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(24)隼人とカグヤ
検品を通過してカグヤはロケットに搭載された。
天気予報も問題なし。すべて予定通りにすすんでいる。
隼人は二葉島のある空き家に潜り込んでいた。
伝染病の件もあるのでまったく外出することなく引きこもっている。
もうこの段階ではやることはほとんどない。
隼人と離れて寄生していない状態のカグヤは活動時間が大きく制限されるらしく、打ち上げまでの日はほとんど寝ていた。
思い出したかの如く、10時間
(22)パンデミック
「緊急事態宣言が出て一週間立ったが…収まる気配はないな……」
新型の伝染病の世界的な流行によって社会は一変した。二週間前に学園も休みになって、それ以来隼人はずっと家にこもっていた。
幸いロケット関する大きなニュースは現時点では入っていない。人が集まることを避ける為に打ち上げの見学は禁止されるのは確定だが、打ち上げそのものが中止になるという情報はなかった。
『今は家でじっとしていろ。いくら人間
(20)ラノベ業界浄化計画
ロケット施設の見学を終えたことで、計画の進行度は90%を超えたと言っていい。乗り込むための準備は整った。
まだ残っている仕事はロケット計画の支援活動。ロケットをPRする動画と小説の投稿を続けなければならない。
四日ぶりの学校ということもあって、隼人はメンバーを集めて企画会議を開くことにした。
「二葉島に行っている間にも動画と小説は確認していたけど…それぞれ報告を頼む」
「ええ。カグヤ様の動
(19)二葉島宇宙センター
東北の民間ロケット施設の見学から四日後。
二度目の社会科見学、二葉島宇宙センター行く日を迎えた。
「東北の次は鹿児島……行ったり来たりで季節感が狂うな」
双葉島宇宙センターの規模はこの前の施設とは桁違いに広い。博物館と言えるほどに展示物も充実している。
「8月に打ち上げ予定のロケットについて、説明したいと思います。このロケットは宇宙ステーションに物資を運搬するためのロケットです。重さは6ト
(17)民間ロケット企業
そしてやって来た社会科見学の日。一台のバスは東北にある民間ロケット会社に向かっていた。
一つの学園で二つのロケットを見学しに行く、というのは無理があるので申し込みは隼人が通う大街道学園ではなく、別の工業高校がもともと予定していた見学に紛れる形をとっている。
(他の学園の制服を着るってなんか落ち着かないな)
そんなことを思いながら隼人はバスの中を見渡す。工業高校ということもあって全員男子だ。カ
(16)学生とロケット
動画と小説を投稿し始めてから一週間。すべては順調だった。
チャンネル登録者数やブクマ数、フォロワーも順調に伸びつつある。8割は自演だが、言い換えれば残りの2割は普通のアカウントだ。
増えていく数字を見て全体の士気も高まっていたが、大切なのはここからだ。
(自演はやり過ぎてもダメだ…徐々に…怪しまれない程度に増やさないとな)
ストックはまだ沢山ある上に継続して制作も行っている。このまま投稿を
(14)バーチャルアイドル
動画制作班から台本が完成したとの報告を受けて、隼人とカグヤはパソコン室に向かっていた。
「このフォルダに入っているから。拡張子はTXT」
まどかが立ってパソコンデスクの席を譲った。隼人が入れ替わる形で座ると同時にカグヤがにゅっと手から飛び出した。
「これのテキストを読み上げる形で…動画を作ればいいのだな……むん!」
モニターが一瞬だけ明滅する。すると…フォルダ内に入っていたテキストデータが