時に、上にあるような今まで身を潜めていた本心がぶわぁっと溢れ出した。


その本心をベースに改めて考え直すと、今までとしてきた”あなたらしさ”を守ることが、正直な「本当はやってみたい・やりたくない」気持ちの優先順位を下げてしまっていたことに気がついた。

そして……そんな気づきを得た私が最終的に選んだのは、


以前は「向いてないから」とひたすら避けていたシステムエンジニアとして、大企業に就職する道だった。


この決断をした時の気持ちを喩えると

誰もいない街だけど。道路のど真ん中で素っ裸になってしまった。

こんな感じ。「何をしても誰にも怒られはしない安全」と「なんだかヤバいことをしてるハラハラ感」がミックスされた、風通しの良い背徳感にソワソワした。でも、それは不思議と嫌なものじゃなかった。


風通しの良さを守る安全

本心と向き合って分かったことの一つは、ワークライフバランスについての懸念だった。「やりたいこと」ばかり優先して体を壊し、誰かに迷惑をかけてしまうリスクを気にしていた。

たとえば、やりたいことの一つとしてあった、
【自立】について。

将来独立するための準備
裁量を持ってバリバリ働ける
体力なんて後からついてくるものだと考えろ

多くの人がカッコよく【自立】を定義するのを見てきたけど、何かモヤっとしていた私。それは

安定した経営基盤・体調管理しやすい働きやすさ・充実した教育制度
不器用な自分でも安心して頑張れる環境がある

本心における【自立】の定義が異なっていたからだった。一度無理して身体を壊してからは、私にとってのワークライフのライフは、生活ではなく「命」なのだ。


また、「皆が知っているかどうか」の知名度も、企業を選ぶうえで気にせざるを得ない部分の一つであった。そんな表面的なもので就職先を決めるなと言われてきたが、表面的なものに囲まれて育った私にとっては無茶な話だった。それに…家族の様々な事情など「誰にも知られたくないもの」を抱え込ませてきてしまった親には、「誰かに知ってもらえるもの」をプレゼントして喜ばせたかった。

実際、就職先のCMが流れるたびに子供みたく喜んだりする姿を見て私は、これまでマイナスだったものがゼロになったような安心感をおぼえて本当に泣きそうになった。やっと何かに挑戦できるスタートラインに立てた気がした。エゴでも、このような結果に辿り着けてよかった。


”あなたらしさ”をガン無視した背徳感



収束思考・論理的な話し方・数学が苦手。それでもシステムエンジニアになると決めた私。

多くのアドバイザーが褒めてくれた”あなたらしさ(得意分野)”はどこへやら?という決断だっただろう。


でもこれも、「スキルや成果を目に見える形で証明したい」「(人手不足なぐらい)社会に求められたい」「コツコツ勉強したい」などなど、自分の本音軸とマッチする部分を掴み勇気を出して『エイヤァ!』で決めたことなのだ。


勿論、皆と違って普通にこなせない部分があったり、馴染めないかもしれない。正直やっぱり怖かったりもする。


でも。”自分らしさ”で制限をかけず何かに挑戦することは、自ら望んでしたことなのだ。誰かに言われた"あなたらしさ"を活かさない背徳感があっても、大満足の決断ができたと私は思っている。


大きなベイビー再爆誕。成長日記は第2章へ


そして……

就活を含む22年間、社会の適当さ頑張れば報われるわけでもないこと、自分のマジメさなんてちっとも役に立たないことを知ったり、「正解」がない中でたくさん悩んでもがいた中で、決めたことがある。


それは、

自分や誰かや社会に「良し悪し」を求めないこと

である。


こうしてああした方がいいとか、世の中そういう声はたくさん転がっているし、ついつい気にして流されて嫌だなあとか思ってた。けれど、赤ちゃんみたいに「正解・不正解」が分からないままでいようと思う。

つまりこの場合、「流されちゃった」ことでさえ、それは私の立派な選択じゃん?で終わりにする、大人版ベイビーになるということ。


誰かの言ってくれた”あなたらしさ”をガン無視して選んだキャリアがミスマッチ→転職とか、将来どうしようもない事態が起こるかもしれない。けれど、現時点ではどうしようもない未来が絶対訪れると誰一人断言できないし、思い切った選択でも信じてみていいじゃないか。


だから最後は、少ない時間と回数の面接であっても、「弱くて不器用なのが私なので、チームワークではその性格を活かしたサポート役リーダーを担います!」と馬鹿正直に話した自分を受け入れてくれたり、恋愛相談の趣味に唯一ツッコんでくれたり、自分の一番見てほしかった部分を見つめてくれた会社に、私は喜んで入ろうと決められた。


それで失敗したらただのアホだと言われ、成功したらその直感は正しかったんだね、とでも言われるのだろう。まあ前者になったとしても、私は失敗人生をエンタメにしてしまう魔法使い(?)なので、どっちでもいい。


こんな形で新たな幕がヨロヨロと上がっていき…不器用人生の第二章が始まる。
不器用をエンタメにするRPGなら、赤ちゃんモードから再度育成スタートです。
これからも、大きなベイビーの波瀾万丈成長日記を…引き続きどうぞ宜しくお願いします。



p.s.

ダラダラと3000字以上も書き連ねてしまいましたが、最後まで御覧くださって本当にありがとうございました!ちなみに写真の赤ちゃんは私です。(笑)

そして何より。

全ての22卒、及びこれを見てくれた就活生が、心から納得して就活を終えられますよう、心から願っています。


それでは、また。








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